トルヒーヨ

 リマを出発し、これからトルヒーヨ(Trujillo)へと向かった。下にはリマの夜景が見える。午後7時フリアカからリマに向かうのと同じ軽食が配られた。7時30分、トルヒーヨ空港に到着した。空港内に入ると、明日訪れる月のワカ(ワカ・デ・ルナ:Huaca De Luna)のレリーフのレプリカ、ワンチャコ海岸(Huanchaco)の葦の小舟カバジィート(Caballito)のミニチュアが飾られ歓迎してくれた。明日の観光が楽しみである。トルヒーヨは1536年、インカ帝国を征服したスペイン人フランシスコ・ピサロによって建設された。トルヒーヨという名は彼の生まれ故郷の地名から付けられたものだ。現在はラ・リベルタード県の県都でもある。リマ、アレキパに次いでペルー第3の都市である。

月のワカのレリーフ(レプリカ)1 月のワカのレリーフ(レプリカ)2 トルヒーヨ地ビールの看板 葦の小舟(ミニチュア)
             月のワカのレリーフ                   地ビールの看板     葦の小舟のミニチュア

空港には金城旅行社と提携している旅行代理店トルヒーヨ・ツアーズの人達が待っていた。『Mr.OCHI』のボードを出していたので直ぐに分った。送迎車は日本製の古いワゴン車だった。真っ暗なのでどこを走ってるのか分らないが、8時にホテル・エル・ゴルフ(Hotel El Golf)に到着した。先に食事をする事にした。前菜はエンサラダ・デ・トマテ・ア・ラ・イタリアーナ(Ensalada De Tomate A La Italiana:イタリア風トマト・サラダ)12ソーレス(約480円)、スープ(ソパ:Sopa)はクレマ・デ・ポーヨ(Crema De Pollo:鶏のクリーム・スープ)10ソーレス(約400円)、メインディッシュはコルドン・ブレウ・デ・ポーヨ(Cordon Bleu De Pollo:鶏のグリル)22ソーレス(約880円)、デザートはエラード(Helados:アイスクリーム)7ソーレス(約280円)、飲み物はトルヒーヨの地ビール(セルベッサ:Cerveza)、ピルセン・トルヒーヨ(Pilsen Trujillo)5ソーレス(約200円)、紅茶(テ:Te)3ソーレス(約120円)だった。パン(Pan)は居酒屋のお通しみたいなもので、必ず出される。どの料理も日本人の口に合うものばかりで美味だった。量が多いので満腹満足だった。

パン ビール イタリア風トマト・サラダ
    パンの盛り合わせ            ビール            イタリア風トマト・サラダ

鶏のクリーム・スープ 鶏のグリル アイスクリーム
   鶏のクリーム・スープ          鶏のグリル            アイスクリーム

紅茶 
         紅茶

 レストランには、ワンチャコ海岸で漁をしているのを描いた絵画が飾られてあった。ウェイトレスのセニョリータもボニータ(Bonita:かわいい女性)だった。簡単なスペイン語で会話した。

 ウェイトレス1 ウェイトレス2
         漁の風景画                       ウェイトレス

レストランにて コック1 コック2
     レストランにて                       コック

 レストランを出て部屋に戻った。一人にしては贅沢な部屋である。このホテルは5つ星でトルヒーヨでも最もいいホテルだ。

ホテル・エル・ゴルフ1  
        廊下

ホテル・エル・ゴルフ2 ホテル・エル・ゴルフ4 ホテル・エル・ゴルフ3
                            部屋

ホテル・エル・ゴルフ7 ホテル・エル・ゴルフ6 ホテル・エル・ゴルフ5
         バス                トイレ                洗面台

 トルヒーヨ到着から一夜明け、今日1日トルヒーヨ観光が待っている。朝食はパン、スクランブル・エッグ、オレンジ・ジュース、紅茶であった。しっかり残さず食べた。昨日のパンもだが、パンが実に美味しかった。ホテル自家製だろうか?

