アイリス・ジョハンセン


失われた顔  ジ3-5  二見書房  発刊:1999.10.25
ヒロイン:イヴ・ダンカン(復顔像製作家・33歳) ヒーロー:ジョー・クイン(アトランタ市警の警部補・元FBI捜査官・元海兵隊員・妻帯者)
ヒーロー:ジョン・ローガン(急躍進中のコンピューター会社経営・白血病で妻を亡くす)

あらすじ:イヴ・ダンカンシリーズ
イヴが16歳の時に産んだ愛娘ボニーは、7歳の時に連続殺人犯フレイザーの手にかかり命を失った。捕えられたフレイザーは、2年後、刑を執行され電気イス送りとなった。黙秘を続けた彼の死で、十数人以上に及ぶ幼い子供達の死体遺棄場所は永遠の闇の中だ……。
諦めきれないでいるイヴは、10年経った今でもボニーを探し続けていた。頭蓋骨から、生前の面立ちを甦らす復顔像製作の第一人者として活躍しながら、ひたすらボニーの行方を追っていた。
ジョー・クインにできることは、彼女を見守り続け、時に仕事に逃げ込んでいる彼女を、無理やりでも世間のしがらみというものに気づかせたりすることぐらいだった。
そして、一番、重要なことは、イヴの生活を守ること。
なのに、彼女の周囲をかぎ回っている輩がいるらしい。クインは、イヴの身上調査をしている黒幕が、急躍進をしているコンピュータ会社を経営しているジョン・ローガンであることを突き止めていた。
ローガンが、イヴに何の用向きがあるのだ……?

ローガンが持ち込んだ頭蓋骨が原因で、血なまぐさい陰謀に巻き込まれていくことになったイヴ。初め、彼女のことを利用するだけの存在として見ていたローガンは、次第に彼女に惹かれていくこととなります。イヴの気の強さ、仕事に対する姿勢、そして奪い取られた娘への想い。陰謀を暴く為には、他のことに気をとられている場合ではないのに、イヴのことが気になって仕方がないローガン。
対して妻帯者であるクインはイヴの相手ではない、と読み初めは、眼中にない存在だったんですが、彼女への献身的&強引な態度、そして秘めた思いがちらほら描かれていくにつれ、株急上昇。
もうね、イヴをめぐるクインとローガンの牽制会話に悶えた〜vv。
イヴがどちらを選ぶのかは、次作に持ち越しとなってます。


顔のない狩人  ジ3-6  二見書房  発刊:2001.04.25
ヒロイン:イヴ・ダンカン(復顔像製作家・34歳) ヒーロー:ジョー・クイン(アトランタ市警の警部補・元FBI捜査官・元海兵隊員)
ヒーロー:ジョン・ローガン(急躍進中のコンピューター会社経営・白血病で妻を亡くす)

あらすじ:イヴ・ダンカンシリーズ
ローガンがタヒチに所有している島で、この一年近く静養しているイヴを迎えに、クインはヘリコプターから降り立った。彼女が、長年、探し求めていたものが見つかったかもしれないということを伝える為に。
山歩きをしていた人間が、偶然、発見した遺骨は成人したものだったが、周辺を捜査した結果、他に複数の遺骨が見つかった。その内の一体は、7、8歳の少女のものだった。
イヴの愛娘ボニーの遺骨かもしれない……。
昨年の事件の煽りで、有名になり過ぎたイヴをマスコミから隠す為、クインは誰にも知られていない別荘へと彼女を連れてくるのだった。しかし、そこで発見された少女の頭蓋骨を復顔すればいいという考えは、あえなく崩れ去った。
何者かによって、頭蓋骨が盗まれ、あろうことかイヴの元に電話がかかってきたのだ。
「シムズという子どもとそのほかの四件については、本人の主張どおりフレイザーの仕業だ。しかし、それ以外はすべてこの私のものでね。幼いボニー・ダンカンを含めて」

前夜の集中豪雨で起こった山崩れが原因で、複数の遺骨が発見され、その中に幼い少女の遺体があったことから、イヴはアトランタに戻ってくることとなります。みつかった幼女の頭蓋骨の復顔をするだけだったはずが、ボニー殺害の「真犯人」を名乗る人間が現れイヴを揺さぶってきます。
「真犯人」は、イヴを追いつめる為に殺人を重ね、その上、一人の少女ジェーンを犠牲者に加えることを予告してきます。
ジェーンを守る為に奔走するイヴを守ろうと、クインとローガンが相も変わらず牽制しあって暗躍しております。
それにしても本作品は、クインの世界は、イヴが中心に据えられているというのが本当によくわかるできあがりとなってます。イヴには同性の友達が必要だという理由だけで結婚するんだもんなぁ……。あと、イヴに振られたローガンですが、振られた男性の方が株が上がったりするのは判官びいき?


