キリスト教豆知識 4


<キリストの意味>
イエス・キリストとよく言いますが,これを名と姓のように思っていらっしゃる方もあるようです. イエスが生きていた当時は,姓というものがなく,「どこそこのだれだれ」とか「誰の子だれだれ」という 言い方をしていました.その言い方をするならイエスは,「ナザレのイエス」であり「ヨセフの子イエス」です.
では「キリスト」とは,姓ではなければ何でしょう.○○王とか,△△神父というような, いわば称号とか役職名のようなものと思っていただけばよいでしょうか.キリストはギリシア語ですが, ヘブライ語ではメシアといいます.どちらも,現在は「救主」「救世主」という意味で使われています.しかし, もともとの意味はそうではありませんでした.語源をたどると,「油塗る」という言葉から作られた言葉で, もともとは「油塗られた者」という意味なのだそうです.「油塗られた者」(聖書では「油を注がれた者」という 表現が出てきます)とは,イスラエルでは「王」に与えられる称号でした.それが,「救主」の意味で 使われるようになったわけです.つまり,

 油塗る → 油塗られた者=王 → メシア(ヘブライ語)=キリスト(ギリシア語)=救主

という関係になります.
イスラエルの歴史の中でもっとも栄光ある王は,パレスチナ全土を統一したダビデ王です.しかしその後, イスラエルは分裂したり,他国の占領下におかれ,永年その支配に苦しんできました.イエスの時代, ユダヤ人たちは自分たちの国を救ってくれる新しい王,ユダヤの救主を待望するようになります. そこへ出てきたのがイエスでした.ところがイエス自身は純粋に精神的,宗教的な意味でのすべての人間の 救いのために働いたのですが,ユダヤ人たちはそうとは受けとらず,ユダヤの王の到来と考えました. その考えのちがいから,ユダヤ人は彼に失望し,彼を十字架に追いやったわけです.
ユダヤの王,ユダヤの救主として歓迎され,誤解されて十字架にかけられたイエスですが, その十字架は神の救いのみ業のために必要なものでした.十字架によって,すべての人間の罪をあがない, 人間の救いを完成させることで,現在使われている意味での救主=キリストとなったのです.





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