キャシー・ラヴ
「恋するヴァンパイア」シリーズ


あなたの牙に首ったけ ラ1-1 フローラブックス  発刊:2008.05.20
ヒロイン:ジェイン・メアリー・ハリソン(葬儀屋の娘・25歳) ヒーロー:リース・ヤング(ヴァンパイア・第5代ロスモア子爵・212歳?)

あらすじ:「恋するヴァンパイア」シリーズ第1弾
ロンドンで放蕩を重ねていた次弟クリスチャンが、恋人ライラをリースに紹介してきた。誰もが振り向くほどの美貌の持ち主であるライラに、リースも見蕩れたが一瞬のことだった。
それが気にくわなかったのだろう。
ライラは、リースが守ろうとしていたものを全て破壊していった。
身体の弱かった妹エリザベスの命を奪い、クリスチャンにリースへの憎悪を植えつけた。
そして、リースは2度と、陽の光を楽しむことのできないヴァンパイアに成り果てたのだ……。

記憶喪失もの。
それも、ヴァンパイアのリースが記憶を失ったから、さー大変……でもない(笑)
責任感に押し潰されかけていて、悲観的で、厭世的なリースが、記憶を失った途端、前向きで明るい張り切り君に大変身。
人生のパートナーとなるべき女性ジェインを見つけたリースが、恋に暴走してます。
その目を見張るような変化に、リースの一番下の弟セバスチャンは、記憶があったら、その気持ちを強く蓋をしてまうだろと、熟慮(?)の上で記憶喪失が継続できるよう小手先対応を重ねてます。
葬儀会館を営んでいた父が亡くなり、心機一転、ニューヨークにやってきたジェインは都会の恐ろしさをたった1日で思い知るという体験をしたあとに、リースに出会います。
疲れ果てているジェインを一目見た時から、頭のネジが緩んだリース曰く
「凍れる荒れ地に迷い込んだ無邪気な小妖精」
おー、妖精さんですよ。幸せを運んできた妖精さん獲得のために、選択制記憶喪失となるほどの頑張りよう。
ヤング家の兄弟の確執を絡めて、恋物語が紡がれてます。
メモ:ヤング家/次男クリスチャン、三男セバスチャン208歳、末娘エリザベス


あなたの牙はご機嫌ななめ ラ1-2 フローラブックス  発刊:2008.08.20
ヒロイン:ジョリー・デューガン(パブ&カラオケバー店主) ヒーロー:クリスチャン・ヤング(ヴァンパイア・第5代ロスモア子爵の次弟・210歳?)

あらすじ:「恋するヴァンパイア」シリーズ第2
1年 ほど前に、兄リースの大切な人、ジェインの命を奪ってしまったクリスチャンは、生き方を一変させた。贅沢とは程遠い、トレーラーハウスで引き篭もりの生活を送っていた。
辺鄙な片田舎で、食事は病院からくすねてくる期限が切れた血液パックのみ。夜になってもほとんど外出せず、ひたすらテレビ通販の視聴と、開設したブログ「人間になるために」に投稿するという日々だった。
そんな清貧の生活をしているせいか、飢餓感を抱えていても目の前を人間が横切っても牙が出てこなくなっていた。
これは、良い兆候……な筈だった。

前作でジェインの命を奪ってしまったと思い込んでいるクリスチャンの、善きヴァンパイアへの更生物語となってます。
トレーラーハウスの隣人、ジョリーの危機に救いの手を差し伸べたり、彼女を車で撥ねかけたことへの償いに、店の手伝いを買って出たりと、頑張るのですが……。人間との生活をヴァンパイアになってからはしてこなかったクリスチャンが頓珍漢な言動をとってます。
悪気は全くないのですが、失礼な態度をとってしまうクリスチャンに最初は頭に血がカーッと上るジョリー。でも、誠実な態度を取ろうと頑張るクリスチャンにほだされていくこととなります。
ジョリーとて、自分の育ちが最底辺だという負い目があり、他人を責められる立場にはないと卑屈なところがあるので。
それにしても今作は、テレビ通販や、アメリカンポップス(?)、ファッションなどに精通している人向けな仕上がりとなっているのか、どれにも詳しくない私にはチンプンカンプンなカタカナが大量に表記されてます。
「ヘアディニー」ってなんなのー。多分、クスリと笑ったり、ああと納得したりする箇所だと思うのですが、わからない者にとれば、意味不明のカタカナ列記ですなー。
メモ:陽光を浴びると火膨れ→炭化。


