いんげん豆(隠元豆)

Ingen 甘く煮たインゲン豆は食事の味付けに変化をもたらしてくれる、和食の味の大事なバリエーションの一つ。 世界中で色々な種類が栽培され、各地の郷土料理に使われて愛されている豆です。

品 種 マメ科。 南アメリカ原産で、ヨーロッパ、アジアなどに伝わったのは17世紀ですが、その後の200年間で世界中に急速に広まりました。 豆が大きく、皮が柔らかくて調理しやすく美味。 また若サヤ(さやいんげん)も美味しいというのが人気の理由でしょう。
原産地 南アメリカのメキシコ近辺。 メキシコのテワカン渓谷の洞窟で発見されたインゲン豆は栽培された品種で紀元前5000年頃のものと考えられています。 コロンブスによる新大陸発見にともなってヨーロッパに伝えられました。 日本には明の僧(後の隠元禅師)が1654年に持ち込んだので、 隠元豆という名が付いたと言われています。(しかし隠元が持ち込んだのは本当は藤豆だとも言われています。 関西地方ではこの藤豆を隠元豆と呼び、逆に一般にインゲン豆と呼ばれているものを藤豆と呼んでいます。)
種類 非常に多くの種類があり、日本で知られているものは200種類。世界中では1,000以上の種類があると推定されます。
  • 白いんげん−白あんの原料。甘納豆に使う大型の"大福"、"姫手芒"など。イタリア産のカンネリーニも有名。
  • 金時−平安時代に"坂田金時"という豪傑がいて、(渡辺綱などと一緒に鬼退治をしたという)この金時の肌が 赤茶色だった事から、紅色の物の俗称を金時と言います。(他に金時にんじんなど)いんげんの金時も紅色で、 小豆のように見えます。アメリカ、中米でよく食べられるのキドニー・ビーンズもこの仲間。
  • 鶉(うずら)豆−グレーに模様が入っている。メキシコのピント豆もこの仲間。
  • Toramame 虎豆−半分が白、半分が鶉豆の模様になっているおしゃれな豆。煮豆に使う。 インゲン豆の中で最も美味しいと言われ、確かにゆでて塩をふっただけでも美味しい。
  • フラジェオーロ−緑色。フランスでラム料理の付け合せにされる。
  • ヌーニャス−加熱するとポップコーンのようにはじける特殊な豆。アンデス地方の特産。
長く保存できそうな豆類ですが、じょじょに枯死する豆が増えてきます。 特にインゲン豆は皮が柔らかいので水分が蒸発しやすく、水につけても戻りが悪くなるので、 収穫された翌年の梅雨時までに食べきるようにしましょう。反対に採れたての豆は含まれる水分の量にバラツキがあって 煮ムラが出るので、採れてから2ヶ月ほどたってから使うようにします。 つまりインゲン豆の旬は12月から翌年の5月まで。正月料理はちょうどこの旬の豆を使っているのです。
成分 豆類の成分についてはこちらをごらんください。
生産量 世界全体での生産量は2千万トン程度。自家消費も多いので正確な数字はつかめません。 日本での生産量(乾燥豆)は2001年に24,000トン。ほとんどが北海道産です。


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制作日:2003年12月27日
更新日:2005年3月12日
上田 泰久