ローラ・リー・ガーク


愛のかけらは菫色 ガ1-1 ラズベリーブックス  発刊:2008.03.17
ヒロイン:ダフネ・ウエイド(考古学者・24歳) ヒーロー:アントニー・コートランド(トレモア公爵・29歳)

あらすじ:罪悪感(ギルティ)シリーズ第1弾
考古学の権威だったヘンリー・ウエイドを、領地内の発掘作業の責任者として招聘しようと3年近くも躍起になっていたアントニーは、念願かなって件の人物を迎えることになった。
彼が到着したとの報告に控え室へと急いだが、そこにいたのは、くたびれきった様子で立ちすくむ若い女性がただ一人。
ヘンリー・ウエイドの愛娘、ダフネだった。
彼女の落ち着いた声が、ヘンリーが既に亡くなっていることを告げ、そしてこの発掘作業に一番役立つのは自分であると言っていた。
女性を雇うことに懐疑的であったアントニーだが、博物館の開館日は押し迫っており、有能な人材は咽喉から手が出るほど欲しかった。
試しに雇ってみたダフネは、その才能をいかんなく発揮して、今では発掘現場になくてはならない存在となっている。
その彼女が、いきなり辞表をアントニーに差し出してきたのだ。
ロンドンの社交界を楽しみたいからと。アントニーにとって、許しがたい状況が起こりつつあった。

一気読みする面白さでありました。
考古学に精通していて、出土品を修復していく腕はピカイチという認識しかなかったダフネを、魅力的な女性だとアントニーが認識していく過程が、恋に落ちていく過程なんですよねー。
ダフネに触れずにはいられないアントニーの恋情や交渉力が素晴らしいんですわ。
それに9歳から、領地を立派におさめていたアントニーはすごい。
メモ
ディラン・ムーア(作曲家・アントニーの友人)、ヴァイオラ・ハモンド(アントニーの妹、26歳?)


愛の調べは翡翠色 ガ1-2 ラズベリーブックス  発刊:2009.01.17
ヒロイン:グレース・シェヴァル(ヴァイオリン奏者・25歳) ヒーロー:ディラン・ムーア(作曲家・32歳)

あらすじ:罪悪感(ギルティ)シリーズ第2弾
無茶なスピードを楽しんだつけは、落馬だった。頭を岩に打ち付け、死にかけたディランは一命をとりとめたが、作曲家生命はその時、失った。
絶えることない耳鳴りが、響くのだ。こんこんと湧き出ていた曲想は、落馬事故以来、一音すら浮かび上がってこない。何よりも大切なものを失ったディランは、ピストル自殺を企てかけるが、それを止めたのは一人の若い女性だった。
彼女のヴァイオリンが奏でているのは、ディランが作曲したソナタだった。
自殺を思いとどまるよう話す彼女の声を聞いている内に、あの耳鳴りが成りをひそめ、その代わりにかすかに旋律が頭の中で響いた……。

2人の偉大なる芸術家に、インスピレーションの源泉と思われてしまったグレースの苦難の道。
17歳の時、駆け落ちしてまで恋を貫いた相手は、鬼才のフランス人画家エチエンヌ・シェヴァル。
25歳の今、グレースを誘惑しようと手ぐすねを引いているのは、稀代の作曲家、ディラン・ムーア。彼らの芸術にかける情熱を理解しつつも、命をすり減らしてまで身を捧げようとすることに苦々しさと諦めを抱いてます。
最終章でディランが、自分の愚挙をグレースに謝罪する場面が、すごくよかった。
グレースが亡くなった夫に対して抱いていた愛情に、自分は嫉妬しているのだと認識したところから、ディランの男ぶりがぐぐっと。
メモ
イアン・ムーア(外交官・ディランの兄)、ジョン・ハモンド(子爵、ディランの友人)


愛の眠りは琥珀色 ガ1-4 ラズベリーブックス  発刊:2009.07.17
ヒロイン:ヴァイオラ・ハモンド(ハモンド子爵夫人・26歳) ヒーロー:ジョン・ハモンド(子爵・35歳)

あらすじ:罪悪感(ギルティ)シリーズ第3弾
父親が流行り病で亡くなり、引き継ぐことになった領地は荒廃していた。再建のためには多額の資金が必要で、ジョンは友人であったトレモア公爵の妹ヴァイオラを必死に誘惑した。
どんな女性でも、ジョンの手管にからめ捕られる。初心なヴァイオラがジョンの妻に早々になったのは当然のことだった。
しかし、蜜月は半年だった。
ジョンの派手な女性関係が、破綻の原因となったのだ。
ハモンド子爵夫妻の別居生活は9年近くに及び、それは永遠に続くかと思えたが、どうしても跡継ぎが必要な事態がふりかかってきた。ジョンの後継者だった従弟のパーシィが息子とともに猩紅熱でこの世を去ったのだ。
パーシィの次の後継者は、浪費癖の強い従弟しかおらず、その者が継げば、領地はまた荒廃してしまう。
それを防ぐには、嫡子が必要だった……。