朝食1 朝食2
                  朝食

ホテル・エル・ゴルフ8 ホテル・エル・ゴルフ9 ホテル・エル・ゴルフ10
                        ホテルのプール

ホテル・エル・ゴルフ11 ホテル・エル・ゴルフにて1 ホテル・エル・ゴルフにて2
      ホテル正面             ホテル正面にて ホテル・マンとガイドさんと

 午前9時10分ホテルを出発、9時25分に砂漠地帯に到着した。この砂漠にはワカ(Huaca)と呼ばれる神殿がある。この辺りはモチェ(Moche)文化が栄えたところだ。セロ・ブランコ(Cerro Blanco ブランコは白という意味)と呼ばれる綺麗な円錐型の山の麓には月のワカ(ワカ・デ・ラ・ルナ:Huaca De La Luna)、その反対側に対照的に太陽のワカ(ワカ・デ・ソル:Huaca De Sol)がある。どちらも現在発掘調査中で、月のワカのみが見学出来る。早速ガイドさんの案内で月のワカ内部へと向かった。月のワカの基底部は60m×80mの台形型だ。アドベ(Adobe)と呼ばれる日干し煉瓦を途方もない数積み上げられている。内部に入ると鮮やかなレリーフが見えてきた。赤、黄、青、白、黒で塗られていて、デゴジャドール(Degollador)という勇ましい顔が印象的だ。ガイドさんの説明によると、ギョロっとした目はフクロウ、牙をむき出した口はピューマ、周りの髭や髪の毛は波を表しているそうだ。顔を縁取っているインベーダーみたいなのはエイだそうだ。よくここまで良好な状態で残っていたものである。本来日干し煉瓦製のワカは雨で浸食されてしまうのだが、幸いにしてコスタ(Costa)と呼ばれる海岸地域は降雨量が極めて少ない為、今まで残ったのである。

月のワカ1 月のワカ2 月のワカ3 月のワカ4
      アドベの壁                                  レリーフ

月のワカ5 月のワカ6 月のワカ7 
                 レリーフ                         アドベ            当時想像図

月のワカ8 月のワカ10 月のワカ9
   コーティングされた壁           レリーフ             アドベの様子

月のワカ11 月のワカ12 月のワカ13
                           レリーフ

月のワカ14 月のワカ15
                レリーフ

 見学順序に沿って行くと、月のワカの頂上に出た。ここからの展望は素晴らしく、背後にはブランコ山がそびえ、向かい側には太陽のワカが見える。太陽のワカは月のワカよりも遥かに大きく、基底部は223m×138m、高さは23mあり、1億3000万個のアドベを使っている。どれだけの人員が動員されどれだけの年月がかかったのだろうか。頂上付近では発掘調査が続けられている。ガイドさんから記念に入場券と小冊子(スペイン語)をもらった。因みに月のワカの入場料は5ソーレス(約200円)である。写真撮影料はなかった。

 
             表        月のワカ入場券         裏

月のワカから見た太陽のワカ ブランコ山
 月のワカからの太陽のワカ       ブランコ山

発掘風景1 発掘風景2
               発掘作業風景

 月のワカの見学を終えて休憩する事にした。喉が渇いたので売店に入るとまたまた健康的なボニータがいた。ここではコカ・コーラ(500ml)を買った。5ソーレス(約200円)だった。洋酒やお洒落なグラスが並んでおり、ちょっとしたバーのようだ。

売店の女の子1 売店の女の子2
               売店の女の子

 飲み終わって外に出ると黒くて裸の犬がいた。この犬は無毛の種でインカ時代からの犬らしい。中国から伝わったとする説もある。

インカ犬1 インカ犬2
                インカ犬

月のワカ 月のワカにて
       月のワカ            月のワカにて

太陽のワカ 太陽のワカにて
      太陽のワカ           太陽のワカにて

 遺跡にはお土産屋もあって、土器(セラミカ:Cerámica)のレプリカがぎっしりと並んでいた。後から思えば買っておけばよかったと思うが、この時点ではかさばるからやめた。おじいさんが一人で切り盛りしていた。

お土産売りのおじいさん1 お土産売りのおじいさん2
            お土産屋のおじいさん

 1時間の見学を終えて10時25分、太陽のワカ、月のワカを出発した。10時45分、アルマス広場(プラサ・デ・アルマス:Plaza De Armas)に到着した。アルマス広場はスペインが統治した街の大小にかかわらずあるもので、街の中心部(セントロ:Centro)である。アルマス広場にはカテドラル(Catedral)と呼ばれる大聖堂が必ず面してある。小さな街だとカテドラルの替わりに教会(イグレシア:Iglesia)がある。トルヒーヨのカテドラルは真っ白で美しい。アルマス広場は憩いの場だけあって、賑わっていた。5分という短い間ではあったが、10時50分次の目的地へと向かった。

カテドラル カテドラルにて
      カテドラル            カテドラルにて

アルマス広場 アルマス広場にて
      アルマス広場          アルマス広場にて

 11時にドラゴンのワカ(ワカ・デル・ドラゴン:Huaca Del Dragón ドラゴンは龍)に到着した。別名虹のワカ(ワカ・デル・アルコイリス:Huaca Del Arco Iris アルコイリスは虹)ともいわれる。ドラゴンのワカ(虹のワカ)はチムー(Chimu)時代のピラミッドで虹と宗教的意味合いのレリーフが見事である。坂を登って頂上に行くと大きく仕切られた部屋のようなものがあった。食糧や物資などの貯蔵庫だったのだろうか?

