原発は大丈夫なのか 7
                              2017年7月16日 寺岡克哉


 私は、この「原発は大丈夫なのか」という題名のシリーズで、

 北朝鮮の弾道ミサイルによって、日本の原発が攻撃される危険性
について、ずいぶん取り上げてきました。



 そして最近、それは私だけでなく、

 やはり、原発がある地元住民の人たちも、北朝鮮のミサイル攻撃を、

 とても心配していることが分かったのです。



 というのは、7月6日。

 再稼働した関西電力高浜原発の3号機と4号機がある、福井県の
高浜町において、

 原子力規制委員会の田中俊一委員長が、地元住民との意見交換
会を行なったのですが、

 そのとき、北朝鮮によるミサイル攻撃が起きた場合の、原発の対策
について質問が発せられたからです。



 当然といえば当然ですが、やはり、

 原発がある地元住民の人々は、北朝鮮によるミサイル攻撃が、

 ものすごく心配なのです。


             * * * * *


 ところで!

 地元住民の人から、北朝鮮によるミサイル攻撃について質問された
とき、原子力規制委員会の田中委員長は、

 「北朝鮮の技術がどの程度かわかりませんが、小さな原子炉にミサ
イルを落とせるような精度はあると思えない」

 「私だったら、東京のど真ん中に落としたほうがいいと思う。もう何万
人、何十万人と住んでいるから」

 「半分冗談ですけど」

 などと、発言しました。



 この発言に関して、意見交換会のあと、報道陣から不適切だという
指摘があり、

 田中委員長は、「不適切だった」として上の発言を取り消しています。



 しかしながら田中委員長は、

 「発言は確かに適切ではなかったかもしれないが、戦争状態に入る
ようなことは絶対に避けていただきたいと考えている」

 「なぜ原子炉だけを取り上げるのかと言いたいし、戦争になった
ら原子炉だけの問題じゃないと思う」


 と、述べています。



 また、「ミサイル攻撃への対策」について田中委員長は、

 「規制の範囲を超える」と述べて、特別な対策は取っていないと説明
しました。


             * * * * *


 以上、ここまで見てきて、

 とくに私が、田中委員長の発言について違和感を持ったのは、上の
太字で表した、

 「なぜ原子炉だけを取り上げるのかと言いたいし、戦争になった
ら原子炉だけの問題じゃないと思う」


 という部分についてです。



 つまり、

 「戦争になったら原子炉だけの問題じゃない」のではなく、

 「戦争になったら、原子炉の大爆発やメルトダウンによる広域
の放射能汚染が、国土の保全にとって、いちばん深刻な問題に
なる」



 だから、

 「なぜ原子炉だけを取り上げるのか」ではなく、

 「原子炉を国防上の最重要問題として、いちばんに取り上げな
ければならない」


 というのが、私の思うところなのです。



 その理由については、福島第1原発の事故を見て頂ければ明白
でしょう。



 つまり、たとえば戦争によって都市などが攻撃された場合でも、
人の住めない「死の土地」になることはありません。

 だから、人々の努力によって、都市を復興させることが可能です。



 ところが!

 (とくに稼働中の)原発施設が攻撃されて、大規模な爆発やメルト
ダウンが発生したら、

 甚大(じんだい)な放射能汚染によって、国土の広い範囲が100年
以上にわたって人が住めなくなり、まさしく「死の土地」になってしまい
ます。

 それは、福島第1原発の事故における「帰還困難区域」を見れば、
すでに明々白々となっており、まったく疑う余地がありません。



 なので、

 もしも「国防」のことを真剣に考えるならば、原発の問題を無視して
通ることは、絶対にできないのです。



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