日本の感染者は250万人以上か?
2020年5月17日 寺岡克哉
前回で見てきた、新型コロナウイルスにたいする「抗体検査」の
結果を、日本全体に当てはめてみました。
そうすると、わが国の日本において、
すでに250万人以上の感染者が出ており、
致死率は0.03%以下であることが推定できました。
今回は、そのことについて報告したいと思います。
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まず、前回で求めた、
抗体検査の結果から「推定した」感染者数と、
PCR検査で「確認された」感染者数、
そして、それらの比が何倍になっているのかを、表にまとめました。
そうすると、以下のようになっています。
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抗体 推定感染者数 PCR 確認感染者数 倍率(抗体÷PCR)
東京 66万9700人 4059人 165倍
大阪 4万1200人 691人 60倍
神戸 4万1000人 68人 603倍
合計 75万1900人 4818人 156倍
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ここで、
東京、大阪、神戸のデータを合計して求めた、抗体検査とPCR検査
の比、
つまり「156倍」という数字を、ものすごく強引(ごういん)ですが、
日本全体に当てはめてみます。
そうすると、5月16日現在の日本で、
PCR検査で確認されている感染者数は1万6329人なので、
推定感染者数は、それを156倍して、254万7324人となります。
また、同じく5月11日現在において、
日本における新型コロナウイルスによる死者数は748人となっている
ので、
推定致死率は、(748÷2547324)×100=0.029% となります。
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ところで・・・
上で行った感染者数の推定には、いくつか問題点があります。
それは、まず、
抗体検査を行った場所が、東京、大阪、神戸の3ヵ所だけであり、
検査を行った人数も、3ヵ所を合わせて1459人でしかなく、
日本全国の感染者数を推定するには、検査を行った場所も人数も、
少なすぎることです。
これに関しては、厚生労働省が、
来月(6月)にも1万人規模の抗体検査を実施すると発表している
ので、
その検査結果が待たれます。
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ところでまた、抗体検査の「信頼性」というのも、すごく気になります。
この、
抗体検査の信頼性を判断するときの、重要な値(あたい)として、
「感度」と「特異度」というのがあります。
まず、「感度」というのは、
「病気の人」を対象に検査したとき、検査でも実際に「陽性」となる
比率を示したものです。
たとえば感度が99%であれば、病気の人100人を検査すると、
99人は陽性となりますが、1人は陰性となってしまいます。
一方、「特異度」というのは、
「病気でない人」を対象に検査したとき、検査でも実際に「陰性」と
なる比率を示したものです。
たとえば特異度が99%であれば、病気でない人100人を検査する
と、99人は陰性となりますが、1人は陽性となってしまうのです。
さて、
これまでの抗体検査で、どれぐらい信頼性のある検査薬が使われた
のか、実は私は知りません。
しかしながら、
これから日本で販売計画のある抗体検査薬については、高い信頼性
が示されています。
たとえば、すでに5月8日から販売が始まっている、アメリカ・アボット社
の抗体検査薬は、感度が100%で、特異度は99.6%です。
また、日本で5月以降に薬事申請を計画する、スイス・ロシュ社の抗体
検査薬は、感度が100%で、特異度は99.8%です。
そして、5月下旬に発売予定のアメリカ・オーソ社の抗体検査薬は、
感度が87・5%で、特異度は100%となっているのです。
このように、これから日本で使われていく抗体検査薬は、かなり高い
信頼性があると言えます
とくに、アメリカ・オーソ社の抗体検査薬は、感度がすこし低いものの、
「特異度は100%」なので、
抗体を持っていない人を、抗体を持っていると判断してしまうこと、
つまり「擬陽性」になることが、全くありません。
これら、
信頼性の高い抗体検査薬による、今後の検査結果が待たれるところ
です。
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