イザナギは、黄泉の国から逃げ帰る時に黄泉醜女(よもつしこめ)に追われました。
その時に髪に刺してあった櫛(くし)を投げつけたところ、その櫛が筍になり、
黄泉醜女がそれを引き抜いて食べている間に逃げました。(古事記) 筍は古来から日本人の大好物であったようです。新緑の季節の風物詩。コリコリとした歯ごたえと独特の香りがたまりません。 (写真は孟宗竹) |
品種 | イネ科。(タケ科とする説もある)暖かい気候を好み、南方ほど種類も多く大型の品種が多くなっています。 地上に出ている竹は地中を横に走る地下茎から次々と出てくる竿の部分です。 この竹の芽にあたるのがタケノコで、食べられるのはタケノコがまだ地中にあるもの(孟宗竹)か、 地表に出たばかりのもの(淡竹)で、土壌が柔らかいほどタケノコも柔らかい物ができます。 タケノコの成長は猛烈に早く、1日で1m以上も伸びることがあります。 名前の由来も一旬(10日)で成長しきってしまうところからきています。 竹の寿命は百年以上で、何十年に一回か花を付けるというのは有名ですが、タケノコが多く出るのは3〜5年目です。 |
原産地 | 竹・笹類全体の原産地は南西アジアからヨーロッパにかけてと言われていますが、 日本で食用にされる孟宗竹、寒山竹は中国原産。真竹、淡竹は中国原産と日本原産の2つの説があります。 |
種類と旬 |
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成分 | 特徴的なのはチロシンというアミノ酸が大量に含まれていることです。筍をゆでた時に出てくる白い成分はチロシンです。 チロシンは芳香族アミノ酸(ベンゼン核−6個の炭素原子が六角形につながっている−を持つ)で、 同じ芳香族の必須アミノ酸のフェニルアラニンから合成されるので必須アミノ酸とは言われませんが、 ベンゼン核を体内に取り込むためにフェニルアラニンと共に大事な栄養素です。ドーパミンの原料。 チロシンは水に溶けにくいので白い粉として現れやすく、納豆、味噌、チーズなどでも表面に白い粉として現れる事があります。 |
調理法 |
タケノコは採ってから時間がたつほどアクが強くなりますので、買ったらできるだけ早く調理しましょう。
アクを抜くために米ぬかと赤唐辛子(2〜3本)を入れて下ゆでするのが一般的。米ぬかが無い場合は米のとぎ汁でゆでます。
小さなタケノコで、採れて1日以内ならほとんどアクが無いので、真水でゆでるだけでも十分です。
タケノコの皮の先端を斜めに切り落とし、皮に縦に切れ目を入れて水から一時間以上ゆでます。ゆであがったらそのまま冷まします。
淡竹、真竹をゆでる時は、割れないように節に金串などで穴をあけておきます。 採れた当日のタケノコが手に入った場合は焼き筍が美味。 皮ごとアルミホイルでくるんでオーブンで焼きます。直系が10cm程度の小型のもので、250度30分程度。 また、一度ゆでたタケノコも、焼いて焦げ目をつけると別の味わいが出ます。 |
目利き |
以下は孟宗竹の選び方です。 頭が緑色の物より黄色の物、節目の間隔が狭い物、根元のイボイボが小さく少なく赤っぽいタケノコの方が美味。 全体にフックラと太めで、根元よりも中間部の方がふくらんでいる釣鐘型の方が、アクが少なく根元まで柔らかい。 釣鐘型のものを雌筍、細めの三角錐(さんかくすい)のものを雄筍と呼ぶ事もありますが、生物としての雄・雌とは関係ありません。 |
市場 | タケノコは植物の中では最も早く、1881年に缶詰になりました。以来、市場に出てくるタケノコの60%は水煮加工された缶詰か 真空パックです。 |
雑学 | 孟宗竹の名前の由来について。孟宗は昔の中国、呉の人物。病気の母親が冬にタケノコが食べたいと言うので、 雪の積もる竹林を掘ったところ、地中からタケノコが出てきたという孝行話から命名されたと言います。タケノコの中で最も早く、 まだ雪が残るうちから出てくるのが孟宗竹です。 |
干し筍 |
古代からの保存食。
ゆでた筍を天日で乾燥させて作ります。独特の歯ごたえがやみつきになります。 もどすには2日以上水につけるか(たまに水代えをして冷蔵庫で)、6時間水につけた後、重曹を加えて30分ゆでてから3時間放置し 、その後また真水でゆでてアク抜きします。 その後、再び真水で10分程度ゆで、それから油でさっといためてから砂糖・醤油を加え、鰹ダシで二時間ほど煮て食べます。 九州で多く食べられているようです。(写真は熊本の方にいただいた孟宗竹の干し筍。自家製) |