このままだと2050年にどうなるか? 9
2008年12月21日 寺岡克哉
ここでは、
エッセイ348から、前回までの話について、
たいせつな部分を、まとめてみたいと思います。
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もしも、
効果のある温暖化対策が、なにも取ることができず、
人類がこのまま、二酸化炭素を出しつづけてしまったら・・・
つまり、この先ずっと、
石油や石炭などの「化石燃料」を、主要なエネルギー源として使いつづけ、
さらには、発展途上国の人々がみな、先進国なみの生活をするように
なったら・・・
もしもそうなったら、
2050年には、大気中の二酸化炭素が720ppmになり、
(1900年に比べて)2.6℃の気温上昇になる可能性が高い
と考えられます。
もしも、本当にそうなったら、
2050年の私たちの住む世界は、次のようになってしまうでしょう・・・
* * * * *
まず第一に・・・
海面が、30センチくらい上昇します。
また、
台風が、強力かつ巨大になり、
おそらく800ヘクトパスカル台の、台風も現れることでしょう。
そのような海面上昇と、はげしい暴風雨により、
100万人規模の被害者がでる大洪水が、
世界のどこかで、毎年のように起こっても、
まったく不思議ではなくなります。
* * * * *
上で話したように、
ある地域では、すごい豪雨が降ります。
しかしその一方で、また別の場所では、
氷河の融解や、干ばつによって、「水不足」になる地域もあります。
それも、すごく深刻な話で、
世界全体を合わせると、少なくても31億人の人々が、
水不足の危険にさらされるでしょう。
とくにアフリカや、南アジアや中央アジアでは、
農業が大打撃をうけて、食糧不足になり、
とても多くの「飢餓難民」が発生するでしょう。
そうなれば、
食料をめぐっての、紛争や戦争が起こるかもしれません。
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2050年までに、気温が2.6℃上昇すれば、
猛暑や熱波に、ますます頻繁に襲われるようになります。
そして、
熱中症、食中毒、コレラ、赤痢、マラリア、光化学スモッグなどによる
健康被害が、世界中で増えることでしょう。
* * * * *
海について言えば・・・
大気中の二酸化炭素が720ppmにもなると、
海水の酸性化により、高緯度の「冷たい海」では、生態系が壊滅します。
また、赤道ちかくの「温かい海」でも、
高温による「サンゴの白化」と、海水の酸性化のダブルパンチによって、
サンゴ礁のほとんどが壊滅します。
だから、高緯度の冷たい海や、南海のサンゴ礁では、漁業が出来なく
なってしまうでしょう。
さらには、「海洋の大循環」が弱まり、
海洋全体についての、栄養や酸素の補給に、支障を来たしてしまうで
しょう。
そのため、海の生態系の全体や、すべての海の漁業資源に、すごく
大きな影響を与えるでしょう。
日本近海についても、海流や水温などが変わってしまい、
魚が居なくなるでしょう。
そのため、漁獲量が3割ていど、減少する恐れがあります。
* * * * *
その他の影響として・・・
地球の生物全体において、最大で30%の種が、絶滅の危機に直面する
ようになるでしょう。
アマゾン東部のジャングルは、だんだんとサバンナ(乾燥した草原)に
変わっていくでしょう。
夏場には、北極の海氷が消滅してしまいます。
アラスカやシベリアの永久凍土の、地下3メートルまでについては、
その大部分が解けてしまうでしょう。
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2050年までに、気温が2.6℃上昇すれば、
ざっと以上のようなことが、起こってしまいます。
しかしそれは、
必要以上に不安をあおりたてるために、
わざと悲観的な未来像を言っているのでは、
決してありません。
たとえばアメリカの、アースポリシー研究所による調査では、
2000〜2006年の間に、世界における二酸化炭素の排出が20%ふえ、
IPCCが予測する2000〜2010年の「最悪シナリオ」を上回っている
と、しています。
だから今のところ、このままの調子で行けば、
2050年までに気温が2.6℃上昇するというのは、
十分に可能性のある未来像であるどころか、
さらにそれよりも、悪化する可能性さえあるのです!
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