悪徳業者に注意!    2009年11月8日 寺岡克哉


 今年度に入って、

 住宅用の太陽光発電装置で、訪問販売によるトラブルが

 急増している
みたいです。



 2009年度の上期に、国民生活センターに寄せられた相談が、

 10月28日現在における集計で、1043件に上り、

 前年の同期にくらべて、22.7%も増加しました。



 トラブルの原因としては、

 2008年度から復活した、政府による補助金制度や、

 今年の11月から新しく導入された、余剰電力の買い取り価格
の引き上げ
などについて、

 誇大に説明されているケースが多いそうです。



 太陽光発電の導入が増えるのは、とても望ましいことですが、

 悪いイメージが広がると、普及の足を引っ張りかねませんので、

 このサイトでも、すこし注意を促したいと思いました。


               * * * * *


 まず、新聞各社の報道をザッと眺めてみると、

 トラブルの種類や内容としては、おおよそ以下のようなものが

 ありました。



ケース1

 「電力会社が電気を買い取るので、月々のローン支払いが相殺される」
と説明されて、230万円の太陽光発電システムを、15年の分割払いで
契約したけれど、実際には月400〜1000円しか売電できなかった。

 「月1万円の売電ができる」との、非現実的な勧誘で契約させられる。

 「売電で毎月確実に2万5000円得られる」とか、
 「売電により、光熱費やクレジットなどの費用負担がゼロになる」など、
 事実と異なる説明で勧誘される。



ケース2

 「国の補助金が受けられる」と勧められて、450万円の太陽光発電
システムを購入したけれど、補助金の対象外だった。



ケース3

 「補助金の募集件数に限りがある」
 「すぐに契約しないと補助金が受けられなくなる」
 「今すぐ購入しないと補助金が受けられない」

 などと言われて、契約を急がされた。



ケース4

 モニター特典として、月々のクレジット代金を立て替える約束だった
のに、事業者が倒産して支払いが残った。

 設置後に連絡が取れず、アフターサービスが受けられない。



 以下、それぞれのケースについて、対応策などを考えてみたいと思い
ます。


               * * * * *


ケース1について


 これは、この11月から新しく始まった、

 太陽光発電で余った電力を、1キロワット時あたり、48円で買い
取る制度
についての説明が、誇張されたことによって起こるトラブル
です。

 従来は、1キロワット時あたり、およそ24円の買い取り価格でした。

 なので、たしかに売電の価格は2倍になったのですが・・・



 しかしながら、買い取ってもらえるのは、

 「余剰電力」つまり、余った電力であることに注意してください!



 だから、

 家族全員が働きに出て、昼間は、だれも家に居ないのならともかく、

 ふだん家族が昼にいるような家庭では、太陽電池が発電した電気を、
エアコンやテレビなどで使ってしまいます。

 なので余剰電力が少なくなり、売電による収入も、そんなに無いもの
と覚悟するべきでしょう。

 一般的な家庭における売電の収入は、多くても月に数千円ていど
では、ないでしょうか。



 しかしそれでも、

 太陽電池が発電した電気を使うぶんには、電気代が「タダ」に
なりますし、

 温室効果ガスの削減によって、地球温暖化の抑制に貢献します
ので、

 太陽光発電システムの導入には、やはり意義があります。



 ところで・・・

 業者が見積もる「発電量」は、けっこう「理想的な条件」で計算している
ことが多いみたいなので、

 自分なりに、太陽電池に当たる「日射量」を、確認しておく必要が
あるでしょう。




 つまり、太陽電池パネルを設置しようと考えている、自分の家の
屋根が、
 近くに、山や木立などがあって、その陰に入る時間帯はないか?
 あるいは、隣にビルなどが建っていて、その陰に入る時間帯は
ないか?
 など、自分自身で、よく確認しておく必要があるでしょう。

 太陽電池パネルが「陰」に入ると、どうしても発電量が落ちてしまい
ます。そうすると、業者が提示する発電量よりも少なくなり、それだけ
売電による収入も落ちてしまうのです。

 また、自分が住んでいる場所の詳しい天気、つまり「晴天率」なども、
調べておいた方が良いでしょう。
 たとえば川などが近くにあって、霧の発生しやすい場所では、業者の
使っている晴天率のデータより、悪い可能性があります。

