コラム 瀬田貞二訳に思う


瀬田貞二訳に思う・・・。(大したことは書いていません。)

最近指輪関係のホームページもずいぶん増えて充実してきたなぁ。
と、うれしいことである。

そしてなんと言っても期待されるのが、2001年公開の映画の出来である。

しかし、自分の掲示板にも書き、また、ほかの方々のページでも批評されているように、
その題名の邦訳「ロード・オブ・ザ・リング」はいただけない。
訳のセンス、と、言うよりも物語の本質を表していない
誤りであると言わざるを得ない。

そこで、ふと原点の瀬田貞二訳に立ち戻ってみた。
瀬田貞二氏は、数えられ無いほどの、絶妙な訳いくつもをしたものである。



strider 馳夫

言わずとしれた名訳「ストライダー」>「馳夫」。

Long Lake Esgaroth エスガロート たての湖

ロング・レイクというと文字通りに取ると「長い湖」である。 それを、イメージ的に捕らえ、また音韻的に美しい「たての湖」としてしまう妙。

Lonely Mountain はなれ山

これも意味的には「孤独な山」。 物語の中で受け入れやすい訳だと思う。 そして、瀬田貞二訳で最も素晴らしいものは、 The Lord of the Ringsの題名の訳 『指輪物語』であろう。 その他のある訳者の訳で、『指輪の王』だとか、 また、映画の邦訳、「ロード・オブ・ザ・リング」などの訳があるが、 「指輪の王」も「ロード・オブ・ザ・リング」 もどちらも文字通り解釈をすると、「指輪の魔王」サウロンその人を 指すものである。 つまり、これらの訳の意味するところは「サウロンの物語」 という意味になってしまう。 ところが原作を読んだものならわかるとおり、The Lord of the Ringsは サウロンの物語、というものではなく、中つ国の第三紀の物語、 「指輪にまつわる全ての物語」なのである。 そして、「指輪物語」というタイトルは、 それらの物語、全てを包括した。訳なのである。 「指輪(に関する)物語」なんとすばらしい訳であろうか。 「指輪物語」、これこそが瀬田氏の訳の最高傑作ではないかと私は思う。

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