名古屋市千種区で2007年8月、会社員磯谷利恵さん=当時(31)=が男3人に拉致、殺害された「闇サイト事件」で、強盗殺人罪などに問われた堀慶末(よしとも)(35)、川岸健治(43)両被告の控訴審第2回公判が24日、名古屋高裁であった。両被告の心理鑑定をした臨床心理士が弁護側証人として出廷し「金に困るなど同質的な3人による同調行動が事件につながった」と凶悪化の要因を分析した。
臨床心理士は山田麻紗子・日本福祉大准教授。両被告それぞれの弁護人から依頼を受け、両被告との面接や心理テストなどを基にまとめた鑑定報告書が控訴審で証拠採用されている。
山田准教授は両被告とも「攻撃性はうかがえない」と説明。堀被告を「自己主張より同調を選びがち」と指摘し、集団の特性がなければ凶悪犯罪は「想定しにくい」と述べた。川岸被告には「サスペンスドラマを見ているようだった」という面接での発言や軽度知的障害を挙げ、「どこまで認知して犯行に及んだか疑問」との見解を示した。
一審の名古屋地裁判決は、インターネットの闇サイトで知り合った集団による発覚困難な犯行という点を重視。神田司死刑囚(39)=控訴後に取り下げ=と堀被告を死刑、犯行直後に自首した川岸被告を無期懲役とした。 |