ジェイン・オースティン/ジェーン・オースティン


高慢と偏見(上/下) お42-1/お42-2 ちくま文庫  発刊:2003.08.06
ヒロイン:エリザベス・ベネット(ベネット家の次女・20歳/愛称リジー。イライザ) ヒーロー:フィツウィリアム・ダーシー(大地主・28歳)

あらすじ
娘ばかり五人もいるベネット夫人は、近所の屋敷を借りた青年ピングリー氏が資産家だと知り、色めき立った。
見目も性格も良い長女のジェインを何とかして、ピングリー氏に売りつけようと決意したのだ。
ベネット夫人の身勝手な願望は、ピンクリー氏がジェインに好意を抱いたことで、成就する可能性を帯びてきた。
その頃、才気煥発な次女エリザベスの周囲は、本人の考えとは関係なく華やかな様相をていし始めた。
五人姉妹のために、ベネット家の財産はベネット氏が亡くなれば従兄のコリンズ氏が相続することが決っている。
そのコリンズ氏が、エリザベスを花嫁にと思っているらしいのだ。
その上、ピングリー氏の友人である大資産家のダーシー氏が、エリザベスの一挙一動から目を離せないでいた……。

周囲にいたことがなかったタイプのエリザベスから、目を離せないでいるダーシー氏。
その熱い視線をエリザベスは、彼の判断基準から外れているから、変な女だと思ってじろじろ見ていると感じ取ってしまいます。
何せ、それまでのダーシー氏の自負の強さが驕りとなって、身分が格下にあたる人たちに対する言動に滲み出ていたから。
ということで、エリザベスは彼のことを毛嫌いしています。
ダーシー氏の求婚はかなり身勝手な代物で、エリザベスは激怒。
けれど、彼にとれば精一杯誠意を尽くしていると思ってのものだから、その切迫感に読む側はドキドキ。
大失態をおかしたダーシー氏が、失地挽回をしていく過程もなかなかのものとなっています。
長女ジェインのゆっくり育んでいく恋愛。
親友であるシャーロットの経済的、年齢的打算の結婚。
五女リディアの無分別な恋愛遊戯。
そして、ダーシー氏の妻になろうとやっきになっている周囲の女性達の存在。
多様な恋愛観(結婚観)が、描かれて物語が展開されています。
ダーシー氏のあの不器用さと誠実さに心が鷲掴みされること受けあい。


分別と多感 お42-6 ちくま文庫  発刊:2007.02.10
ヒロイン:エリナー・ダッシュウッド(ダッシュウッド家の長女・19歳) ヒーロー:エドワード・フェラーズ(大資産家の長男・23歳)
ヒロイン:ルーシー・スティール(スティール家の次女・22、3歳)
ヒロイン:マリアン・ダッシュウッド(ダッシュウッド家の次女・16歳) ヒーロー:ブランドン大佐(35歳)
ヒーロー:ウィロビー氏(25歳)

あらすじ
先頃、夫を亡くしたばかりのダッシュウッド夫人には、3人の娘がいた。
19歳の長女エリナーは、すぐれた知性と冷静な判断力を持ち、16歳のマリアンは姉に劣らない知性と何事においても情熱的な感受性を持っていた。そして、13歳のマーガレットはマリアンの影響を多分に受けている。
父が亡くなった後、エリナーとマリアン達は、大きな屋敷で異母兄夫妻に遠慮して暮らすよりはと、母方の親戚の計らいを頼りに引っ越すのだった。

エリナーが恋しく思ったエドワード・フェラーズは、異母兄ジョンの妻ファニーの弟にあたる人物で、周囲からは余りに内気なために愚鈍と思われがちです。良く知れば、好青年との評を与えられる男性。でも若気の過ちを犯してまして、本来、エリナーとお付き合いできる立場ではありません。
エリナーの分別は、なんというか小賢しい感じがして仕方がないです。エドワードもまた、もっと女性関係をすっきりとさせてから、行動すればいいのにと思わずにいられない。やるべきことを後回しにして、どこが好青年なのかと……。お坊ちゃんです。
そして、マリアンが恋しく思ったウィロビー氏は際立った美貌の持ち主の上に才気煥発。でも女癖が相当悪い男。
ウィロビー氏に夢中のマリアンを、一途に思い続けるブランドン大佐は、年の差を気にしてます。そりゃね、35歳と16歳ですもの。マリアンの母親が40歳だから、最初出会った時、父親と同年代だと思われてます。
ウィロビー氏とブランドン大佐の間には確執があり、それが明らかになった時、ウィロビー氏が事あるごとに大佐のことを貶めるような言動をとってしまった理由がわかるようになってます。ウィロビー氏の卑小さが露見するわけで、筋運びがうまいなぁと。
三角関係の2組の恋愛に家族の思惑を搦めて、物語がゆるーく展開されていきます。