1作目から3年後のお話し。
妻のヴァイオラ、不倫相手、そして愛人と、女性陣が惜しみなく捧げる愛情の価値を、ジョンは全く理解してません。ジョンが紡ぐ甘い愛の言葉や行動に、心がこもっていなことを思い知らされたヴァイオラ達の苦しみが、これでもかこれでもかと書きつづられて、読んでてちとツライ。
その苦しみすらジョンは土足で踏みにじっているので。傷ついた彼女達がヒステリーな言動をとることに不快感と理解できないという考えしか思い浮かばないんですよね。
自分がどれだけひどいことをしていたのか、ジョンがようやく理解したのが353/383頁なので、彼の言動に対して寛容になれない人にはしんどい作品ではないかと思います。


楽園に落ちた天使 ガ1-3 ラズベリーブックス  発刊:2009.02.17
ヒロイン:オリヴィア・ルイーズ・メイトランド(桃果樹園主・29歳/愛称リヴ) ヒーロー:コナー・ブラニガン(流れ者のボクサー・36歳)

あらすじ
どれだけお金を積まれても、父祖から代々受継いできた土地を手放す気など起こりはしない。
以前、メイトランド家に雇われていたヴァーノン・タイラーが財を成し、実業家として故郷に戻ってきた。彼は、この地を通過する鉄道を敷こうと土地を買いあさっていたが、残り1区画が、オリヴィアの所有する農園「ピーチツリー」だった。
そこは父が母のために植えた桃が果樹園となっており、オリヴィアの生活の糧となっていた。この地の生活を牛耳っているヴァーノンからの買収を拒絶しているオリヴィアは、日々が奮闘の毎日だった。
桃の収穫を間近に控えているにも関わらず、穫り入れを手伝ってくれる男手を確保できていないのだ。オリヴィアに物を売ることを渋る店だってある。
どれもこれも「ピーチツリー」を手放せさそうとしているヴァーノンの差し金だった。
収穫を手伝ってもらえる男手が表れることを神に祈るほどに切迫していた彼女の前に表れたのは、ぬかるんだ道にズダボロになって倒れ伏している男だった。

アイルランド問題が物語の根底にあるので、コナーの過去は凄惨で悲惨で救いようがなくて、悪意しかない拷問の血なまぐさい描写に気持ちが荒んだり落ち込んだり。
だから、オリヴィアとコナーの間に培われていく信頼と愛情もさることながら、オリヴィアが引き取って育てている3人の娘達とコナーの間に築かれていく絆を読むとホッとします。
何もかも奪われてしまった男の手に、至上の幸福が降り注がれて、そのことに怖けついたりとコナーの傷ついた魂の救済物語となってます。
オリヴィアとコナーの言動の中に、3人の娘に対しての親としての愛情表現があふれ出てるのも素敵。
あと、最終場面でヴァーノン・タイラーがオリヴィアのことを「リヴ」と呼ぶんですよね。彼女の生活を困窮に陥れた男なんですけど、初恋の女性に最後まで振り向いて貰えなかった男は切ないよなぁとしみじみ。
メモ
6年前に引き取った娘達:ベッキー14歳(レベッカ・アン)、キャリー(女優か詐欺師か)、ミランダ


淑女にささげるキスの作法 ガ1-6 ラズベリーブックス  発刊:2010.06.17
ヒロイン:エマライン・ダヴ(秘書・29歳/愛称エマ) ヒーロー:ハリソン・マーロウ(子爵・出版会社経営・36歳・バツイチ/通称ハリー)

あらすじ
5年前の離婚が未だに大醜聞として、ハリーの家族を苦しめている。離婚に到るまでの悲惨な結婚生活について誰も考えようとしないのだ。
「離婚した」という事実だけで、社交界から爪弾きにあう。伝統や慣習、社会の規範をふりかざして声高に非難してくる。
結婚なんて、もう二度としないに限る……ハリーは、放蕩者として名を馳せていた。

5年前の離婚の痛手というか、10年近く続いた悲惨な結婚生活で傷ついた心をひきずって、放蕩三昧のハリー。
ロマンスの相手は、秘書のエマ。彼女は、もうすぐ30才になる無垢な乙女です。
作家になることを夢見ているエマが書くのは、15才の時から育ててくれた叔母リディアが薫陶し続けたお作法に関するもの。
エマの書く文章が、全く面白くも何とも感じないハリーは、当然のことながら出版するに値しないと、結論づけてます。エマの書くものに対して、一応、目は通してるハリー。でも、エマの作家名を読んで(記憶して)いなかったために、エマからの非難轟々を浴びます。そして、優秀な秘書を失う羽目に。
秘書として仕事や書きためたものに対して不当に扱われ続けたと奮起したエマは、ハリーの元を去り、ライバル誌でお作法に関するコラムを連載する仕事に就くことになるのですが………。

エマの原稿の良さが、ハリーの琴線に触れなかったために起こった騒動の顛末ロマンス。
あっさり読めます。
楽しく読めたんですが、しっくりとはこなかった。
もやもや感が残るー。
放蕩にもルールがあるんじゃないかとハリーに説教したいとか、社会の規範を口うるさく言ってたわりにはあっさり身を任せ過ぎだよエマとか、まぁその辺りが。