爆風  ジ3-12  二見書房  発刊:2003.02.25
ヒロイン:サラ・パトリック(捜索救助犬の訓練士・28歳) ヒーロー:ジョン・ローガン(急躍進中のコンピューター会社経営・39歳?)

あらすじ
ローガンが巨額の費用をかけて、ジャングル地帯の奥深くの研究所で、極秘に進行していたプロジェクトは完成間近だった。その施設を研究者もろとも吹き飛ばした人間がいた。
マーティン・ルードザック
15年前にローガンが、監獄送りにした国際的な犯罪者だった。しかし2年前、脱獄をしたとの情報が入ったきり、行方のつかめなかった男が、到頭ローガンの前に現れたのだ。
ローガンが使えるだけの伝手も財力もつかって、ゴキブリでさえ逃げ出すような監獄へぶち込んだことを、ルードザックが恨んでいないわけがなかった。
ルードザックがローガンを罠にしかけるために施設から連れ去った研究者を、救助するにはどうしても必要な力があった。
捜索救助犬のモンティと訓練士であるサラ・パトリック。
できることなら友好的な取り引きで、サラに仕事を受けてもらいたかったローガンだったが、残された時間は余りに少なかった……。

「顔のない狩人」でも弱みにつけ込んで、遺体捜査をサラに強要したローガンですが、今作も同じスイッチを使って彼女を血なまぐさい騒動に引っ張り出すこととなります。
ということで、サラのローガンに対する心証は地の底を這うことに。ローガンの過去の因縁に、巻き込まれることになったサラは、モンティを連れてジャングルや台湾の山崩れが起こった災害地などを駆け回ることとなります。
サラをルードザックの標的にしてしまったローガンは、彼女を守る為に嫌がられながらも図々しく側に居座り続けるのでありました。
サラを政治的に利用し続けていた上院議員は、ローガンの義憤というより嫉妬心で破滅に追いやられるようなので溜飲が下がってスッキリ。
救助犬モンティの訥々とした呟きとか、灰色狼に恋に落ちる様が本当に可愛い。あと、ローガンの旧友であるショーン・ガレンの口達者、芸達者な存在がいい感じ。


見えない絆  し81-1  講談社  発刊:2004.01.15
ヒロイン:メリッサ・ライリー(医大生・26歳/愛称メリー) ヒーロー:マイケル・トラヴィス(情報屋・30半ば)

あらすじ:「ウィンドダンサー」外伝
14歳の時、両親が交通事故で亡くなった。同乗していた妹メリッサは、運転席で父が亡くなっているのと、母親が炎に包まれて叫んでいる姿を目の当たりにすることになった。なんとか、母親を助手席から引きずり出したものの、炎を消すことができなかった。余りの恐怖に、メリッサの精神は内に籠り、6年もの間、外の世界との交流を遮断した。
その間、メリッサを引き戻そうと姉ジェシカは、精神科医となって努力し続け、遂には成功にこぎ着けたのだ。
その実績を最後の頼みの綱として、アメリカ大統領アンドレアスがジェシカに愛娘キャシーの診療を委ねた。キャシーは8ヶ月前にテロリストの襲撃に遭い、多数の死者が出た惨劇を目の当たりにしてから、正気を失っていた。
そして、命を削るほどの悪夢にうなされている。あの愛らしくて勝ち気だったキャシーが、このままでは死んでしまう。 アンドレアスはキャシーを救うためなら、どんな手段でも駆使するつもりだった。

テロリストの襲撃の際、キャシーを守ったのはマイケル・トラヴィスという情報屋。何故、彼が襲撃事件を事前に察知していたのか等の謎は最後に明かされることとなります。
……なんというか、隠し事が多すぎるマイケルとメリッサの言動にイライラ感が募る作品でありました。
それに、最初、ヒロインはジェシカだと思うくらいメリッサの比重が軽いし。
あと、マイケルの身勝手さがなんだかなぁ……イタダケナイや。
ショーン・ガレンの存在だけが一服の清涼剤でした(狼の子守りもしたことがあるんだと自慢している一文にニマニマとしてしまった)


嘘はよみがえる  し81-2  講談社  発刊:2004.06.15
ヒロイン:イヴ・ダンカン(復顔像製作家・35歳) ヒーロー:ジョー・クイン(アトランタ市警の警部補)

あらすじ:イヴ・ダンカンシリーズ
去年、ようやく捜しあて埋葬したボニーの墓に赤ペンキが塗りたくられた。
もう、これ以上、イヴが傷つく姿をクインは見たくなかった。こんな性質の悪いいたずらをした奴らにそれ相応の仕返しをしなければ気が済まない……。
クインはイヴの側近くにいて、彼女が心安らかに暮らせるよう何もかも手配したかった。
けれども、事態は思わぬ方向に転がり出していた。
メルトン上院議員が、隠し持っている曰く付きの頭蓋骨を何としてでも復顔させたくて、クイン達からイヴを引き離そうと動き出したのだ。

