生姜(しょうが)

日本、中国、インドなどで古くから使われてきた香辛料。冷奴の薬味や豚肉のショウガ焼き、寿司の口直しの"がり"など、 ショウガをちょっと添えるだけで食欲増進。独特の香りが和食や中華料理に欠かせない風味を作り出します。 辛い香辛料ですが、冷奴や湯豆腐にほんの少しショウガを添えると、なぜか豆腐に甘味を感じさせます。
薬としても血行を良くする作用、発汗により熱を下げる作用、咳を静める作用があり、昔から人々の役にたってきました。
Shouga

品種 ショウガ科の多年草。熱帯地方では秋に黄緑色の花が咲ますが、日本で咲きません。 世界各地で薬や香辛料として使われています。
原産地 南アジア原産で、中国では紀元前500年頃には薬用にされていました。 日本には3世紀頃中国からもたらされたらしく、 ショウガの古名を「呉(くれ)のハジカミ」と言います。呉とは”日の暮れる国”という意味で広く中国一般を指します。 ハジカミ(波士加美または波自加彌)は顔をしかめるという意味で刺激的な味だという事を表します。 古来から山椒(さんしょう)をハジカミと言っていましたが、ショウガが日本に伝わると、 山椒を和のハジカミ、ショウガを呉のハジカミと呼ぶようになりました。 ショウガと呼ばれるようになったのは江戸時代からです。
ヨーロッパにも薬用として古くから伝わっていたようですが、あまり一般的ではありませんでした。 14世紀頃にはコショウに次ぐ東洋産の貴重なスパイスとしてもてはやされるようになり、 17世紀英国でのジンジャー・ブレッドの流行とともに普及していきます。
部位
  • 老成生姜(ひねしょうが)−前年に種生姜として植え付けた根(塊茎、こんけい)の部分です。 固く繊維質で、辛味も強くなっています。植付けに使った根を次の年に食べるというのは全野菜のなかでも珍しく、 生姜と里芋の一種のタケノコ芋(京芋)ぐらいでしょう。
  • Hashouga Shinshouga 新生姜(しんしょうが)−植付けに使ったヒネショウガの上の部分にできた新しい根の部分。 柔らかく辛味もおだやかで、甘酢漬けなどにされる。

  • 葉生姜(はしょうが)−(写真右)新ショウガが育ち始めて2〜3cmになった時に葉をつけたまま出荷されます。 谷中生姜は、紅色になる品種で初夏に出まわる季節の風物詩です。
  • 矢生姜は、葉ショウガよりさらに早採りで、陽にあてずに育てます。出荷直前に陽をあてて茎に赤みをつけます。 甘酢に付けて、魚の口直しなどに。
産地と旬 もともとの根ショウガは9月〜10月に採れます。日本では高知、千葉が主産地ですが、最近は中国からの輸入が消費量の半数近くを占めています。
成分 辛味の成分はジンゲロンやショウガオール、香りの主成分はジンギベレンです。 また、蛋白質分解酵素のプロテアーゼが含まれているので、豚肉の生姜焼きのように肉をショウガ汁に漬けておくと、 この酵素の働きで肉が柔らかくなります。
調理 生姜は料理の後味をすっきりさせる特効薬です。すりおろして冷奴、湯豆腐、鯵のたたき、 てんつゆなどの薬味として使われる他、豚肉の生姜焼き、魚の煮付けなどの臭い消しによく使われます。 新生姜の甘酢漬けが寿司のガリに、また矢生姜の甘酢漬けは焼き魚の付け合せの定番ですね。
中華料理でも基本的な香辛料。西洋では上述のジンジャーブレッドをはじめ、 ジンジャー・クッキー、ジンジャー・エールなど、菓子類や飲み物の香料によく使われているのが 興味深い所です。


食材事典のホームへもどる



制作日:2003年1月20日
更新日:2005年12月11日
上田 泰久