楚蟹(ずわいがに)

Zwai_gani

北陸を代表するおいしい蟹。福井県では越前蟹(オス)、山陰では松葉蟹(オス)とも呼ばれます。 北陸の地場産はとても高価ですが、柔らかく繊細な脚肉とたっぷりと入った蟹味噌はまさに冬の味覚の王者です。(写真は兵庫県産)

品 種 甲殻綱十脚目、短尾類、クモガニ科。
山陰からオホーツク海までの日本海に分布。・・・と言われていますが、太平洋側(銚子以北)にもいて、 福島県相馬市などでまとまった量が水揚げされます。 世界的にはアラスカ、グリーンランド沿岸など北極海、太平洋、大西洋の寒帯の海に広く分布しています。 普段は水深200m〜400mの海底にいますが、冬の産卵期になると浅場に移動して来ます。 成熟するのに8年〜10年かかると言われています。オスは脚を広げると80cmにもなりますが、甲羅の幅は15cm程度で、 脚の割に頭が小さいという意味で頭矮(ずわい)と呼ばれるようになったそうです。 また脚がキャシャで細いので若い小枝の意味する「ずわえ」と呼ばれ、これがなまってズワイガニになったとも言われています。
メスはオスの半分ほどの大きさで香箱(コウバコ)蟹、またはセイコ蟹と呼ばれます。 メスはオスより味が濃く美味しいのですが、小さいのであまり食べる所がありません。しかし胴体の中心部にある卵(内子、ウチコ)、 甲羅の内側に付いている外子、(ソトコ)と蟹味噌は絶品です。
・ 近縁種の紅ズワイガニは、生の時からきれいな紅色で、ゆでるとさらに赤味が増します。ズワイガニより大味ですが、 代用としては十分な味だと思います。山陰以北の日本海、銚子以北の太平洋岸の深海(水深500〜1000m)に生息しています。
・ マルズワイガニはズワイガニとは別種のオオエンコウガニ科ですが、弾力のある肉質で甘味があって美味。 西アフリカ沿岸で採れたものがズワイガニの代用として缶詰になります。
産地と旬 石川、福井、鳥取県が昔から有名。しかし国内産では北海道産が多くなっています。資源保護のために漁期が決められていて、 オスは11月6日から3月20日、メスは11月6日から1月10日までが解禁です。
成分 グリシン(甘味の強いアミノ酸)とアルギニンが多く、蟹独特の甘味の強い旨みを作っていますが、 毛蟹に比べるとどの旨み成分も少なめで、(下表)「ズワイガニは上品で淡白な味。毛蟹は濃厚な味」という事が成分からも確かめられます。
蟹の消化酵素(分解酵素)は大変強力で、死ぬとすぐに自らの内臓を溶かしてしまいます。 死んで半日も経つと蟹味噌が溶けて身肉にまで染み込んでしまうので、蟹の冷凍品は脚だけ切り離して流通する事が多いのです。
調理方法 大きな鍋に海水程度の塩水をたっぷりと用意し、蟹を裏返しにしてゆでます。ゆで時間は沸騰してから25分(小さな蟹は20分)は必要。 ゆで時間が短いと冷めてから甲羅が紫色になる事があります。生きた蟹をゆでる場合は必ず冷たい塩水からゆでる事。熱湯に生きた蟹を入れると脚が折れて旨みが流れ出してしまいます。
ゆでて冷凍してあるものは、ゆで直したりせず解凍してそのまま食べる方が美味。  
目利き 冷凍の輸入物よりも国内産の方が甘味があります。見分け方は国内産の方が脚が細長く、キャシャでバランスが悪く見えます。 輸入物は脚が太くがっしりしているように見えます。 各漁港毎に足に様々な色のついたタグを付けて出荷し、地場産の証にしています。 また北陸産には甲羅に黒い点(シーライスという海蛭の卵)が付いている事が ありますが、これがたくさん付いている方が脱皮から時間が経っているので身の入りが良いと言われています。運良く国内産の生鮮品を選ぶ機会に恵まれた場合は、持ってずっしりと重く、腹側が真っ白よりも飴色がかったものを選びましょう。 鮮度が落ちてくると脚の節から黒ずんできます。なお、蟹を並べる時に腹側を上にしているのは、蟹味噌が身に染み込むのを防ぐためです。  
市場 国内産は年6,000トン程度。冷凍品輸入が活発で、国内産の10倍以上の7万トンにも達しています。アラスカ(バルダイ種)、カナダ(オピリオ種)、 ロシア(バルダイ種とオピリオ種の中間種)などが主な輸入元で、カナダ産が高級品扱いされています。 また、北朝鮮からは生鮮物も輸入されます。
なお、紅ズワイガニは日本国内で25,000トンの水揚げがあり、日本産の蟹全体の漁獲の64%を占めています。  


各種アミノ酸の含有量(単位:mg/可食部100gあたり)五訂食品成分表より

種類 アルギニン アラニン アスパラギン酸 グルタミン酸 グリシン
ズワイ蟹11008101200 19001100
毛蟹19009701500 22001300


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制作日:2003年1月5日
更新日:2007年6月9日
上田 泰久