こんな状況でも原発再稼働
2015年8月30日 寺岡克哉
前回の「エッセイ705」では、
原発が「巨大噴火」に襲われる可能性よりも、
原発が「軍事攻撃」を受ける可能性の方が、100倍ぐらい高い
こと。
しかも、
安保関連法案が成立し、「集団的自衛権」が行使されるように
なれば、
原発が「軍事攻撃」を受ける可能性が、さらに増加すること。
の、2点つについて指摘しました。
* * * * *
ところで、ごく最近にも・・・
韓国と北朝鮮との間で「軍事衝突」が発生しており、
もしも、それが戦争にエスカレートして行き、
さらにもしも、日本の「集団的自衛権」が行使されるならば、
日本も戦争に巻き込まれてしまう可能性が、ものすごく高い状況
になっていました。
つまり、8月20日の午後4時前後・・・
北朝鮮が、南北の軍事境界線に近い、韓国北部のヨンチョン郡
に向けて、
14.5ミリの高射砲とみられる砲弾1発と、76.2ミリの対戦車砲
とみられる砲弾数発を発射したのです。
一方、それに対抗して韓国軍は、
北朝鮮に向けて、155ミリ砲弾による数十発の砲撃を実施して
います。
その翌日の、8月21日には、
北朝鮮のキム・ジョンウン第1書記が、前線地帯を「準戦時状態」
とする命令を出し、いつでも戦闘が可能な警戒態勢に入りました。
一方、韓国軍は、
「最高水準の警戒態勢」をとるとともに、アメリカ軍とも協力して、
北朝鮮軍への監視を強化しています。
* * * * *
ちなみに、この北朝鮮と韓国との「軍事衝突」は、
韓国政府が、DMZ(韓国と北朝鮮の間にある非武装地帯)で
実施している、
拡声器を使った北朝鮮向けの「宣伝放送」に、北朝鮮が反発
して起こったものです。
一方、韓国政府が、これまで停止していた「宣伝放送」を再開
したのは、
8月4日にDMZ(非武装地帯)で起きた、「地雷爆発事件(韓国
兵2人が重傷)」にたいする、
北朝鮮への「報復措置」としてでした。
砲撃が行われた8月20日には、
北朝鮮軍の総参謀部が、韓国の国防省にたいして、
「本日午後5時から48時間以内に心理戦放送を中止し(拡声器
など)すべての手段を撤去しなければ、軍事的行動をする」と、
伝えました。
また同日。
北朝鮮のキム・ヤンゴン党統一戦線部長も、韓国のキム・グァン
ジン国家安保室長にたいして、
「放送は宣戦布告だ」として、その中止を要求しています。
さらに、その翌日の8月21日になると、
北朝鮮は「準戦時状態」に入り、韓国は「最高水準の警戒態勢」
に入って、
「戦争」にエスカレートする危険性が、ものすごく高まったの
です!
* * * * *
しかし、幸いにも、
8月22日から断続的に開いてきた、韓国と北朝鮮の「高官会談」
が、
8月25日の未明に終了して、「合意文書」が発表されました。
その合意により、
北朝鮮は、地雷の爆発で韓国軍兵士が重傷を負った事件にたい
して「遺憾」を表明し、
韓国側は、「拡声器を使った宣伝放送」を8月25日の正午に停止
しています。
8月26日になると、
北朝鮮が「準戦時状態」を解除したことが明らかになり、
それに合わせて韓国軍も、「最高レベルの警戒態勢」を引き下げ
ました。
* * * * *
以上、ここまで見てきましたように、
このたび発生した、北朝鮮と韓国との「軍事衝突」は、
幸いにも、戦争にエスカレートすることなく、収束に向かうことが
できました。
しかし私は、ここで強く主張しますが、
このような近隣諸国での「軍事衝突」が、また、いつ発生しても、
まったく不思議ではない状況の中で、
安保関連法案を成立させ、「集団的自衛権の行使」を可能にし、
さらには、「原発の再稼働」を強引に推進させるというのは、
とても「正気の沙汰」とは思えません!
安倍政権がどうしても、
「集団的自衛権の行使」と、「原発の再稼働」の、両方を強引に
推進するというのなら、
「原発が ”軍事攻撃” を受けた場合」を、絶対に想定して、その
対策を明確に、国民に広く説明するべきです。
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