ドラゴンのワカ1 ドラゴンのワカ2 ドラゴンのワカ3
                           レリーフ

ドラゴンのワカ4 ドラゴンのワカ4 ドラゴンのワカ9
                     ドラゴンのワカ(虹のワカ)            

ドラゴンのワカ6 ドラゴンのワカ7 ドラゴンのワカ8
                     ドラゴンのワカ(虹のワカ)

ドラゴンのワカにて
ドラゴンのワカ(虹のワカ)にて

 ドラゴンのワカ(虹のワカ)で1時間30分見学し、午後0時30分に出発した。これから海へと向かった。1時に海岸近くのレストラン、クルブ・コロニアル(Club Colonial)に到着した。時間も時間だし空腹だったので嬉しかった。メニューは、パン、アスパラガスのサラダ、舌ビラメのムニエル、アイスクリーム、生ビール、紅茶であった。漁業大国だけあって魚は美味しい。

昼食1 昼食2 昼食3
 パン アスパラガスのサラダ     舌ビラメのムニエル         アイスクリーム
 生ビール

紅茶 
        紅茶

レストラン1 レストラン2 レストラン3
                    レストラン クルブ・コロニアル

 レストランの料理を堪能し、2時40分ワンチャコ(Huanchaco)海岸へと向かい2時45分に到着した。この日は波も高く荒れていた。ペルーの夏(12月前後)は多くの海水浴客で賑わうようだ。目の前の海は太平洋、遥か彼方に日本があるのだ。この海岸は昔ながらの葦の小舟カバジィート(Caballito)で漁をする。荒れているため漁の風景を見る事は出来なかったが、海岸の堤防にはいっぱいカバジィートが立てかけてあった。漁師の像のモニュメントもあり、どういう姿勢で漕ぐのかが理解出来る。20分程見学して3時5分に出発した。

ワンチャコ海岸 ワンチャコ海岸2 カバジィーロ1 カバジィーロ2
               ワンチャコ海岸                               カバジィーロ

ワンチャコ海岸3 ワンチャコ海岸にて 漁師の像
     ワンチャコ海岸         ワンチャコ海岸にて           漁師の像

 パン・アメリカン・ハイウェイを走り、3時15分にまたまた広大な砂漠地帯に到着した。チャン・チャン遺跡(チャン・チャン・ルイナス:Chan Chán Ruinas)だ。チャン・チャン遺跡は1986年、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。登録名はチャン・チャン遺跡地帯である。今回の旅でクスコ、マチュ・ピチュに次いで3つ目の世界遺産だ。チャン(Chan)とは太陽という意味で、チャン・チャンとは多くの太陽が昇る場所という意味である。チャン・チャン遺跡はチムー王国時代の都市跡で、チムー王国は1100年頃から栄えたが、次第に勢力を拡大していくインカ帝国に侵略を受け、1460年から1470年にかけての戦争で敗れ征服された。最盛期の領土はエクアドル国境付近から海岸地域700kmにも及ぶ。またチムー王国は月(ルナ:Luna)を崇拝した。首都チャン・チャンは推定人口8万人から10万人程で当時としては最大級の都市で、その面積は18kuにも及ぶ。大きく14の地区からなっているが、一般公開しているのはパラシオ・チュディ(Palacio Tschudi パラシオは宮殿)という区画のみである。このエリアは王族、貴族、神官などの高貴な身分の人達が暮らしていたという。遺跡の周囲は高さ15mから18mの壁で囲まれており、かなり侵食していて高さがまちまちである。早速遺跡に入っていった。遺跡の入場料はやはり世界遺産指定の為か少し高く10ソーレス(約400円)だった。写真撮影料はいらない。幅が狭い入口を抜けると通路を通って行くと大きな広場に出た。様々な儀式が行なわれた場所である。儀式の広場を抜けると主神殿に入る。遺跡は近年のエル・ニーニョ現象によって、本来殆ど降らない雨が降るために被害にあった。そこで部分部分竹で組まれた屋根に覆われていた。ここで目を引くのが、壁のレリーフである。カワウソ?、魚、海鳥をモチーフにして規則正しく繰り返されている。この整った美しさには驚かされる。網目模様のレリーフは魚網とか波を表している。

