さやいんげん(莢隠元)

Saya_Ingen   ポキっと折ると野菜のいい香りがします。ゆでるとほのかな甘味が・・・。 野菜として若サヤを食べるサヤ豆の代表です。(写真はどじょういんげん)

品種 マメ科。隠元(いんげん)豆をサヤごと若採りしたもの。 日本では平安時代よりサヤ豆と言えばササゲ豆が代表でしたが、 江戸時代末期にサヤ豆用のインゲンが伝来するとそのサヤの厚さと甘味で急速に普及し、 ササゲを圧倒してしまいました。
短期間で収穫できるのが特徴で、ベランダのプランターなどでも簡単に栽培できます。 昔は筋が気になって調理の時に取っていましたが、今では品種改良でほとんど気にならなくなっています。
原産地 南アメリカのメキシコ近辺。 メキシコのテワカン渓谷の洞窟で発見されたインゲン豆は栽培された品種で紀元前5000年頃のものと考えられています。 コロンブスによる新大陸発見にともなってヨーロッパに伝えられました。 日本には明の僧(後の隠元禅師)が1654年に持ち込んだので、 隠元豆という名が付いたと言われています。(しかし隠元が持ち込んだのは本当は藤豆だとも言われています。 関西地方ではこの藤豆を隠元豆と呼び、逆に一般にインゲン豆と呼ばれているものを藤豆と呼んでいます。)
若サヤを食べる専用種は江戸時代末期(19世紀後半)に渡来。
サヤ豆の起源 豆類は荒地でも育ち収穫も簡単で、タンパク質・アミノ酸を多く含む理想的な食料なのですが、 火のとおりが悪く調理に時間がかかるうえ、有毒成分を含むものも多いので調理に手間がかかります。 しかしこうした豆でも未熟の時には無毒のものが多く、火もとおりやすいので調理が簡単です。 そのような理由からだと思いますが、世界各地に豆が完熟する前に採って食べる習慣があります。 やがて、サヤも美味しい品種が選択・改良されてくるのです。
種類
    Hirasaya_Ingen
  • どじょういんげん−丸サヤで23cm程度。関東地方ではもっとも一般的。柔らかく味がよい。 形が泥鰌(どじょう)に似ている(?)というのが名前の由来です。ケンタッキーワンダーが代表品種。
  • サーベルいんげん−丸サヤで細く小さい(15cm)タイプ。80年代に普及しました。
  • 平さやいんげん−(写真右)固そうに見えますが加熱すると柔らかい。味が濃くて美味しい、関西地方で好まれます。
  • モロッコいんげん−花豆(紅花インゲン。いんげん豆の近縁種)の若サヤです。 花豆は涼しい気候を好むので、北海道を除くと群馬・長野の高原を中心に栽培されています。 モロッコも以前は軽井沢周辺でしか売られていませんでした。 80年代になって、若サヤを収穫する事を目的として(完熟の花豆を採る事をあきらめて) 専用の品種が開発され、暖地で冬から春にかけて栽培されるようになって大都市圏にも出まわるようになりました。
上記の種類にそれぞれ、つるのあるタイプとつる無しタイプがあります。
一年中出回って味もあまり変化しませんが、本来の旬は6月から9月です。
調理 さやいんげんは何日か保存しても見た目はあまり変化しないのですが、香りや甘味はどんどん無くなっていきます。 できるだけ買ってきた日に食べましょう。またエチレンを多く出すリンゴと一緒に保存するのは避けましょう。 ゆでる時は板擦りして(塩でもんで)からゆでると、きれいな緑色にゆで上がり、細かい毛が取れて舌触りが良くなります。
さやいんげんは切り方によってがらっと表情の変わる食材です。普通は輪切りというか横に切って使われる事が多いと思いますが、 サヤの方向に沿って縦に切るとシャキっとした歯ごたえが冴えます。 包丁で縦に切るのは大変なので、ビーン・ストリンガーという道具を使うと便利です。
市場 2000年の全国収穫量は6万4千トンで微減傾向。


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制作日:2003年11月24日
更新日:2003年12月28日
上田 泰久