第14回公判の概要




闇サイト被告をたしなめる 名古屋地裁の裁判長

08年12月11日(共同通信


名古屋市の会社員磯谷利恵さん=当時(31)=が昨年8月に拉致、殺害された闇サイト事件の公判で、強盗殺人罪などに問われた無職川岸健治被告(41)の被告人質問が11日、名古屋地裁(近藤宏子裁判長)であった。川岸被告は被害者について「運が悪かった」と述べ、近藤裁判長から「開き直っている」とたしなめられる一幕があった。

川岸被告は検察、弁護側双方から、被害者や遺族への気持ちについて問われ、「お気の毒」などと発言。ひとごとみたいに聞こえると指摘され、「そういうふうにしか言えない。そこに包丁があるんだったら(私を)刺してください」と述べた。やりとりを聞いていた近藤裁判長がたしなめ、厳しい口調で「無責任で乱暴だと思う」と諭した。



川岸被告「死刑でも構わぬ」 千種拉致殺害公判

08年12月12日(中日新聞朝刊・記事抜粋)


名古屋市千種区の会社員磯谷利恵さん=当時(31)=が昨年8月、男3人に拉致、殺害された事件で、強盗殺人や逮捕監禁などの罪に問われた神田司(37)、堀慶末(よしとも)(33)、川岸健治(41)の3被告の公判が11日、名古屋地裁であり、川岸被告の被告人質問が行われた。

遺族への謝罪について、川岸被告は「申し訳ないことをしたという気持ちはある。でも、遺族が納得できない謝罪は意味がない」と供述。遺族が死刑を望んでいることに対して「死刑なら死刑で構いません」と言い「包丁があるなら今、(遺族に)刺してもらってもいい」と述べた。

その後、近藤宏子裁判長から真意を問われると「開き直っているのではない」と返答。「自分の命を差し出してもいいという意味か」との裁判長の問いに「そうです」とうなずいた。

自首した経緯については「『殺さないで』と言った磯谷さんの最後の言葉が頭から離れず、犯行後の神田、堀両被告の発言にも腹が立ったから」と説明した。検察側が事件の責任を問うと「自分が首謀者で、神田は主犯だ」と話した。



被害者に「お気の毒」

08年12月12日(読売新聞朝刊・記事抜粋)


川岸被告、反省の言葉なし

インターネットの「闇サイト」で知り合った3人組の男が2007年8月、名古屋市千種区の契約社員磯谷利恵さん(当時31歳)を拉致、殺害したとして強盗殺人罪などに問われた事件の公判が11日、名古屋地裁であり、住所不定、無職川岸健治被告(41)の被告人質問が行われた。川岸被告は、被害者への心境を質問されると「お気の毒」、磯谷さんが殺害された理由を「運が悪かった」などと淡々と述べたため、検察官が「人ごとのように聞こえる」とたしなめた。

弁護人は再三、反省の言葉を引き出そうとしたが、川岸被告は「表現の仕方がわからない」「『ご愁傷さま』だったらもっと腹が立つでしょう」などと繰り返した。近藤宏子裁判長が「被害者への気持ちは苦しいので考えたくないということか」と質問すると、「逃げているのかもしれない」と述べた。

また、前回の公判で磯谷さんの母・富美子さん(57)が「死刑判決を望む」と証言したことについては、「死刑なら死刑で構わない。生きることに未練はない」「私にも子供がいるし、逆の立場ならそう考える」と述べた。一方、自分以外の2被告について「(責任は)自分より重いと思う」「反省してない」と述べるなど、自らの責任は比較的軽いとする従来の主張を繰り返した。



命ごいの声が頭に 葛藤し自首決めた

08年12月12日(朝日新聞朝刊・記事抜粋)


名古屋市千種区の会社員磯谷利恵さん(当時31)を拉致、殺害したとして強盗殺人などの罪に問われた3被告の公判が11日、名古屋地裁であった。証拠調べの後、川岸健治被告(41)の公判が分離されて,情状面についての被告人質問が行われた。川岸被告は自首したことについて「磯谷さんの命ごいの声が頭に残り、葛藤して決めた。今も夢に出てくる」と述べた。

弁護人は磯谷さんに謝罪するように川岸被告を促したが、「お気の毒でかわいそう」と述べるにとどまり、「そういう表現しかできない」などと繰り返した。近藤宏子裁判長が「何を被害者に伝えるべきか、苦しくて考えたくないのではないか」と問うと、川岸被告は「逃げているのかも知れません」と応じた。

遺族が死刑を望んでいることについては「私にも子供がいるので、逆の立場なら私もそう思う」と供述した。



公判で自首の被告「死刑でもかまわない」

08年12月12日(毎日新聞朝刊・記事抜粋)


名古屋市千種区の派遣社員、磯谷利恵さん(当時31歳)を拉致・殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われた3被告の公判が11日、名古屋地裁(近藤宏子裁判長)であり、被告人質問で川岸健治被告(41)は「死刑になってもかまわない」と述べた。

弁護側から磯谷さんに対する気持ちを聞かれた川岸被告は「お気の毒ですとしか言いようがありません」と話し「申し訳ないという気持ちはあるか」と問われると「あります。だから死刑でもかまいません。そこに包丁があるなら刺してください。私は抵抗しません」と述べた。

警察に自首した理由について、磯谷さんが命ごいする場面が頭を巡ったことなどを挙げた。また川岸被告が調べに「自首しようか自殺しようか考えていた」と供述していたことも検察側の提出証拠で分かった。

検察側は川岸被告の父親が「親としてどう謝っていいか分からない。極刑の処罰を受けさせてほしい」と証言していたと述べた。