埋葬した骨が実は、ボニーとは違っていたことを隠したクイン。そのことが白日の元に曝されて、イヴは怒りとやり切れなさ、苦痛等その他諸々の感情を抑えきれず、クインと距離を置くことを決意します。それを黙って耐えるしかないクインの落ち込みようったら、もう。10年以上前に出会った時から、
「イヴは彼の人生の中心だった。しかし、自分のものにできたのはこのほんの短い期間だけだ。これは足りない。いくらあっても足りることなどないだろう」
冷静沈着に物事を始末していくクインが、イヴのこととなると動揺しまくり。そこを、口達者なショー・ガレンにつけ込まれて、凹ませられたり、むかっ腹を立てまくっているクインの姿にムフフー。
イヴに依頼のあった頭蓋骨の復顔の妨害工作から、秘密結社の存在まで、雪だるま式に展開されていく作品。


そしてさよならを告げよう  F-シ2-1  ヴィレッジブックス  発刊:2004.09.20
ヒロイン:エレナ・カイラー(コロンビアの反政府組織の元ゲリラ兵) ヒーロー:ショーン・ガレン(傭兵・37歳より上)

あらすじ
大きな仕事を終えて、心身ともに一休みを入れるために、ショーン・ガレンは旧友のローガンと釣りを楽しむつもりだった。しかし、そのローガンを介在して仕事が持ち込まれた。
コロンビアの麻薬王チャベスを破滅に追いやりたいという執念をもつ麻薬取締局の捜査官ベン・フォーブスからの依頼だった。
ある女性が、チャベスを米国におびき寄せることのできるものを持っているというのだ。
エレナ・カイラー
コロンビアの反政府組織の元ゲリラ兵で、現在、チャベスの息のかかった刑務所に収監されている人物だった。
彼女を刑務所から救い出し、米国にまで連れてきて欲しいという捜査官の願いに、難色を示しながらも最後には了承するガレンだった。
準備を整え、コロンビアに潜入したガレンは刑務所に向かいかけたが、救い出すはずの人物が既に脱獄したと知るのだった……。

反政府組織のリーダーだった父親に訓練、教育されたエレナは、男に引けを取らないほどの戦闘能力を身に付けてます。その能力を駆使して、麻薬王チャベスの執拗な追っ手をばったばったと倒しまくり。
もちろんガレンも最初に出会った時に、その痛い洗礼を浴びてます。エレナって、ホント、強い。
ということで、どんなに難局であっても、誰の力も借りずに済ませてしまいたい性分のエレナ。その上、育った環境のおかげで、他人を信用することは愚の骨頂だということ骨身に染みて経験済み。そんな彼女に他人に頼るという選択肢があることを示すガレン。
エレナが歩まなくてはいけなかった険しい道に憤りつつも、それを乗りきってきたことを賞賛するガレンが格好いい。
口達者なのは相変わらずで、そりゃーもー煙に巻くようにガンガン飛ばしてます。女性に対して、本当に優しくて、あぅー、あやされてみたいわ(笑)
レイプシーンが過去の出来事としてではなく表現されている場面があるので、苦手な方にはキツイ作品かと思われます。読まれる際にはご注意下さい。


その夜、彼女は獲物になった  F-シ2-2  ヴィレッジブックス  発刊:2005.07.20
ヒロイン:アレックス・グレアム(災害現場の報道写真家・29歳) ヒーロー:ジャド・モーガン(元CIAの暗殺者)

あらすじ
莫大な金をばらまいたにもかかわらず、ジャド・モーガンの手に自由は戻っていなかった。相変わらず、CIAの追跡を躱しつつ、移動を続ける日々を送っている。いい加減、手詰まりな状況下にあったモーガンの元に、ショーン・ガレンが仕事を持ち込んできた。
ダムの地滑り現場で報道写真を撮っていた女流写真家アレックス・グレアムの保護を依頼されたのだ。彼女は現場で、何か見てはいけないものを見てしまったらしい。
そのために命を狙われ、彼女の親友が巻き添えをくって銃弾を受ける羽目になった。
撃たれたのは、サラ・ローガン。
夫君であるジョン・ローガンは、怒り心頭の境地にあるらしい。
FBIの保護下に入ることを潔しとしないアレックスの保護と警護を、ガレンに依頼し、お鉢がモーガンに回ってきたらしかった……。

