なぜ「左足ブレーキ」にしないのか?
                              2019年5月26日 寺岡克哉


 東京の池袋で発生した、自動車の暴走事故(注1)によって、

 最近また、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が、大きな話題
となっています。

----------------------------
注1:
 2019年4月19日に、東京都豊島区東池袋の交差点において、
元・通産省の職員で無職の男(87歳)が運転していた車が暴走し、
運転者と同乗者を含む8人が重軽傷を負い、2人(母と娘)が死亡
した事故。
----------------------------



 統計によると、

 ブレーキとアクセルの踏み間違いによる人身事故は、

 毎年、平均7000件ぐらい起こっているそうです。


 とても多い数ですね・・・ 


            * * * * *


 ところで、ずっと以前から思っていたのですが、

 オートマティック車には「クラッチ」が無いので、左足を全く
使いません。

 なので、左足をブレーキ専用に使えば、良いのではないで
しょうか。



 つまり、

 右足だけで、アクセルとブレーキの両方を操作するので、

 「踏み間違い」が起こるのだろうと、私は思っているわけです。



 最近(2017年の時点)では、オートマティック車が全体の
97.4%を占めています。

 なので、

 日本国内で走っている自動車のほとんどが、オートマティック車
であると言えるでしょう。

 それなのに、

 従来の運転方法(マニュアル車の運転方法)を変えないので、
左足がまったく使われないのです。



 だから、従来の運転方法を少し変えて、

 右足はアクセル専門にし、左足をブレーキ専門にすれば、

 「踏み間違い」をすることが無いと思うのです。



 また、

 突然にアクシデントが起こって、頭がパニックになったときは、

 ブレーキとアクセルの両足を同時に踏み込めば、アクセルよりも
ブレーキの力が強いので、車は止まるでしょう。



 これは、とても良い方法だと思うのですが、

 しかしなぜか、テレビなどのマスコミでは、「左足をブレーキ専用
に使うべきだ」というコメントを、見たことがありません。


 それを私は、とても不思議に感じていました。


            * * * * *


 それで、ちょっと調べてみたのですが、

 現行の国産車では、左足ブレーキへの移行は無理

 だとする見解を見つけました。



 その見解によると、

 現行のオートマティック車のペダル配置は、マニュアル車から
クラッチペダルを取り除いただけの構造で、

 「右足」でブレーキペダルを操作することを前提としている
ため、

 「左足」で操作しやすい位置に、ブレーキペダルがあるわけ
ではない
そうです。



 しかも、自動車メーカーによっては、

 ブレーキペダルをあえて右に寄せることで、間違えて左足で
ブレーキを踏んでしまわないように、設計段階から配慮している
ケースもあり、

 そのような車の取扱説明書には、「ブレーキは右足で踏む」
ように明記してあり、

 左足ブレーキを、明確に禁止事項として記載しているそうです。



 そもそもブレーキペダルの位置が、そのようになっているので、

 あえて左足でブレーキ操作を行おうとすると、下半身を右寄りに
ねじった不自然な体勢となり、

 長時間の運転を行うと、腰が痛くなるそうです。



 さらに別の問題として、

 運転中に、左足をブレーキペダルに乗せたままにすると、

 「半ブレーキ状態」になりやすく、用もなく「パッパッ」とブレーキ
ランプが点いてしまいます。

 このような現象は、

 後続車にとって迷惑そのものであり、後方につづく車にたいして、
ドミノ倒しのようにブレーキを踏ませることになり、

 「交通渋滞の原因」になってしまうのです。



 結局のところ、

 ブレーキペダルを「右足で踏む」ことを前提としたペダル配置と
なっている、現行の国産車では、

 左足ブレーキへの全面移行には、無理があるといわざるを得ない
そうです。


            * * * * *


 以上、ここまで見てきましたが、


 ブレーキとアクセルの「踏み間違え」を無くすためには、

 「左足ブレーキ」が使えるように、自動車を設計段階から見直し、

 また自動車教習所でも、「左足ブレーキ」を使った運転方法を
教えること。

 これらの2つが必要なのだと思います。



 それにしても、

 ブレーキとアクセルを踏み間違える可能性があるにもかかわらず、

 そのような車を作りつづけ、売りつづけているメーカーにたいして、

 「社会的な批判の目」があまり向かないのは、ものすごく不思議に
思えてなりません。



      目次へ        トップページへ