山椒(さんしょう)

Sansho 葉には極上の芳香があり、実にはさらにピリッとした辛味が加わります。 "木の芽"と言うすごく一般名詞的な言葉が山椒の若葉を指すほど、日本人にはなじみの深い香辛料。 若芽、葉、花、実、樹皮などほとんどの部分が香辛料として使われます。 古名は"ハジカミ(波士加美または波自加彌)"。これは食べると辛くて「顔をしかめる」ところから来ているようです。 中国から生姜(しょうが)が渡来してからは、山椒は和のハジカミ、生姜を呉のハジカミと呼ばれました。

品種 ミカン科さんしょう属。幹、葉、花、実など植物全体に芳香を持っています。山椒の木は固いので、すりこぎに使われます。
原産地 日本の山野に普通に見られ、また韓国、中国の一部にも自生しています。縄文時代の土器にも山椒の種が付着していたそうで、 有史以前から日本人に利用されていたようです。 栽培されるようになったのは明治以後で、それまでは山野に自生するものを摘み取って使ってきました。
種類
  • 普通の山椒−鋭く大きなとげがある。
  • 朝倉山椒−トゲが無い。香りが強いが辛味はあとまで残らないという名品。
部位
    Shinshouga
  • 木の芽−山椒の若葉の事。
  • 花山椒−4月〜5月に咲く小さな黄色い花。
  • 実山椒−青山椒とも言います。山椒の未熟の実で、最も香りと辛味が強い。6月に出回ります。 シラスと佃煮にした、ちりめん山椒は有名。
  • 粉山椒−秋になると山椒の実が熟して皮が2つに割れます(割山椒)。実は固くて食べられないのですが、 皮に芳香があるのでこれを粉にして使います。ご存知、ウナギのかば焼きにかける香辛料です。
  • 辛皮−若い枝の皮。塩水に漬け込んだものを戻してから醤油で煮たり味噌漬けにしたりして食べます。
産地と旬 木の芽と花山椒の旬は4月〜5月。実山椒の旬は6月。熟した実を粉にした新山椒が出てくるのは11月頃です。 産地としては和歌山、奈良、岐阜などが有名。
成分 辛味成分はサンショール。サンショールには局所麻酔の作用もあるので、青山椒を食べると舌がしびれます。 香りの成分はミカン科らしくシトロネラール、ジペンテン、フェランドレンなど。
調理 実山椒は辛味が強いので、下ゆでしてから水にさらして辛味を除いてから使います。 花山椒は、吸い物に入れたり酢の物に合わせたり、また醤油で煮て食べます。


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制作日:2002年6月23日
上田 泰久