COがこのまま増え続けると
                                   2006年4月23日 寺岡克哉



 もし、このまま何も手を打たなければ、「二酸化炭素の増加」と「気温の上昇」は、
一体どうなるのでしょう?

 それを、私なりに考えてみました。

 さっそくですが、その結果は以下の表のようになりました。

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       二酸化炭素濃度             二酸化炭素濃度
        年0.5%増加  気温上昇      年1.0%増加   気温上昇
  (年)     (ppm)      (度)         (ppm)       (度)

 2000      370      0.0          370        0.0
 2010      389      0.2          409        0.4
 2020      409      0.4          451        0.9
 2030      430      0.7          499        1.4
 2040      452      0.9          551        2.0
 2050      475      1.2          609        2.6
 2060      499      1.4          672        3.2
 2070      525      1.7          743        4.1
 2080      551      2.0          820        5.0
 2090      580      2.3          906        5.9
 2100     609     2.6        1001        6.9
 2110     640      3.0        1105       8.1
 2120      673      3.3         1221        9.4
 2130      708      3.7         1349       10.8
 2140      744      4.1         1490       12.3
 2150      782      4.5         1646       14.0
 2160      822      5.0         1818       15.9
 2170     864      5.4         2008       18.0
 2180      908      5.9         2218       20.3
 2190      954      6.4         2450       22.9
 2200    1003     7.0          2707       25.7

 2250     1287     10.1

 2300     1652     14.1
 2310     1737     15.0
 2320     1825     16.0
 2330     1919     17.0
 2340    2017     18.1
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 上の表で、いちばん左の数字は「西暦」です。

 左から2番目の数字は、二酸化炭素がどれぐらい増えていくのかを、計算によっ
て求めたものです。
 二酸化炭素は、毎年0.5パーセントの割合で増えて行くものとしました。ただし、
最初の370ppmという数値だけは、西暦2000年に実際に観測された値です。
 ちなみに、1994年から2004年の10年間において、実際に観測された
二酸化炭素の濃度は、平均して、毎年0.51パーセントの割合で増加して
いました。

 だからこれは、このままずっと同じように二酸化炭素が増加すれば、この先どうな
るかという計算結果です。

 左から3番目の数字は、二酸化炭素がそれだけ増えたときの、「気温の上昇」
です。
 これは、西暦2000年を基準にしています。つまり、西暦2000年の気温にくら
べて、何度上昇するかという値です。
 ちなみに、西暦2000年の平均気温は14.4度でした。だから、それぞれの年の
平均気温が知りたければ、14.4を足せば求められます。

 ところで気温を求めるのには、1970年から1999年まで実際に観測された「二酸
化炭素濃度」と「気温」の、相関関係を使いました。
 それによると、データにばらつきがありますが、二酸化炭素が10ppm増加する
と、気温が0.11度上昇するという「比例関係」がありました。この「比例関係」を
使って、それぞれ二酸化炭素濃度のときの気温を求めたのです。

 左から4番目は、二酸化炭素が、毎年1.0パーセントの割合で増えて行くとした
ときの濃度です。そして左から5番目は、そのときの気温です。

 たしかに現時点では、毎年1.0パーセントの増加というのは大きすぎる値です。
 しかし将来、もしも発展途上国が、先進国なみに化石燃料を使うようになったら、
これぐらいの増加も起こりえるかも知れません。
 それで比較のために、1.0パーセントの場合も計算してみたのです。

                * * * * *

 ところで・・・ 西暦2100年のところを見てください。

 このまま、毎年0.5パーセントの割合で二酸化炭素が増えつづけていくと、西暦
2100年には、二酸化炭素濃度が609ppmになり、気温の上昇は2.6度になり
ます。

 しかしこれは、「地球シミュレーター」の計算結果よりも低い値なのです。
 地球シミュレーターは、西暦2100年で二酸化炭素が720ppmになり、気温が
4度上昇すると予測しています。
 ところで「地球シミュレーター」とは、日本が誇る、世界最大級のスーパーコン
ピューターのことです。現時点では、地球の温暖化について、世界でいちばん精密
な計算のできるコンピューターなのです。

 とにかく以上のように、私の行った計算は、地球シミュレーターの結果よりも穏便
な値
になっています。
 しかしそれでも二酸化炭素は、200年後に1000ppmを突破し、340年後
には2000ppmを突破してしまいます。

 そしてこれは、「PTの大量絶滅」が起こったときと同じ二酸化炭素の量です。(PT
の大量絶滅については、エッセイ217を参照してください。)

 もしもそうなったら、現在の生態系が壊滅することについて、だれも異論はない
と思います。たぶん、生物全体の90パーセント以上の種が、絶滅してしまうのでは
ないでしょうか。

 そしてさらには、もしも毎年1.0パーセントの割合で二酸化炭素が増えつづける
ようになったら、その後たった100年たらずで1000ppmを突破し、170年で
2000ppmを突破してしまいます。
 しかも1.0パーセントの増加というのは、そんなに非現実的な話ではないと、私は
感じています。
 詳しくは別の機会にお話したいと思いますが、もしも発展途上国が、先進国なみ
に石油や石炭を使うようになったら、これぐらいの増加率になっても不思議ではな
いと考えているからです。

                 * * * * *

 ところで、上の表について一つ注意して頂きたいことがあります。

 それは、二酸化炭素が10ppm増加すると、気温が0.11度上昇するという
比例関係が、1000ppmを超えても同じように成り立つかどうか分からないこと
です。
 なぜなら二酸化炭素があまりにも増えると、それに比べて、気温の上がりぐあい
が小さくなるからです。

 もし、二酸化炭素が2000ppmを超えたとしても、気温の上昇は10度から
15度ぐらいで止まり、それ以上の気温にならないかも知れません。
 というのは、恐竜の生きていた時代が、それぐらいの二酸化炭素濃度で、それ
ぐらいの気温だったと考えられているからです。

 しかしとにかく、このまま何も手を打たなければ、「現在の生態系」が壊滅
するのだけは絶対に確実です!




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