あなたの牙をひとりじめ ラ1-3 フローラブックス  発刊:2008.10.20
ヒロイン:ウィルヘルミナ・ワイス(ヴァンパイア/愛称ミーナ) ヒーロー:セバスチャン・ヤング(ヴァンパイア・第5代ロスモア子爵の末弟・「カーファックス屋敷」の経営者・1796年生まれ210歳)

あらすじ:「恋するヴァンパイア」シリーズ第3弾
兄貴たちのありがたい説教つきの休暇を渋々過ごしている真っ最中に、経営している店に未成年が出入りしているとの通報を受けたと警察がやって来た。警察への説明のために、セバスチャンはニューヨークに戻ってきた。
店への嫌疑は、あっという間に晴れた。
兄貴たちと過ごした禁欲の一週間の憂さを、盛大に晴らそうと意気込んでいたセバスチャンは、店内に珍妙なウェイトレスがいることに気付いた。
彼女は、人間かと見紛うほどに、ヴァンパイアとしての性質が希薄だったのだ。

末っ子気質大爆発のセバスチャン。明るく能天気な彼が、恋に落ちたのは、眼鏡っ娘のどじっ娘。
セバスチャンが吸血するのを阻止するために、デマを流したり、放火をしたり、ネズミを放したりするミーナ。
ことごとく失敗するのですが、浅はかな考えで行動する彼女に、なんだかなー…… 。セバスチャンの末っ子気質にほだされて読了できた。
ヴァンパイアであることに恐怖を感じているミーナをセバスチャンが「父」のように導いてます。
吸血と情動の処理のために付き合う女性の名前は、覚えられないセバスチャン。女性に対してかなり失礼なんですが、憎めない。
ミーナがヴァンパイアになったわけ、因縁の人物との邂逅などが、後半描かれることとなります。


満月の夜はあなたと ラ1-4 フローラブックス  発刊:2009.03.20
ヒロイン:エリザベス・ヤング(ウェアウルフ・27歳くらい/別名リジー) ヒーロー:ジェンセン・アドラー(獣医師)

あらすじ:「恋するヴァンパイア」シリーズ第4弾
獣医師として地域の患畜を親身に診ていた祖父も寄る年波に、身体が思うように動かせなくなってきたらしい。
ジェンセンは、そろそろ故郷に戻ってくる頃合いなのだと、気持ちに片を付けて帰郷した筈だった。しかし、幼馴染みで、大学2年の時に交通事故死した恋人ケイティのことを未だに、引きずってしまっていた。
周囲の者たちは、ジェンセンが亡くなった恋人に操を立てたような生活は良くないと色々とお節介をやいてくる。
今日も、近所のカラオケバーに友人夫妻に連れ出され、そこに亡くなったケイティと同じようなタイプの女性メラニーが同席していた。

メラニーはジェンセンとお付き合いしたいと頑張ってます。
が、ジェンセンの方はその気が全くないため、進展しません。まだるっこしい関係が展開されているときに、エリサベスが乱入。一目会った時から、火花が散ったエリザベスとジェンセン。ジェンセンのトラックの中で事に及ぶような、暴走ぶりを発揮してます。
完全に、主導権はエリザベスにあります。
根本的なことなんですが、どうして、エリザベスがヴァンパイアにならずに、ウェアウルフになったのか実は理解してません。クロスオーバーが失敗したから人間のまま、埋葬されて、ウェアウルフに助けられてそのままそっちの世界にいったってことなのか……。
そのあたりの説明箇所を、いつものように読み飛ばしてしまったのかなっ。
パラノーマルのお約束ごととか知識が、今一つなせいか、乗り切れずに読了。
どうせなら最後まで異種恋愛ものだったらいいのに。
人狼と人間との恋。イイ!!