革新的生産スケジューリング入門

製造業を革新する<計画とマネジメント>の技術ノート

新しい仕組み作りにチャレンジする人、仕事のあり方をかえたいと願っている中堅エンジニアのために

このページはスタイルシートを使用しています。
スタイルシートを利用できないブラウザのみ,この文が表示されます。どうぞあしからず。


今回のノート Note this week

職人の国の生産性を上げる、最良の方法

3月に新潟に行った際、宝山酒造(http://takarayama-sake.co.jp)という会社を訪問した。規模としては零細に近い造り酒屋だ。一応、工場見学、というか、仕込みと醸造の場所を見学させてもらった。平屋の木造で、いかにもゆかしい「酒蔵」である。それから、こうした見学のつねとして、畳敷きの小上がりの部屋に案内され、いくつか試飲させていただく。わたしはお酒に弱いたちで、日本酒の目利きなどでは全然ないが、それでもなかなか美味しいと感じた。

試飲させてもらいながら、酒造の来歴の説明をうかがう。どこから杜氏を呼び、どんな努力の結果、満足のいくお酒ができるようになったか。また同じ酒蔵の製品でも、高級な純米大吟醸から普及版の醸造酒まで、どんな特色と違いを出しているか。小さな会社でも企業努力の種類は大手と共通している。たしかに大吟醸の虹色めいた香りの広がりから、醸造酒の新潟らしいきりっとした味わいまで、比べて飲むと面白い。

もう一つ、非常にユニークで面白いと感じたのは、「ひと飲み酒」と呼ぶ、200mlの小さな化粧ガラス瓶のパッケージである。これを2本でも3本でも、セットで買うと、黒い洒落た紙箱に入れてくれる。見かけがとても都会的になって、部屋に並べておくだけで見て楽しいし、また酒飲みでない人間にとっては、1升だの4合だのを買うよりも、ずっと手が出しやすい。とても上手なパッケージングだと感じた。

小さな造り酒屋ながら、秀れた杜氏の職人仕事に加えて、顧客のニーズに応えた製品のラインナップ、そして洒落たガラス小瓶のデザインによる、自由な小口組合せ販売など、経営上の工夫をこらしていることに感心した。かえりに自分用に買ったばかりでなく、世話になった方へのギフトにも良いな、と思いつつそこを辞した。

同じその日、新潟市の大きな展示会場では「新潟 酒の陣」と呼ばれるイベントが開催されていた。新潟中の造り酒屋が何十社もブースを構えて、自分の製品を試飲販売している。2千円の参加費を払うと、小さな試飲用のガラスのお猪口を渡されて、ブースごとに回ることができる。わたしはじつは同じ日の午前中、仲間に誘われてそちらの会場にも顔を出したのだが、なにせお酒に弱いので、せいぜい5社くらいのブースをたずね、あとはぼんやり会場を眺めていた。

眺めながらつくづく、「日本は職人の国だな」と思った。新潟の酒造はほとんどが中小零細規模である。そこが、それぞれ自分なりの思い入れを込めて麹を仕込み、酒を造る。そして自分が手塩をかけて作ったモノに対し、情熱とこだわりを持っている。味、香り、色、のどごしなど、自分の眼・舌・鼻・手の五感をフルに動員してこそ、良い結果が生まれる。つまり酒造り職人としての技能と、製品の品質が直結するのだ。

そう。職人というのはとても素晴らしい、尊敬すべき生き方である。わたしは高度な職人仕事には、無条件で感服する。心技体そろわなければ、優れた仕事はできない。ただ、そうした職人としての生き方を全うできるためには、何が必要なのか。

→続きを読む:「職人の国の生産性を上げる、最良の方法

更新情報 Update information

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「職人の国の生産性を上げる、最良の方法」を追加しました(2017/07/25)

プロジェクトマネジメント ワンポイント講義」に、「ビジネス・マネージャーとは何をする人か」を追加しました(2017/07/12)

生産マネジメント ワンポイント講義」に、「欧州におけるIndustry 4.0 − その虚像と実相(2)」を追加しました(2017/07/04)

生産マネジメント ワンポイント講義」に、「欧州におけるIndustry 4.0 − その虚像と実相(1)」を追加しました(2017/06/26)

日本テクノセンター主催による1日有償セミナー「BOM/部品表の基礎と効果的な活用ノウハウ 〜演習付〜」を行いまました。大勢の方のご来聴に感謝いたします(2017/06/20)

考えるヒント」に、「怒りやすい人びと・怒っていると気づかない人びと」を追加しました(2017/06/18)

生産マネジメント ワンポイント講義」に、「BOM(部品表)で苦労する会社、得する会社」を追加しました(2017/06/04)

考えるヒント」に、「研究開発戦略へのシステムズ・アプローチと、モノづくり大国の貧困」を追加しました(2017/05/25)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「課題展開図からプロジェクトへ」を追加しました(2017/05/16)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「中堅エンジニアのための経営戦略入門(2)」を追加しました(2017/05/08)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「中堅エンジニアのための経営戦略入門」を追加しました(2017/04/29)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「システムズ・エンジニアのための共通言語が存在する」を追加しました(2017/04/19)

ワースペース白幡」の「気まぐれ批評集 書評」に、書評『★★★ ケセン語訳 新約聖書 【マタイによる福音書】』(山浦玄嗣著)を追加しました(2017/04/15)

タイム・コンサルタントの日誌から」に、「システムズ・エンジニアリングとは何か」を追加しました(2017/04/09)

生産マネジメント ワンポイント講義」に、「工程表と部品表 − 個別受注生産における主従の逆転」を追加しました(2017/04/01)

お知らせ:

新著『世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書』(佐藤知一・著)2015年9月に発刊しました!

“JIT生産”を卒業するための本 〜 トヨタの真似だけでは儲からない』(共著)、『リスク確率に基づくプロジェクト・マネジメントの研究』、『時間管理術』、『BOM/部品表入門』好評発売中です!

→2017年3月以前の更新履歴

本ウェブサイトに掲載した意見はすべて筆者個人のもので、筆者の勤務先の公式な見解ではありません


(c) 佐藤知一 (プロフィルを見る)

→メールはこちらに tomsato@rio.odn.ne.jp
(Spam対策のため@を全角にしています。メールをくださる場合は半角に直してください)

→ページのトップに戻る