縄文時代の貝塚からも蛤の殻が大量に出土する事から、古代の人々の食生活を支えていた事がわかります。ちょうつがいの所に凸凹があり、同じ貝の殻しかかみ合わない事から 「貝合せ」という遊びにも使われました。海を凝縮したような香りとバランスのとれた旨みが素晴らしい。 日本を代表する貝と言われながら最近は各地で激減してしまいました。なんとか復活させたいものです。(写真は熊本県産) |
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品種 |
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産地と旬 |
現在日本で天然のハマグリを採っているのは有明海、周防灘(大分)、伊勢湾だけ。2月〜4月が旬です。 チョウセンハマグリは茨城県の鹿島灘、宮崎などが主な産地です。 |
成 分 | 貝類の旨みの特徴であるコハク酸に加えて、グルタミン酸、グリシンなどのアミノ酸系の旨み成分がバランス良く含まれ、ハマグリの気品のある味を作っています。 ハマグリにはアノイリナーゼというビタミンB1を壊す酵素を含まれていますが(アサリ、シジミも)、この酵素は加熱すると働かなります。だからハマグリは「生食は避けるように」と言われ るのです。 しかしアメリカやフランスでは近い種を生食します。(すごく美味!) |
調理方法 | ハマグリは身肉よりもエキス分に旨みがあるので、お吸い物や蛤鍋(はまなべ。昆布だしをはった鍋にハマグリと豆腐を入れて貝が開いたら食べるというシンプルな鍋)などが一般的な食べ方ですが・・・、煮蛤の寿司(甘辛くさっと煮たハマグリを開いて握り寿司にする)、てんぷらは極上の味。アサリで作る事の多い深川飯もハマグリで作るとぐっと上品でかつコクのある味に仕上がります。(シナハマグリで充分)クラムチャウダーに使ってもアサリより味わいがあります。 |
目利き | 貝を二つ軽くたたき合わせて、カチカチという硬質のすんだ音がしている貝を使いましょう。音が鈍く低い貝は死んでいる場合があります。魚屋さんの店頭ではできませんが、 家で調理をするまえに必ずチェックしましょう。料理の中に一つでも死んだ貝があると全部がだいなしになってしまいます。 |
市場 | 2002年にハマグリの漁獲量は約300トン。チョウセンハマグリは1,000トン程度です。これに対してシナハマグリの輸入は2万5000トンもあります。 |
雑学 |
蛤、浅蜊(あさり)、牡蠣(かき)、蜆(しじみ)など、貝を表わす漢字には虫偏がつくものが多いです。これは漢字が作られた中国では“虫”という概念が広く、
昆虫以外にも貝類、蝦(えび)、蟹(かに)、蛸(たこ)などを含んでいるからです。 蜃気楼の“蜃”の字にも虫が入っていますね。この蜃とは大きな蛤の事を指します。蛤が移動のために粘液を海中に吐き出す事から、 「巨大な蛤が出した粘液の中に楼閣が現れる」と言う昔の中国の言い伝えから蜃気楼と呼ばれようになりました。 |