前作「そしてさよならを告げよう」で、重要な脇役を務めたジャド・モーガン。前作で、自分にかかっている嫌疑を晴らすために、3000万ドルを麻薬王チャベスから分捕ったにもかかわらず、未だ追われる身のままとなっております。
本作品は、そこまでして、ジャド・モーガンをこの世から消し去りたい理由が、明らかになります。
やばいものを見聞きしてしまったアレックスの保護に乗り出したモーガンは、彼女が見たものと自分が何故、追われる身になったのかが、同じ根元にあることに気付き始めます。
話しがすすんでいくにつれ、 「正義」を信じているアレックスは妥協を強いられますが、その一本気な彼女の言動を、周囲の男性陣(モーガン、ガレン、ローガン)は苛立たしく感じながらも尊重している姿が包容力があるなぁと。ほんと、良い男ばっかりー。
陰謀の渦中の人となってしまったアンドレアス大統領の老獪さやショーン・ガレンとエレナ(妊娠中)の夫婦仲や、サラに噛みつかれているローガンの様子等が垣間見えるのがお楽しみ要素となっている作品。


眠れぬ楽園  ジ3-13  二見書房  発刊:2003.04.25
ヒロイン:カッサンドラ・デウビル(画家の娘・19歳/愛称キャシー又はカノア) ヒーロー:ジャリド・バートン・デイマウント(イングランドのモーランド公爵・24歳?)

ラニ・カルナライ(ポリネシア人・キャシーの父シャルルの愛人・26歳?)

ブラッドフォード・ティンダル・デイマウント(ジャリドの叔父)

あらすじ
当時13際だった甥ジャリドの身に振りかかったフランスでの出来事は、凄惨としか言い様がなかった。
父親ジョンが目前でなぶり殺しにされ、両手を縛られながらも幼い再従妹の身を守り、彼の地から脱出したのだ。
甥の心に巣くってしまった復讐心を癒すことも、止める術もブラッドフォードは見つけることはできなかった。
あの日から十年の月日が経ち、ジョンを死に追いやった手先シャルルの行方をようやく探しあてた。シャルルを引っ捕らえ、首謀者ラウルの手がかりを得るために、英国を出航し、とうとうハワイまでやって来たのだ。
敵であるシャルルは、画家として満ち足りた生活を送っているようだった。そして、シャルルの愛人であるラニの美しさは、目を見張るほどであった。

上記は、主人公カップルの「あらすじ」ではないです。
ブラッドフォード!! ブラッドフォード!!
痛飲しているのは現実逃避に他ならないと自覚しながらも、酒をこよなく愛する船長。
その彼が、酒以上に執着したくなった女性がラニ・カルナライ。
ポリネシア人で敵であるシャルルの愛人という立場の女性に惚れてしまったから、さぁ大変……というわけではないです。
すごく、嬉しそうにラニを観察し、追い掛け回してます。
大酒飲みが断酒宣言をして、ラニとのお茶の時間を心待ちにし、お喋りすることを楽しむ。そして、真摯に求婚。ラニに対しての誠実な態度、ジャリドにちくりと言い放つお説教。
ブラッドフォードが会話する度に、ドキドキワクワク〜♪


虹の彼方に  ジ3-18  二見書房  発刊:2005.05.25
ヒロイン:マリアンナ・サンダース(ステンドグラス職人・16歳→19歳) ヒーロー:ジョーダン・ドラケン(イングランドのキャンバロン公爵)

あらすじ
稀代のステンドグラス職人だった祖母。その資質を受け継いだのは、孫であるマリアンナだった。しかし、祖母から受け継いだのはそれだけではなかった。
祖母が製作したステンドグラスの1つ「天国に続く窓」と称された逸品には、ある秘密が隠されていたのだ。その秘密を手に入れようと権力者達が動き出した。
犠牲になったのは、マリアンナの母。殺されてもなお、秘密を守った母と交わした約束は、マリアンナにとって絶対的なものだった。
保護者を失い、幼い弟を抱えたマリアンナの前に現れたのは、イングランドのキャンバロン公爵であるジョーダンだった。

ステンドグラス「天国に続く窓」に隠された秘密を手に入れようと、マリアンナ姉弟に襲いかかる権力者達。
その手を逃れるために、一番、ましな人物ジョーダンの保護下に身を置くしかないマリアンナ。
ナポレオンが欧州全土を侵略していく歴史が、素地にあって、それとうまく絡めて物語が展開していきます。
それにしても、欲しいものを手に入れるために、行動するジョーダンがなーとか、マリアンナを甘やかす場面が、もうちょっとあってもいいのになーとか。
マリアンナに味方が1人もいないという設定が(幼いから仕方がないし、自立なんだろうけど、弟でさえ彼女から離れていこうとするし)、緊張感を強いた作品となってます。
あと、ジョーダンの弱いものイジメというか、本人に余裕がないから、つい毒のはいった言葉を、マリアンナに投げつけちゃうのが、私としては痛くて……。