 
  チャン・チャン遺跡入口   チャン・チャン遺跡入口前の風景

 
           表         入場券         裏

  
                儀式の広場

 当時の国王が立っていたであろう場所に立ってみた。

  
               主神殿入口にて

 
              カワウソのレリーフ


                                  カワウソのレリーフ

  
    魚と水鳥のレリーフ         魚のレリーフ              壁にて


                                   水鳥のレリーフ

 
              網目模様のレリーフ

  
               遺跡の様子                     網目模様のレリーフ

  
                          遺跡の様子

  
                          遺跡の様子

  
                遺跡の様子                           格子模様のレリーフ

 見学区域のほぼ中央に櫓のような展望台があり、遺跡全体が見渡せる。こうしてみると改めて遺跡の広大さが実感出来る。全ての区域を発掘して修復するにはまだまだ時間がかかりそうだ。チャン・チャン遺跡はユネスコ世界遺産(文化遺産)の中でも危機遺産に登録され、遺跡保存が急務になっている。

  
                       展望台からの眺め

 
              展望台からの眺め

 ここは貯水池跡で、ここ最近までは水が湧いていたという。これだけの都市の水を確保するだけあって巨大だ。

 
                 貯水池

 壁に四角い穴が開いている場所があった。貯蔵庫の跡らしい。通路も両側歩道のような段差があった。

 
        通路               貯蔵庫

  
         門




                      パンフレット

 チャン・チャン遺跡でたっぷり1時間45分見学して、5時にチャン・チャン遺跡を後にした。5時30分にホテルに到着し、トルヒーヨ最後の食事を取った。メニューは、パン(Pan)、前菜にエンサラダ・ミクスタ(Ensalada Mixta:ミックス・サラダ)、メイン・ディッシュにロモ・サルタード(Lomo Saltado)、トルヒーヨの地ビール(セルベッサ:Cerveza)、ピルセン・トルヒーヨ(Pilsen Trujillo)である。ミックス・サラダはアボガド(アグアカテ:Aguacate)、キャベツ(コル:Col)、ニンジン(サナオリア:Zanahoria)、トマト(トマテ:Tomate)がたっぷりで、ドレッシング(サルサ:Salsa)はフレンチ・ドレッシング(サルサ・フランセサ:Salsa Francesa)だった。ロモ・サルタードはペルーの代表料理の一つで、ロモ(Lomo)とは牛肉の事で、ペルー版牛肉のステーキといった感じだ。因みにスペイン語で牛肉は、カルネ・デ・バカ(Carne De Vaca カルネは肉 バカは牛)という。余談だかニンニクの事はアホ(Ajo)である。バカとアホ、国が変われば意味も変わるものだ。

夕食1 夕食2
     ミックス・サラダ           ロモ・サルタード

 最後にホテルの従業員達と一緒に写真を撮った。このホテルのセニョリータスはみんなボニータだった。

   

   

 

 


    ホテル パンフレット

 出会いがあれば別れもある。楽しいホテルだったが出発の時が来た。6時55分にホテルを出発した。7時20分にトルヒーヨ空港に到着した。ここでガイドさんともお別れである。搭乗手続きを済ませアエロ・コンチネンテの機内へと向かった。8時に出発し、8時30分軽食が配られた。あげパンとクリームパン、ドリンクはコカ・コーラを選んだ。


メニュー
 あげパン
 クリーム・パン
 コカ・コーラ

 8時55分にリマのホルへ・チャベス国際空港に到着した。出口ではガイドさんが待機していた。ガイドさんの愛車で今夜の宿、ホスタル・トーレ・ブランカ(オスタル・トーレ・ブランカ:Hostal Torre Blanca)に向かった。夜のリマも賑やかである。9時50分ホスタルに到着した。
ホスタル(オスタル:Hostal)とはホテル(オテル:Hotel)とは区別されるもので、日本でいえば民宿とか旅館のようなものである。こじんまりとして感じのよさそうだった。ガイドさんとは今日はお別れで、明日からナスカへと案内してもらう。部屋に入って寛いでいたら何やらドリンクを持ってきてくれた。ウェルカム・ドリンク・サービスで、ペルーを代表するカクテルのピスコ・サワー(Pisco Sour)だ。ブドウを原料とした蒸留酒、つまりブドウ焼酎のピスコをベースにしたもので、レモン汁、シロップ、卵白が入っていて飲み易くて美味しかった。白くなっているのは卵白を泡立てるからだ。ピスコ・サワーを飲んでシャワーを浴びて明日の準備をして寝ることにした。

ピスコ・サワー
     ピスコ・サワー