生命の喜びを感じるには   2005年8月21日 寺岡克哉


 一体どうしたら、前回にお話したような「生命の喜び」を、感じることが出来る
のでしょう?


 それには、自然から隔絶された生活環境や、ストレスの多い人間関係によって
歪められた「人間の感性」を、元にもどす必要があります。
 つまり、人間本来の「自然な感性」を取りもどすのです。そしてそれを研ぎ澄まし、
さらに高めて行くのです。

                  * * * * *

 そのためには、まず最初に、
 「生命の喜び」を感じることに対する、「意識的な拒絶」を取り除かなければ
なりません。


 つまり、
 「生命の喜びを感じるなど、出来るわけがない!」
 「生命の喜びを感じるなんて、バカらしくてやってられない!」
 「生命の喜びを感じるのは、能天気な楽天家だけだ!」
と、いうような考え方が間違いであることを悟り、それを払拭しなければならないの
です。

 生きることを否定したり、生命の存在意義を否定する人・・・。
 つまり「生命の否定」に取りつかれている人は、どうしても「生命の喜び」を感じる
ことに否定的になりがちです。
 しかし、そのような考え方や感じ方そのものが、すでに社会や人間関係に影響さ
れて(つまり洗脳されて)作られたものなのです。
 それは無意識的に洗脳されるので、なかなか本人には気づくことができません。
しかしながら、それに気がつくことこそが、「生命の喜び」を感じるための第一歩なの
です。

 「生命の喜び」を感じることは、絶対に不可能なことでも、バカらしいことでも、
恥ずかしいことでも、能天気な楽天家のすることでもありません。
 それは、すべての人間が自然に持っている能力であり、すべての人間に与えられ
た当然の権利なのです。

                 * * * * *

 そして次に、「生命の喜び」を感じるためには、あるていど環境を整えることがどう
しても必要です。
 なぜなら四六時中、仕事に忙しく追われたり、ギスギスした人間関係の中にいれ
ば、「生命の喜び」をいくら感じようとしても、出来るわけがないからです。

 仕事や、周りの人間関係を、まったく気にしなくて良い時間。
 一人だけになれて、安心してくつろげる時間。
 そのような「自分だけの時間」というのを、一日に30分でも1時間でも良いから、
毎日持つように心がけましょう。
 そしてその時間だけは、いつもと違う「周りの世界」に注意を向けるのです。

 心をリラックスさせて、色々なものを良く見るようにします。耳で聞くようにしま
す。肌で感じるようにします。


 そして・・・
 可愛い子供の笑顔。
 きれいな草花や、木々の緑。
 イヌやネコなどの、可愛い小動物。
 小鳥のさえずりや、虫の声。
 青い空や、白い雲。
 風の肌触り。
 朝日や夕日。
 星空や月。

 これらのものに、
 きれいだ!
 気持ちがいい!
 安らかだ!
 優しい!
 嬉しい!
 愛しい!
という「良い感情」が生じたら、その感情をじっくりと味わいます。

 さらに後から、その時のことを思い出しながら、感動、安らぎ、優しさ、喜び、愛
などの「良い感情」を、何回も反復して生じさせるのです。

 そのような「心のトレーニング」を毎日つづければ、人間の「自然な感性」がしだい
にもどり、それが研ぎ澄まされ、高められて行くでしょう。

                  * * * * *

 ところで・・・ 「生命の否定」に取りつかれていると、昔にあった嫌なことを思い出し
たり、将来に起こりそうな嫌なことを想像してしまいます。そして、恐れ、不安、焦燥、
怒り、憎しみ、妬みなどの「悪い感情」を、反復して生じさせてしまいます。
 そしてだんだんと、何を見ても、何を聞いても、何に触れても、それらすべてが
「嫌なもの」に感じるようになってしまいます。
 これは「自分の感性」を、自分自身で歪めていることに他なりません。

 さらには・・・ たとえば「快楽殺人」などのように、普通の人間ならば生理的な
嫌悪が生じることでさえも、それに喜びや楽しみを感じる人間が、残念ながら存在
します。
 このように「人間の感性」は、自分の意思によって、これほどまで異常に歪めて
しまうことも出来るのです。

 しかしこれは裏を返せば、自分の意思によって、「正常で自然な感性」を取り
もどせることも意味します。

 だから「生命の喜び」は、それを感じようと努力すれば、かならず感じることが出来
るようになります。
 つまり、「心のトレーニング」をすることによって、そのような「自然な感性」を得る
ことは絶対に可能なのです。

 生きることを辛く感じている方には、是非ともそれに取り組んで頂きたいと願って
やみません。



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