なぜ「地球温暖化」が言えないのか
2018年7月29日 寺岡克哉
ここのところ、「猛暑」が続いています。
たとえば7月23日には、全国の最高気温の記録が更新されました。
とくに埼玉県の熊谷市では41.1℃を記録し、日本における観測史上
最高の気温となりました。
また、東京の青梅市では都内で初めて40℃を超えるなど、全国の
4地点(熊谷市、青梅市、岐阜県多治見市、甲府市)で40℃を超える、
「ものすごく異常な暑さ」となっています。
また、総務省の消防庁は7月24日。
7月16日~22日の1週間に、熱中症で2万2647人が全国で搬送
された(この内65人が死亡)という速報値を発表しました。
これは、2008年に統計を開始して以来、最多の人数です。
ちなみに、
これまでの全国の搬送者数の最多記録は、2015年7月27日~
8月2日までの1週間で、1万2064人だったと言いますから、
このたびは、その1.9倍もの人々が、熱中症で搬送されたことに
なります。
* * * * *
さらに、このたびの猛暑は、日本だけではありませんでした。
WMO(世界気象機関)は7月24日に、スイス・ジュネーブの国連
欧州本部で記者会見し、
「世界各地で記録的な猛暑が広がっている」と、発表したのです。
北極圏であるにもかかわらず30℃以上に達したところがあり、アメリカ
では50℃を超えたところもあります。
WMO(世界気象機関)によると、
ノルウェー北部の北極圏にあるバルドゥフォスでは、7月17日に33.5℃
を記録しました。
スウェーデンでは、7月半ばに50ヶ所以上で森林火災が発生しており、
WMO(世界気象機関)は、スカンディナビアとバルカンの両地域で、
高温と乾燥による「森林火災」の危険性が高まっていると、警戒を呼びか
けています。
さらには、ギリシャのアテネ近郊においても山火事が発生し、死傷者が
出ています。
一方、アメリカでは、
カリフォルニア州のデスバレー国立公園で、7月8日に52℃を観測し
ました。
ロサンゼルス近郊のチノでも、48.9℃に達しています。
中東ではオマーンの首都マスカット近郊で、6月28日には1日を通し
て気温が42.6℃までしか下がらず、強烈な猛暑日となりました。
北アフリカでも、各地で熱波が襲い、アルジェリアのサハラ砂漠では
7月5日に51.3℃を記録し、
モロッコでも、史上最高となる43.4℃を観測しています。
WMO(世界気象機関)は、今月に西日本を襲った豪雨災害も
含めて、
これら一連の異常気象は、「温室効果ガスの増加による長期的
な地球温暖化の傾向と関係している」と、分析しています。
* * * * *
以上、ここまで見てきましたように、
このたびの猛暑は日本だけでなく、「世界的な現象」であり、
さらには、先日の西日本における「豪雨被害」も含めて、
これらの異常気象が「地球温暖化」と関係していると、WMO(世界
気象機関)の専門家は分析しているのです。
ところが!
豪雨による被災地の人々への、テレビのインタビューを見ても、
あるいは、このたびの猛暑について、街角でのテレビのインタビュー
を見ても・・・
「これは、地球温暖化の所為(せい)でしょうかね」とか、
「やはり、温暖化対策を急がなければならない!」というような、
そのような発言をテレビカメラの前でする人は、私が見たところ、
まったく居ないのです。
そのことに私は、テレビを見ていて、ものすごく違和感を感じました。
というのは、WMO(世界気象機関)の専門家が言うまでもなく、恐ら
くどんな人でも、
このたびの豪雨や猛暑にたいして、「地球温暖化」のことを頭によぎ
らない訳が、ないと思うからです。
もしかしたら、
テレビカメラの前では、「地球温暖化」という言葉を発することが、
「ご法度(はっと)」にでも、なっているのでしょうか。
あるいは、
「地球温暖化」のことを発言した人の映像は、編集によってカット
されているのでしょうか。
そのように疑ってしまいたくなるほど、
テレビのインタビューにたいして、ものすごく大きな違和感を感じて
ならないのです。
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