インドネシア原産ですが、古くから中国商人の手でヨーロッパに持ち込まれ、強力な殺菌・消臭作用で注目されました。
大航海時代にはスパイス貿易の中心的な商品の一つ。この甘く刺激的な香りは、さぞ異国情緒をかきたてた事でしょう。
日本人にも案外なじみ深く、江戸時代からビンツケ油や匂い袋の香料として使われてきました。
ウスターソースのソースらしい香りもクローブのおかげです。 名前の"Clove"はクギを意味するラテン語"Clavus"から。和名の丁字(ちょうじ)もクギを表す釘の字から来ています。 |
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品種 | フトモモ科。熱帯・亜熱帯地方に生育する常緑樹で10mにもなります。 開花直前のツボミをガクと共につみ取って乾燥させたものがスパイスとして使われます。 |
原産地 | インドネシアのモルッカ諸島。 |
利用の歴史 |
インドや中国では紀元前から殺菌・消炎・消臭に利用されていました。ヨーロッパには中国商人が絹などと共にセイロン経由でもたらし、
6〜7世紀頃には王侯貴族の間に知られるようになります。
やがて14〜16世紀の大航海時代になると、クローブはコショウ、ナツメグとともにスパイス貿易の中心的な商品となり、
高価ですが一般に香辛料として使われるようになっていきます。
日本にもかなり古く、5〜6世紀には紹介されていたようで、正倉院にも保存されていました。 香木などと共に中国から来た宝物として扱われていた様子が目に浮かびます。 |
現在の主産地 | タンザニアのザンジバル(島部)が世界のクローブの90%を生産しています。 18世紀にイギリス人(タンザニアは旧イギリス領)がモルッカ諸島からクローブを移植して以来、 気候によくなじんで生産量が増えたという事です。 |
成分 |
香りの主成分はオイゲノール。香りが最も効率的に抽出されるのは45度前後です。 ほとんどのスパイスの香り成分は精油(揮発性の油)に含まれていますが、 クローブはあらゆるスパイス類の中でも精油の割合がダントツに高く、約20%もあります。 ただし、だからと言ってクローブの香りがスパイス中で最も強いというわけではありません。 例えばニンニクの精油成分は0.1〜0.2%ですが、ご存知のように強烈な香りを持っています。 |
利用方法 |
"釘の形"と言われるだけあって、素材に刺して使うのに便利。
玉ねぎや豚肉に刺してポトフやロースト・ポーク、その他肉を使った煮込みに使われます。
ひき肉料理には粉を。
単独ではなく、ナツメグやオールスパイスと一緒に使うのが一般的。香りが強いので使いすぎないように。
甘い香りを生かしてフルーツケーキにも良く使われます。 肉1kgに対する標準的な使用量 : 0.1〜0.2g 粉のクローブ小さじ一杯で : 1.2g |
コメント | クローブをオレンジやレモンなどの柑橘類に刺して乾燥させた物をフルーツ・ポマンダーと言い、 部屋や洋服ダンスの消臭・防虫に使われます。 ヨーロッパではクリスマスに手作りのフルーツ・ポマンダーをプレゼントする習慣があります。 |