 さらに、雪が降る地方の場合は、太陽電池パネルに雪が積もること
によるロスも、覚悟しなければなりません。



 ところでまた、

 燃料電池などの、「太陽電池以外の発電設備を併設している場合」は、
1キロワット時あたりの売電価格が、48円ではなく、39円に下がるそう
です。

 また、太陽光発電システムの最大出力が、10キロワットを超える場合
は、1キロワット時あたり48円の価格では、買い取ってもらえません。

 これらのことにも、注意する必要があるでしょう。


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ケース2について


 これは、「補助金の条件」によるトラブルです。


 国の補助金を受けるためには、

 太陽光発電システムの最大出力が、10キロワット未満。

 1キロワットあたりのシステム価格が、70万円以下。

 という、条件があるのです。



 上の「ケース2」で、450万円のシステムを購入した人の場合は、

 1キロワット当たりのシステム価格が、90万円と高価でした。

 それで「補助金の対象外」に、されてしまったのです。



 もちろん、受けられもしない補助金を、「受けられる」と騙した業者
が、いちばん悪いのは言うまでもありません。

 しかしながら、このようなトラブルを避けるためには、

 やはり自分で、「補助金が受けられる条件」というのを、知って
おく必要があるでしょう。


 最低でも、200万円ほどの出費をするわけですから、 それくらい
の努力と注意は、怠らないようにしたいものです。

 また、各地方自治体によって、いろいろな補助金制度があるので、
それについても調べておくべきです。



 ちなみに、補助金がもらえる場合は、

 国からの補助は、発電システムの出力が1キロワットあたり7万円。


 一方、

 地方自治体からの補助は、各自治体によってずいぶん幅があり、

 システムの出力1キロワットあたり、2万5000円(上限10万円)と
言うのから、

 出力1キロワットあたり、18万円(上限80万円)と言うのまであり
ます。


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ケース3について


 これは、「補助金の受付枠に限りがある」などと焦らされて、

 契約を急がされる場合です。



 たしかに、地方自治体の補助金には、「受付枠」があります。

 しかしながら、次の年度にも、新たな補助金枠が設けられる可能性
もありますし、

 とても高い買い物をするのですから、けっして焦らずに、しっかりと
構えましょう。



 焦ってしまうと、「割高なシステム」を買わされてしまう場合もあり
ますので、

 複数の業者から「見積もり」を取るようにして、納得できる契約を
するべきです。

 それくらいの余裕をもち、けっして業者のペースに呑み込まれない
ようにしましょう。


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ケース4について


 太陽光発電システムを設置した後に、

 毎月のモニター量を、振り込んでもらう約束をしていたり、

 発電システムに、不具合や故障などが発生したとき、

 契約した業者に連絡が取れなかったり、すでにその業者が倒産して
いては、何もなりません。



 このようなトラブルは、

 営業経験が長い業者、いわゆる「老舗(しにせ)」を選ぶことによっ
て、避けることが出来るでしょう。


 この観点から考えると、いくら太陽光発電システムを「破格の安値」で
提供していても、

 まだ実績が何もないような「新参の業者」は、なるべく避けた方が良い
みたいです。



 また、悪徳業者によるトラブルの中には、

 「料金を支払ったのに、工事に着手しない」などの、まったく詐欺としか
言いようのない事案も、報告されています。

 このようなトラブルも、営業実績が豊富で、世間から信用を得ている
「老舗」を選ぶことによって、避けることが出来るでしょう。


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 今回、この問題を調べて思うことですが・・・


 温室効果ガスを削減するためには、太陽光発電の普及が欠かせま
せん。

 そのために、補助金の制度を設けたり、売電価格を引き上げたり
するのは、とても良いことだし、また必要な政策だと言えるでしょう。

 そして、太陽電池パネルの製造や販売、保守点検などが、新しい産業
として育成され、発展してほしいと望んでやみません。



 しかしながら・・・

 一部の悪徳業者が、不正を働いてまで「金儲け主義」に走ると、

 いくら良い政策を実行しても、太陽光発電の普及にたいして、

 足を引っ張りかねません。



 そしてまた、

 全部が全部、悪徳業者という訳ではないのに、

 良心的な仕事をしている業者の足をも、引っ張ってしまいます。



 世の中の常ですが・・・

 どうも「金儲け」が絡みだすと、ロクでもない人間が集まってきます。

 すごく残念なことであり、本当に困ったことですね。



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