説得 キネマ旬報社  発刊:2001.05.29
ヒロイン:アン・エリオット(准男爵家の次女・27歳) ヒーロー:フレデリック・ウェントワース(海軍大佐・31歳)

あらすじ
8年前、フレデリック・ウェントワース中佐は、准男爵の次女であるアン・エリオットとは、家柄も財力も見合う相手ではないと、彼女の周囲から見なされた。
深く思いあっていたアンと交わした婚約は、彼女が周囲の助言に説得されて破棄されることとなってしまったのだ。
どれだけ、その決意を翻そうと努力したことか……。
結局、アンの決意を変えることはできず、2人は別れることになった。
そして、8年後、再会した時には状況が変わっていた。
フレデリック・ウェントワースは、軍功目覚ましく昇進して大佐の地位についており、その資産も莫大なものになっていた。
対して、エリオット家は、没落の一途を辿っており、あれだけ魅力的だった彼女自身、くすんだような女性となってしまっていたのだ。

8年前、引き裂かれることとなった恋人同士の再縁もの。
あれだけ魅力的だった元恋人が地味な女性になってしまったのを知って、ウェントワース大佐は複雑な心境。
でも、近所付き合いのせいで否応なしに親しくしていく内に彼女の良さを再認識していくこととなります。
そして、他の男達がアンのことを好ましく見ている視線に気付いていくこと数回にして、自分もまた彼女への愛情が消えていなかったことを思い知ります。
婚約者が亡くなって意気消沈していた部下の気持ちを汲んで、善き話し相手になったアン。当然のことながらその部下は、アンを敬愛し出します。また、アンの妹メアリーの夫となったチャールズが、元はアンを妻にしたいと願っていたことを聞き及ぶウェントワース大佐。
極め付けは、アンの従兄が彼女を射止めようと独占欲露にしていること。
大佐が嫉妬に駆られ、居ても立ってもいられない状況に陥ってます。
そして、アンに、どうしても自分の気持ちを知らせたいと急いで書いた手紙の焦燥感というか熱烈さがウェントワース大佐の真情を如実に知らしめるのでありました。


マンスフィールド・パーク 中央文庫  発刊:2005.11.25
ヒロイン:ファニー・プライス(伯母夫妻のバートラム家に10歳の時に引き取られる・18歳) ヒーロー:エドマンド・バートラム(バートラム准男爵家の次男・牧師希望・25歳)

あらすじ
ファニー・プライスは、生家が貧しかったために口減らしということで、10歳の時、伯母夫妻の住むマンスフィールド・パークへと引き取られていった。准男爵家にあたる伯母夫妻の家族は、長男トム(17歳)、次男エドマンド(16歳)、長女マライア(13歳)、次女ジュリア(12歳)だった。そして、ファニーの伯母にあたるノリス夫人もまた、マンスフィールド・パークに頻繁に出入りをしていた。
仲の良かった1歳違いの兄であるウィリアムと引き離され、 心細くて仕方のなかったファニーには、屋敷にも皆に馴染めずにいた。そんな中、ファニーのことを唯一、親身になって気遣ってくれたのが、エドマンドだったのだ。
ファニーの気質をいち早く察したエドマンドは、幼い従妹が少しでも快適に暮らしていけるよう心を砕いた。
エドマンドを実の兄のように慕い続けていたファニーであったが、魅力的なクロフォード兄妹が隣人として現れてから、その敬慕が愛情に変わっているのに気づかされるのだった。

エドマンドへのファニーの一途な思いは、全く気づかれません。エドマンドにとってファニーは、ひたすら、保護せずにはいられない大事な妹という位置にあります。
エドマンドの思いは、メアリー・クロフォードへと向かっています。この女性は、見栄えの良い代わりに少しばかり(?)世間ずれしている方です。
牧師になることを決意しているエドマンドにとって、彼女の言動は品性を疑ってしまうような代物。それでも彼女を愛してしまう気持ちを止めることが出来ないでいるエドマンド。
深くエドマンドを思っているファニーですが、彼の愛情を獲得しようとして、しゃかりきになって頑張るという話ではありません。
2人に間に立ちはだかる人物や障害物が、間違いをしでかしたり落ちぶれていったがために、ファニーが浮かばれていくという受け身型ヒロインです。
エドマンドがファニーへの愛情を自覚するのは、最終場面で、それまでひたすらメアリー・クロフォードに夢中な彼を読み続けなければならない作品……。本当に長かった。