では、どうすれば良いのか? 5
                                2009年2月8日 寺岡克哉


 地球温暖化による、「破滅的な被害」を避けるためには、

 二酸化炭素の排出を、すごく減らさなければなりません。

 その方法として、いちばん有望なのが、太陽電池を広げることだと

 私は考えています。



 なぜなら太陽エネルギーは莫大であり、たとえば日本の場合だと、

 43900平方キロメートルの面積に、太陽電池を広げれば、

 日本で使われている化石燃料のすべてを、太陽電池で賄(まかな)う

 ことができるからです。



 それは、広大な面積には違いありませんが、

 太陽電池を設置することも、それを管理することも、

 やる気になれば可能です。



 また、そのためには439兆円くらいの、お金が必要ですが、

 これは、毎年10兆円の予算をつぎ込んだとして44年間です。

 しかしながら10兆円というのは、日本のGDPの2%ほどなので、

 決して不可能なことではないでしょう。



 ところが良く考えてみれば、

 太陽電池は、「生み出した電気を売ること」によって、

 ある年数がたてば、つぎ込まれた費用が回収されます。

 だから本当は、439兆円もの金は、必要ありません!



 そして、そもそも、

 太陽電池の発電コストが、火力発電よりも安くなれば、

 「あえて化石燃料を使わなければならない理由」も、

 消滅してしまうでしょう。



 このことから、

 太陽電池の費用は、何年くらいで回収できるのか?

 火力発電にくらべて、発電コストはどうなるのか?

 というのが、気になって来ます。


 これから、そのことについて考えて行きましょう。


                * * * * *


 さて・・・

 太陽電池の費用は、いったい何年くらいで回収できるのでしょう?



 まず第一に、

 面積が1平方メートルの太陽電池は、1年間に、

 およそ123キロワット時(kwh)の電力を、発電します。


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 ※気になる人のために・・・ 計算は以下のようにやりました。

 日本の平均日射量は、2900kcal/(m・日)
 1kcal=4190Jとして、1年あたりに換算すると、
 2900×4190×365=4.435×10J/(m・年)

 太陽電池の量子効率を10%として、
 1kwh=1000×3600J=3.6×10Jとすれば、
 4.435×10×0.1/(3.6×10)=123.2kwh/(m・年)
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 そして一方、

 ふつう電気料金は、1kwhあたり、およそ23円です。

 なので、1平方メートルの太陽電池は、1年間に、

 123×23=およそ2830円の、お金を稼ぐことになります。



 現在、太陽電池の値段は、1平方メートルあたり5万円くらいなので、

 元を取るには、50000/2830=およそ18年かかります。



 しかし近年にも、太陽電池の値段が半額になるでしょう。

 そうすれば、25000/2830=およそ9年で、元がとれます。



 さらに将来、太陽電池の値段が、1平方メートルあたり1万円になれば、

 10000/2830=およそ3年半で、元がとれるようになるのです!


               * * * * *


 ところで、太陽電池の「寿命」は、

 まず20年は大丈夫で、おそらく30年でも問題ないと、

 言われています。



 なので、発電によって回収した費用は、さらに太陽電池を広げる
ことに使えます。

 さらには、費用回収後に(つまりタダで)発電した分も、さらなる
太陽電池の設置費用として、使うことが出来るでしょう。

 そうすると、もはや新たに金をつぎ込まなくても、「雪だるま式」に、
太陽電池を広げることが出来るのです。



 たとえば、

 初期の投入額(公的資金のつぎ込み)を、毎年10兆円として、

 毎年投入した額の太陽電池は、その年のうちに設置が可能とし、

 4年間で費用が回収でき、

 そして費用回収後は、4年ごとに、それと同額の収入があるとした
場合、

 以下の表のようになるでしょう。


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年数 投入額     内訳                       総額
    (兆円)                               (兆円)
 1   10   つぎ込み                         10
 2   10   つぎ込み                         20
 3   10   つぎ込み                         30
 4   10   つぎ込み                         40
 5   10   つぎ込み(以後つぎ込み不要)            50
 6   10                       1年目回収    60
 7   10                       2年目回収    70
 8   10                       3年目回収    80
 9   10                       4年目回収    90
10   10                       5年目回収   100
11   20   1年目発電              6年目回収  120
12   20   2年目発電              7年目回収  140
13   20   3年目発電              8年目回収  160
14   20   4年目発電              9年目回収  180
15   20   5年目発電             10年目回収  200
16   40   1年目、 6年目発電       11年目回収  240
17   40   2年目、 7年目発電       12年目回収  280
18   40   3年目、 8年目発電       13年目回収  320
19   40   4年目、 9年目発電       14年目回収  360
20   40   5年目、10年目発電       15年目回収  400
21   80   1年目、 6年目、11年目発電 16年目回収  480
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 実際には、何十兆円分もの太陽電池を、たった1年間で、生産したり
設置したりするのは無理でしょう。

 また、設備維持のための人件費や、メンテナンスのコストも必要に
なるでしょう。

 だから上の表は、原理的というか、理想的な話です。



 しかしながら、公的資金の投入が必要なのは、最初のうちだけで、

 あとは発電による収入で、「雪だるま式」に増えていく様子が、

 理解できるかと思います。



 そして原理的には、ある年数(表では21年)がたてば、

 すべての化石燃料に代わるだけの、太陽電池を設置することが

 可能になるのです。



 このように、まるで「魔法」のようなことが出来るのは、

 石油などの燃料を買う必要がなく

 太陽エネルギーを使って、「タダで発電できる」という要素が、

 すごく大きいのだと思います。


                 * * * * *


 さて、つぎに、

 太陽電池の発電コストは、火力発電にくらべて、どうなるのか?

 という問題ですが、これは次回にお話したいと思います。



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