蜂蜜(はちみつ)

Hachimitsu 太古の昔から人類に甘い夢を見せてきた蜂蜜。その甘さは"神秘"でした。ギリシア神話ではゼウスは乳と蜂蜜で育てられ、 旧約聖書には理想の地カナンは「乳と蜂蜜の流れる所」と書かれています。 エジプトでは王族の象徴。古代インドやマヤ文明でも蜂蜜は神から人間が授かったものと言われました。
砂糖が普及した現代でも、高貴な香りで今なお人々に夢を与え続けています。(写真はホワイト・クローバーの蜂蜜)

歴 史
  • 紀元前8000年頃(新石器時代)、スペインのアラニア洞窟に蜂の巣から蜂蜜を取ってくる女性の姿が描かれています。
  • 紀元前5000年頃のエジプトのパピルスには、蜂を飼ってハチミツを集める養蜂(ようほう)についての記録があります。
  • 紀元前7世紀になると、中近東で植物を編んだ蜂の巣箱が発明され、花を求めて移動する現代の養蜂が早くも広まってきます。 ミツバチは家畜のように人間に飼われる存在になりました。
  • 日本には7世紀頃、朝鮮半島から養蜂が伝えられました。 日本書紀には643年に百済の太子余豊が大和の三輪山で養蜂したと書かれています。
  • 江戸時代までは日本ミツバチを使った養蜂で、あまり効率が良くなかったので養蜂業も盛んではありませんでしたが、 明治になってイタリアで改良された西洋ミツバチが導入されると、養蜂業が大変盛んになりました。
原材料・造り方 養蜂家はミツバチの巣箱を持って、蜜を集める対象とする花が咲いている場所を移動していきます。 ミツバチはご存知のように一つの巣あたり一匹の女王蜂、数百匹のオス蜂、そして数万匹のメスの働き蜂からなる大家族です。 働き蜂は300〜600もの花を回って花蜜を採取して巣に持ち帰ってきます。 花蜜のショ糖(=砂糖、二糖類)は蜜蜂の唾液に含まれる酵素によって、単糖類の果糖とブドウ糖に分解され、濃縮されて貯蔵されます。 ハチミツ100gを作るために蜜蜂は延べ1万回も花と巣の間を往復します。
種 類 ミツバチが蜂蜜を作る時は単一の花の蜜で作ります。違う種類の花の蜜が混ざる事は、普通はありあません。 集める花の種類で、ハチミツにも特徴が現れます。
  • レンゲ、ニセアカシア、ミカンなど、色が薄く香りも穏やかなグループ、日本で好まれます。
  • クリ、ユーカリ、シナノキなど、色が濃く、香りも強いグループ。ヨーロッパで好まれます。
  • タイム、ミント、ローズマリー、ラベンダーなど、ハーブの花を使い、特に香りが個性的なグループ。
成 分 ハチミツの成分は花の種類にかかわらずほぼ一定で、79.7%が糖分、20.0%が水分、 0.3%がその他の要素という構成になっています。 糖分の大部分は単糖類の果糖とブドウ糖です。ハチミツ独特の香りはフェニル酢酸エチルです。
市場 世界全体での生産量は年間100万トン程度。砂糖が1億トンである事に比べると、その100分の1です。 日本には現在約5,000件の養蜂家がいて、年間生産量は2,700トン。輸入は約4万トンです。



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制作日:2004月1月31日
上田 泰久