判 決 要 旨



 【罪となるべき事実】

 3被告は2007年8月24日午後11時10分ごろ、名古屋市千種区の路上を歩いていた磯谷利恵さん=当時(31)=を車内に拉致し、監禁。現金などを奪い、翌日未明、愛知県愛西市の駐車場で金づちで何度も殴り、ロープで首を絞めて殺害、岐阜県瑞浪市の山林に遺体を遺棄した。川岸健治被告(42)はその間、2度にわたり車内で磯谷さんへ強姦しようとしたが、目的を遂げなかった。


 【犯行に至る経緯】

 3被告はそれぞれ、携帯電話サイト「闇の職業安定所」の掲示板を利用。川岸被告が同年8月上旬ごろ同サイトに「愛知県の人で何か組みませんか」と書き込み、神田司(38)、堀慶末(33)両被告が返信して知り合った。互いに悪さ自慢のようなことをしながら、強盗の計画について話し合った。


 【争点に対する判断】

 強盗殺人などの共謀の成立時期を検討する。

 3被告は同月24日午後に集まり、拉致した女性から現金を奪い最後は殺害することに合意。遅くとも、犯罪計画を話し合った名古屋市の飲食店を出発した同日午後7時ごろには共謀が成立していたことは明らか。

 確かに3被告が知り合った当初は、素性の分からない者同士で真意を測りかねていた。しかし殺人を承諾することについて、虚勢を張ったり半信半疑の気持ちがあっても、共謀成立の認定を妨げるものではない。また共謀成立には、殺害の日時、場所、手段などが特定されている必要はない。


 【量刑理由】

 楽して金もうけをしたいという強い利欲目的の動機に何ら酌量の余地はない。

 被害者が「殺さないって言ったじゃない」などと必死の命ごいをしたにもかかわらず、3被告は耳を貸さず殺害を遂げており、その態様は無慈悲、凄惨で、残虐というほかなく、想像するに戦慄を禁じ得ない。

 母親思いの被害者が、必死の思いで理不尽な犯行に耐え、何とかして生きて帰ろうとする中で味わった恐怖、苦痛、絶望感はいかばかりかと思われる。被害者の無念を言い表す言葉を見いだすことはできない。

 母親にとって被害者は生きがいであり宝だった。3被告全員に極刑を求める峻烈な処罰感情を表明しているのは当然だ。

 通りすがりの一般市民の殺害を、インターネット上の掲示板を通じて形成された犯罪者集団が計画、遂行したという点に特色があり、この種の犯罪は凶悪、巧妙化しやすく危険。模倣される恐れも高く悪質な犯行で、社会の安全に重大な脅威だ。厳罰をもって臨む必要性が高い。

 結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯行後の情状なども考慮すれば、被害者の人数が1人であること、服役した経験がないこと、そのほか神田、堀両被告に有利な諸事情を最大限考慮しても、一般予防の見地から極刑をもって臨むことはやむを得ない。

  インターネットによって集まった犯罪者集団による本件犯罪は、その性質上、発覚、逮捕が困難。川岸被告が自首し、神田、堀両被告の逮捕に協力、その後に起こり得た犯罪を阻止し、解決に結果として寄与したという点は量刑上、有利と評価できる。川岸被告の刑事責任は極めて重大で、本件犯行を十分に反省しているとまでは認めがたいが、自首を考慮し、無期懲役に処し贖罪に当たらせるのが相当だ。
【共同通信】