無 念 の 判 決



 「神田司被告、堀慶末被告死刑、川岸健治被告無期懲役」判長の口から出た言葉は、私共が事件以来、ひたすら願い続けた言葉ではありませんでした。川岸被告の刑事責任は、他の二人と比較して優るとも劣らないと裁判官も認めているのに、「自首」により死刑を免れたのです。

  今回の一審判決に一番不服なのは、被害者である娘だと思います。娘は川岸被告を一番許せないはずです。川岸被告が闇サイトを通じて人を集わなければ、今回の事件は起きていません。その上川岸被告は、庖丁で脅されて嘘の暗証番号を言った直後の、恐怖の極みの中にいる娘を、二度にわたり暴行しようとしました。幸いに未遂で終わりましたが、その行為は絶対に許せるものではありません。

  闇サイトに書き込みをして、人を集めた首謀者である川岸被告が、死刑になりたくないと自首した事が減刑になり、被告は望みどおり死刑を回避しました。反対に、三人共の死刑を求めていた私共の願いは叶いませんでした。インターネットの掲示板で集った者は、何の落ち度も関わりもない人を惨殺しても、自首すれば犯した者の命は守られるのです。こんな納得のいかない話はありません。

  「インターネット上の掲示板を通じて形成された犯罪者集団による犯罪は、凶悪化、巧妙化し易く危険である。匿名性が高いので発覚、逮捕されにくく、摸倣性も高く社会安全の見地から厳罰をもって望む。」と一般予防の見地を重く見ての死刑判決でした。その反面、発覚、逮捕されにくいので、自首の評価が高くなり死刑を回避したのです。
  そのような危険性の高い掲示板を通じ、これまで多くの犯罪が起きています。しかし国は何の規制もかけずに放置しているのです。このような「国の怠慢によって起きた事件を、自首が解決に導く手助けをしてくれたから、その見返りとして減刑する。」私にはそのように言っているように聞こえました。

  川岸被告は判決直後に、報道関係者の取材に対し「ばれなければ悪いことは駄目だとは思わない。」と豪語しています。公判廷でも同じ事を言っています。判決文でも、「自首の動機については、真摯な反省悔悟に基づくものとは到底言えない。」と論じています。 そのような更生の可能性がない川岸被告を、何十年も税金で養い社会に放つ必要があるのでしょうか。社会に戻れば再び罪を犯す事は目に見えています。また被害者がでます。その責任は誰が取るのでしょうか。次の被害者に、司法の責任を全て背負わせるつもりなのでしょうか。

  検察庁も川岸被告を控訴しました。神田、堀被告の弁護人も既に控訴しています。私は事件当初と同じで、三人の被告全員の死刑判決で結審することを願いこれからも闘います。
  風化を防ぐ為に署名活動も継続致します。長い闘いになりますので、無理のない範囲でのご支援ご協力を宜しくお願い致します。 
平成21年3月27日
 磯谷 富美子