革新的生産スケジューリング入門

製造業を革新する<計画とマネジメント>の技術ノート

新しい仕組み作りにチャレンジする人、仕事のあり方をかえたいと願っている中堅エンジニアのために

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今回のノート Note this week

ムリ・ムラ・ムダ:その意味と違いを考える

「受験勉強で大切なのは、計画性とペースです。ムリ・ムラ・ムダは一番いけません。」中学校3年生の時、担任だったO部先生がわたし達に、そう説いた。『ムリ・ムラ・ムダ』というセットの言葉をはじめてきいたのはその時だった。当時すでに生意気な中学生だったわたしは、“平凡な語呂合わせだな”と、心の中で思った。そしてもちろん、たいして計画性もなく、むら気を持って受験競争を渡ろうとしたので、志望校2校を立て続けに落ち、最後に公立高校しか残っていない状況になってさすがに青ざめた。

長じた後、わたしは何の因果か、計画系のエンジニアになり、あまつさえ他人に「計画的に時間を使いましょう」だとか、「プロジェクト・スケジューリングはこうです」などと伝えて歩く仕事をする立場になった。まったく我ながらいい度胸である。もっとも生まれつき計画性が高く、プランニングのセンスにたけていたら、かえって「計画にはどういう技術が必要か」などと考えることもなかったに違いない。自分が自然にできてしまうことに、理屈をもって深掘りする必要はないからだ。

さて、担任のO部先生は、ムリとムラとムダがそれぞれ、どういう意味でどう違うかについては、説明してくれなかった。自明だから常識で考えろ、ということだったのかもしれない。だが、この三つは、そんなに自明なのだろうか。仕事においても、ムリ・ムラ・ムダがいけないのは周知の事実である。しかし、ちょっと考えてみてほしい。たとえば次のシチュエーションは「ムダ」に相当するのだろうか?

状況1:
 「上流側の設計条件がかわってしまったため、途中まで進めていた作業がやり直しを余儀なくされた」

状況2:
 「組立て作業の途中段階で部品が足りないことに気づき、資材倉庫まで探しに行って取ってきた」

『ムダ』という言葉を、“必要のない事をすること”という風に、常識的に考えている限り、上記はどちらもムダではないことになる。なぜなら、再設計であれ部品探しであれ、必要な作業であって、それなしには仕事は完遂しないからだ。もし上記の作業に従事する人が、作業日報をつけたならば、どちらも「
直接業務時間」だとするだろう。明らかに、研修だとか清掃だとか部会だとかいった「間接業務」ではないからだ。

コストダウン活動などの号令がかかり、「時間のムダ取り」による改善アクションが叫ばれるとき、まず真っ先にやり玉になるのは、上記のような間接業務の時間だったりする。こうした間接業務は、顧客に対して直接、何らかの価値を提供するのに貢献しない。逆に、設計をしたり組立作業をしたりすることは、必須の直接業務である。これが通常の感覚であろう。

しかし間接業務の全てをムダと言えるかというと、少し問題がある。

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更新情報 Update information

生産計画とスケジューリングの用語集」に、「ムリ・ムラ・ムダ」を追加しました(2016/12/05)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「なぜ、製造業のIT化が進まないのか? 〜お金をちゃんと投資しよう」を追加しました(2016/11/28)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「パフォーマンス問題へのシステムズ・アプローチ」を追加しました(2016/11/21)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「見えない非効率 ー 今、動いているんだからいいじゃないか」を追加しました(2016/11/15)

プロジェクトマネジメント ワンポイント講義」に、「アカウンタビリティとは『命令責任』である」を追加しました(2016/11/06)

考えるヒント」に、「学ぶ人になりたいか、真似る人になりたいか」を追加しました(2016/10/31)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「私の名前をドアからはずす時(レオ・バーネットの言葉)」を追加しました(2016/10/24)

わたしが幹事をつとめる「プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会」で、久しぶりに私自身が『プロジェクト・マネジメントの教育に対する新しいアプローチ』というテーマで講演しました。大勢の方のご来聴に感謝します(2016/10/21)

プロジェクトマネジメント ワンポイント講義」に、「プロジェクト・コミュニケーションのベーシック(2) 〜 ドキュメント・インデックスを作る」を追加しました(2016/10/14)

ワースペース白幡」の「気まぐれ批評集 書評」に、書評『★★ 人間の安全保障』(アマルティア・セン著)を追加しました(2016/10/03)

プロジェクトマネジメント ワンポイント講義」に、「プロジェクト・コミュニケーションのベーシック 〜 情報のトレーサビリティを確立する」を追加しました(2016/09/26)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「B2B企業にイノベーティブなITは可能か」を追加しました(2016/09/19)

考えるヒント」に、「国際人として最低でも守るべきたった一つのルール」を追加しました(2016/09/12)

考えるヒント」に、「技術リーダーの出現をはばむもの」を追加しました(2016/09/05)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「英国史上、最も偉大な技術リーダーに学ぶべきこと」を追加しました(2016/08/29)

考えるヒント」に、「職人的であること、エンジニアであること」を追加しました(2016/08/21)

お知らせ:

新著『世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書』(佐藤知一・著)2015年9月に発刊しました!

“JIT生産”を卒業するための本 〜 トヨタの真似だけでは儲からない』(共著)、『リスク確率に基づくプロジェクト・マネジメントの研究』、『時間管理術』、『BOM/部品表入門』好評発売中です!

→2016年7月以前の更新履歴

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