Ave verum Corpus

 <歌詞と訳>
 <典礼での位置づけ>


<歌詞と訳>
1Ave 2verum 3Corpus 4natum 5de 6Maria 7Virgine:
7処女 6マリア 5より 4生まれました 1めでたし 2真実の 3御からだよ:

1Vere 2passum, 3immolatum 4in 5cruce 6pro 7homine:
7人類の 6ため 1真に 2苦しみを受け, 5十字架の 4上で 3犠牲として捧げられました:

1Cujus 2latus 3perforatum 4fluxit 5aqua 6et 7sanguine:
1その人の 2わき腹は 3刺し貫かれ 567血を 4流し出しました:

1Esto 2nobis 3praegustatum 4mortis 5in 6examine.
2わたしたちにとって 4死の 6審問(試練) 53前もって味わう 1者となってください.

1O 2Jesu 3dulcis! 4O 5Jesu 6pie!
1おお 3甘美な 2イエスよ! 4おお 6誠実な 5イエスよ!

1O 2Jesu, 3fili 4Mariae.
1おお 2イエスよ, 4マリアの 3息子よ.


<典礼での位置づけ>
 この「Ave verum Corpus」ような曲は,「モテット」と総称されています.「モテット」とは,ラテン語の歌詞による典礼用の多声作品で,器楽による伴奏が付くこともあります.歌詞の内容は典礼文の一部であったり,古くから伝わっている宗教詩であったりします.(ただし,時代が違うとモテットという言葉が差すもの自体が違ってきますので,ここでは15〜16世紀のカトリック教会音楽としてのモテットです.)
 モテットの作曲技法や,作曲家による様式については詳しい解説がありますが,では実際にどのような機会に演奏されたのだろうと考えた時,それを解説してくれる文章になかなか行き当たりませんでした.そんな中で,「名曲解説全集第21巻(音楽之友社)」と「中世キリスト教の典礼と音楽(教文館)」に簡単な解説がありました.それらによりますとモテットは,ミサや聖務日課の特に晩課の中で,その日のためにと規定されている典礼文の代わりに,またはそれらの典礼文の間にはさみ込んで演奏されたようです.
 特に「聖体祭」が反宗教改革後典礼として確立されてからは,その晩課の終わりに慣行として行われた「聖霊降福式」のために,聖体に関するモテットが多く作曲されました.聖体祭は三位一体の主日(復活祭の50日後が聖霊降臨祭でその直後の主日)後の木曜日に行われ,17世紀ごろには復活祭や聖霊降臨祭に匹敵する扱いを受けて,盛大に音楽を取り入れて執り行われていたようです.
 したがって,「Ave verum Corpus」は,聖霊降福式の際に,またミサの中で固有文聖歌に換えて演奏されたと考えられます.




目次

前の文章

次の文章