「革新的生産スケジューリング」 補足と正誤表

補足

安全在庫量の計算式について

先日、知人のコンサルタントから安全在庫量の計算式について、質問をいただいた。
小著「革新的生産スケジューリング入門」の第7章3.2節で、私は、

  安全在庫量=平均需要量×予測誤差×計画変更不可日数

と書いた。氏の質問は、“この式は一般的に知られているものと異なっているようだが、どういう根拠から導いたものなのか?”というものだ。

たしかに、この式は誤解を招きやすいので、少し説明が必要かもしれない。まず、これを

  安全在庫=平均需要量×計画変更不可日数

とすれば、誰にも意味はわかりやすいだろう。計画変更で対応できない直近の日数分は、安全のため在庫を持っておく、と。問題は、「×予測誤差」の項だと思う。

もし、計画変更不可日数の期間内における需要量が、かりに予測平均値のプラス3%まで上がる可能性があるのなら、安全在庫としては、

  平均需要量×計画変更不可日数×1.03

としなければならない。では、この3%はどうやって求めるのか?

教科書などによくある説明では、需要変動は正規分布に従うと仮定した上で、予測誤差としては、期待値のまわりの標準偏差(σ)を平均値で割って、プラスマイナス3%、というような言い方をする。

しかし、はたしてこれで本当に「安全」なのか? ガウス分布ではσは分布の約7割をカバーするだけだ。3割以上の確率で、需要は3%の範囲を超えてしまう。ならば、2σ、3σなら大丈夫、いや“シックス・シグマ”にしておけば大丈夫か? 無論、答えはNOである。数学的には、確率上の限界はないのだから。まして、そもそも本当に需要変動パターンはガウス分布やポアソン分布の形に従うのか? 

そう考えてみると、理論的にも実際的にも、本当の意味での「安全」は存在しないのである。したがって、あくまでも計画者の判断と責任によって、上記の予測誤差のファクターを1.03ではなく1.1にしたり1.5にしたりすることになる。

だから、もしこれを、

  安全在庫=平均需要量×計画変更不可日数×(1+需要変動の標準偏差比率)

などと表記すると、かえって間違いの元になる。あえて「予測誤差」という風に(どうとでも解釈できるような)表記にしたのは、そのためである。

とはいえ、上記の式がわかりにくいのはご指摘の通りである。「予測誤差」の項は、あるいは「変動ファクター」とでも書いた方がよかったかもしれないと反省している次第である。

正誤表

語句 訂正語句
116 最終組立・検査のリードタイム=3週間 最終組立・検査のリードタイム=6週間
126 2月第1週を見ると、計画供給量の線は200個ほど確定需要量の線よりも多いことが分かります。 2月第1週を見ると、計画供給量の線は100個ほど確定需要量の線よりも多いことが分かります。
127 逆に、もし1月第4週に200個の引き合いが入ったら、どうでしょう。図を横に見ていくと、供給線が確定需要線を200個上回るのは1週間後の2月第1週ですね。 逆に、もし1月第4週に100個の引き合いが入ったら、どうでしょう。図を横に見ていくと、供給線が確定需要線を100個上回るのは1週間後の2月第1週ですね。
182 Sequesncial Auadratic Programming Sequesntial Quadratic Programming
305 ERPは主に「現在起きていること」ないし「これまでに起こったこと」を性格・詳細に記録し分析するための巨大なツールだと・・・ ERPは主に「現在起きていること」ないし「これまでに起こったこと」を精確・詳細に記録し分析するための巨大なツールだと・・・
325 (クリティカル・パスの説明箇所)2章講義 2章講義

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