原発は大丈夫なのか 5
                              2017年5月28日 寺岡克哉


 5月21日。

 北朝鮮の北倉(プクチャン)付近から、またしても弾道ミサイルが
発射されました。

 そのミサイルは、高度560キロメートルまで上昇したあと、

 発射地点から水平距離で500キロメートルほど離れた、日本海
に落下したといいます。


            * * * * *


 何だか近ごろ・・・ 

 北朝鮮は、ずいぶん弾道ミサイルを発射するようになった気が
します。



 しかしそれは、

 ただ単に「そんな気がする」と言うだけでは、ありませんでした。



 というのは、

 アメリカのシンクタンクである、NTI(核脅威削減評議会)の報告に
よると、

 北朝鮮は、金日成(キム・イルソン)体制時代の、1984年~1994
年の間に、15回のミサイル発射を行ないました。

 また、

 金正日(キム・ジョンイル)体制時代の、1994年~2011年の間で
は、16回のミサイル発射を行っています。

 ところが!

 金正恩(キム・ジョンウン)体制になると、2012年~2017年4月
までの間に、なんと75回ものミサイル発射を行っているからです。



 以下は、

 NTI(核脅威削減評議会)による、北朝鮮のミサイル発射について
の内訳です。

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金日成(キム・イルソン)体制
1984年   発射 6回    成功 3回   失敗 3回
1985年       0回
1986年   発射 1回                        不明 1回
1987年       0回
1988年       0回
1989年       0回
1990年   発射 2回    成功 1回   失敗 1回
1991年   発射 1回    成功 1回
1992年   発射 1回              失敗 1回
1993年   発射 4回    成功 3回              不明 1回

金正日(キム・ジョンイル)体制
1994年       0回
1995年       0回
1996年       0回
1997年       0回
1998年   発射 1回              失敗 1回
1999年       0回
2000年       0回
2001年       0回
2002年       0回
2003年       0回
2004年       0回
2005年       0回
2006年   発射 7回    成功 6回    失敗 1回
2007年       0回
2008年       0回
2009年   発射 8回    成功 7回    失敗 1回
2010年       0回

金正恩(キム・ジョンウン)体制
2011年       0回
2012年   発射 2回    成功 1回    失敗 1回
2013年   発射 6回    成功 6回
2014年   発射19回    成功19回
2015年   発射15回    成功13回    失敗 2回
2016年   発射24回    成功14回    失敗10回
2017年   発射 9回    成功 5回    失敗 4回

 注: 2017年については、4月までの累計(るいけい)
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 このデータを見ると、

 金正恩(キム・ジョンウン)体制になってから、異常なほど、
弾道ミサイルを発射しているのが分かります。



             * * * * *


 私は思うのですが・・・ 


 近年において北朝鮮が、こんなに数多くのミサイル発射実験を
実施しているのであれば、

 ミサイルの研究開発が飛躍的に進んで、性能が向上し、

 おそらくミサイルの「命中精度」も、かなり良くなってしまったの
では、ないでしょうか?



 北朝鮮の新型弾道ミサイルが、アメリカに比べてずっと近距離に
ある「日本」を標的にした場合、

 その命中精度が、もしもCEP(半数命中半径)で100メートル
程度にまで、すでに向上しているとすれば、

 ミサイルを日本の原発施設に命中させることが、不可能ではなく
なってしまいます。



 ミサイルの性能は軍事機密であり、深いベールに包まれていて、
本当のところは分からないのですが、

 もしも北朝鮮ミサイルの命中精度が、飛躍的に向上しているの
であれば、

 日本の原発にとって、すごく大きなリスクであると言わざるを
得ません!



             * * * * *


 ところで、

 以上のように、北朝鮮ミサイルのリスクが高まっているなか・・・ 



 原子力規制委員会は5月24日。福井県にある大飯原発の
3号機と4号機にたいして、

 再稼働の前提となる、新しい規制基準の審査に合格したことを
示す「審査書」を、正式に決定しました。



 ほんとうに、こと原発に関しては、

 「北朝鮮ミサイルのリスクなど、まったく関係ない」とでも言うかの
ように、再稼働の手続きが、どんどん進んで行きます。

 ミサイル攻撃にたいして、原発が安全であるという確信や自信は、
一体どこから来るのでしょう?



 やはり私には、まったく理解不能です。



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