バイデン次期大統領の温暖化対策
                             2020年11月29日 寺岡克哉


 アメリカのバイデン次期大統領は、11月24日。

 閣僚などの、6つの重要ポストにたいする人事を発表しました。



 その中の1人である、ジョン・ケリー気候変動問題担当特使は、

 かつてオバマ大統領の下で、気候変動問題に取り組む国際的な
枠組みである、「パリ協定」を主導していた人です。


 このたびの人事にあたり、ケリー気候変動問題担当特使は、

 「気候危機を終わらせるため(世界が)協力する必要がある」と、
コメントしました。



 ちなみにトランプ大統領は、パリ協定を離脱したのですが、

 バイデン次期大統領は、「パリ協定への復帰を就任初日に行う」と、
約束しています。


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 さらにバイデン次期大統領は、来年1月20日の就任初日に、

 地球温暖化対策を中心とする、数多くの大統領令への署名を計画
しており、

 実行すると述べた10の対策は、つぎの通りです。



1.石油やガスの操業でのメタン汚染に制限を設ける。

2.100%クリーンエネルギーで排出ゼロの乗り物の普及を目指し、
 連邦政府の調達システムを使う。

3.米政府の建物や施設を、より効率的で気候変動に対応したものに
 する。

4.既存の大気浄化法の施行(しこう)を進め、新たな燃費基準を策定
 して交通機関による温室効果ガスの排出量を削減する。これにより
 小型車や中型車の新車は全て電動化され、大型車については毎年
 改善されるようにする。

5.先進バイオ燃料などの液体燃料への取り組みを強化し、農業が気候
 変動への解決で重要な役割を担うようにする。

6.電化製品やビルの効率性に新たな基準を設け、(温室効果ガスの)
 排出量や消費者のコストを低減する。

7.温室効果ガス排出や気候変動の影響を検討するための連邦の許可
 に関する決定を求め、全ての連邦インフラ投資で気候汚染が減るように
 する。

8.公開会社に自社の操業とサプライチェーンにおける、気候変動リスク
 と温室効果ガス排出の情報開示を求める。

9.2030年までに生物の多様性を保護し、絶滅の進む速度を遅らせ、
 アメリカ合衆国の土地と水の30%を保全する。

10.2030年までに北極野生生物国家保護区を永続的に保護し、国立
 公園や国定記念物を設置し、公共の土地での新たな石油やガス掘削の
 許可を禁止し、気候コストや森林再生を進めるプログラム策定を踏まえ
 た使用料に修正し、連邦の土地や水域での再生可能エネルギーを開発
 し洋上風力発電を倍増させる。


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 以上、ここまで見てきましたように、

 バイデン次期大統領は、温暖化対策に積極的に取り組もうとしており、

 それに後ろ向きだったトランプ大統領とは、まったく正反対の姿勢です。


 これでやっとアメリカも、

 温暖化対策に取り組もうとする「まともな国」に、なって行くことでしょう。



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