安倍政権を振り返って 2
                              2020年9月13日 寺岡克哉


 今回は、

 安倍政権による「外交」のうち、「日米関係」について、すこし振り返って
みたいと思います。


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 私が見たところ、安倍政権は、

 すごく「常識外れ」で、まったく「異常」とも言えるような、アメリカの
トランプ大統領にたいし、

 「どのように対応するか」で、ものすごく苦労していたように思えます。



 まず安倍首相は、

 4年前の大統領選挙で、トランプ候補が勝利すると、

 大統領に就任する前の段階で、いち早くトランプ氏と面会をしました。



 これは恐らく、

 選挙中にトランプ候補が、安倍政権による円安誘導を、ものすごく批判
しており、

 また、「(日本に)駐留しているアメリカ軍の経費を、(日本が)全額負担
する必要がある」などと言っていたため、

 安倍首相は、トランプ氏をいち早く訪問して、ご機嫌(きげん)取りをした
のだと思います。


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 また、トランプ大統領は、

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)から、いきなりアメリカを離脱させ
ました。


 そのため安倍首相は、

 アメリカを抜いた11ヵ国で、TPPの議論を進めなければ、ならなくなった
のです。


 せっかく、アメリカのオバマ政権下でまとまりかけていたTPPの協議が、
ふりだしに戻ったことで、

 安倍政権は、かなり振り回された形となり、とても苦労したのではないか
と思います。


 それにしても、

 アメリカを抜きにしてTPPの協議を進めるなんて、安倍政権もずいぶん
思い切った対応をしたものです。


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 ところで、トランプ大統領は恐らく、

 陸上配備型の新型迎撃ミサイルシステムである「イージス・アショア」
を導入するように、

 日本にたいして「圧力」をかけていたような気がします。



 この「イージス・アショア」は、とても高価な兵器であり、

 予定されていた2基の導入で、関連施設を含めると6000億円に上る
とも言われていました。



 しかしながら、

 イージス・アショアの導入にあたり、防衛省の不手際や、さまざまな
問題が指摘されるようになり、

 最近(2020年6月)になって河野・防衛相が、「イージス・アショア」の
配備計画の停止を、突然に表明したのです。



 このことで安倍政権は、

 トランプ大統領を、かなり怒らせたのに違いないのですが、なぜかトランプ
大統領からの批判や抗議が、ほとんど見受けられないのです。

 安倍首相が、どのようにしてトランプ大統領の機嫌を損(そこ)ねないよう
にしたのか、とても不思議でなりません。


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 さて、在日米軍の駐留経費ですが、

 アメリカのトランプ政権が、日本政府にたいし、5万5000人の在日米軍
を駐留させる経費負担(思いやり予算)を、

 これまでの約4倍である約80億ドル(およそ8400億円)へ、増やすよう
に要求していると言われています。



 この要求にたいし、

 これまで安倍政権がどのような話し合いをしてきたのか、現在のところ
不明ですが、

 しかし二つ返事でOKしたのではないことは確かで、いろいろと返事を
引き延ばしていたのだと思います。



 そして、この問題は、

 つぎの政権(おそらく菅政権)にも引き継がれることになりますが、

 今年の11月に行われるアメリカ大統領選挙で、トランプ大統領が再選
されない可能性も大いにあるので、

 この問題がどうなって行くのか、いまの所まったく不透明だと言えるで
しょう。


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 以上、ここまで見てきましたが、やはり安倍政権による対米外交は、

 常識外れで異常とも言えるようなトランプ大統領にたいし、

 その要求を簡単には受け入れず、いかに穏便に対処するかで始終
したように思えます。



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