18歳から選挙権
                             2015年6月21日 寺岡克哉


 6月17日。

 「改正公職選挙法」というのが、参議院本会議において全会一致
で可決され、成立しました。

 この法律により、これまで20歳以上に与えられていた選挙権が、

 「18歳以上に引き下げられる」ことになります。



 ちなみに、選挙権年齢の変更が行なわれたのは、

 1945年に、「25歳以上の男子」から「20歳以上の男女」へと
変更されて以来、

 なんと70年ぶりのことです。



 なので、これは、

 女性の参政権が認められて以来の、歴史の教科書に載るような、

 「ものすごく大きな出来事」だと言えます。


            * * * * *


 ところで世界的には、

 18歳で選挙権を与える国が、大半を占めています。



 たとえば国立国会図書館が、昨年の2月の時点で、世界各国の
選挙権年齢を調べたところ、

 調査ができた191の国や地域のうち、その92%にあたる176
の国や地域が、

 18歳以上に選挙権を与えていました。



 ちなみにアメリカや、ヨーロッパの主要国などは、

 おおむね1970年代に、選挙権の年齢を18歳に引き下げてい
ます。



 なので、

 日本が選挙権年齢を18歳に引き下げても、

 世界的に見れば、「まったく異常なことではない」と言えるで
しょう。


            * * * * *


 さて、

 「国会」というのは、さまざまな法律を成立させる「立法機関」
です。



 だから、

 国会議員を選ぶ者、つまり選挙権を持つ者は、

 法律を成立させるための「議員」を選んだのだから、

 国会で成立した法律には、すべて従わなければなりません。



 つまり、

 自分たちが選んだ国会議員が、法律を成立させたのだから、

 自分たちは、その法律に、すべて従わなければならないのです。



 何が言いたいのかというと、

 まだ、少年法に守られている「未成年」にたいして、

 大人を裁くすべての法律を成立させる「国会議員」を、選ぶ権利
を与えるのは、

 ものすごく矛盾した話だということです。



 だから、

 選挙権を持つものは、「成人」でなければなりません。

 つまり、18歳以上に選挙権を与えるのならば、

 18歳以上を「成人」としなければ、ならないのです。




 そのため、

 酒を飲む・・・ 

 タバコを吸う・・・ 

 競馬や競輪などの賭博をやる・・・ 

 犯罪を犯した者の、名前を公表する・・・ 

 その他さまざまなことを、まだ高校生ぐらいの18歳から、認めて
良いのかどうかという、

 そんな問題が山積みにされています。



 しかしながら私は、

 18歳や19歳にもなって、まだ「少年法」が適用されるというのも、

 少しおかしな話ではないかと感じています。



 この際だから、18歳以上を「成人」とするのも、

 (高校の生活指導などでは混乱を来たすかも知れませんが)、

 それほど異常なことでも、ないような気がします。


            * * * * *



 ところで今後、18歳の若さで選挙権を与えられた人は、

 「どの政党を支持すれば良いのか」とか、

 「どの立候補者に投票すればよいのか」などで、

 ものすごく悩んだり、迷ったりするかもしれません。



 しかし私は、

 「そんなに難しく考えることはない」と、

 ここで、若い人たちに言いたいと思います。



 たとえば、いまの現状を見てください。

 福島の原発事故が、まったく収束していないにもかかわらず、
「原発の再稼働」を推進させたり、

 憲法に違反すると言われる「集団的自衛権の行使」を可能にして、
「戦争の危機」をどんどん高めるなど、

 そんな異常なことを強引に進めている政党が、衆議院でも参議院
でも、圧倒的な多数で「第一党」になっているぐらいです。



 「国会議員を選ぶために必要な ”大人の判断力” 」などと、

 偉そうに言ってみたところで、

 所詮(しょせん)は、そんな程度にすぎないのです。



 だから若い人たちは、

 ごく自然に考えて、「少しでもまとも」だと思った政党や候補者に
投票すれば、

 それで、まったく問題ありません。



 私は、若い人たちに対して、

 選挙が行われたときには、臆(おく)することなく、面倒がらず、
気軽な気持ちで、

 どんどん投票場に足を運んでもらいたいと、そのように心から
願っています。



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