生では鮮烈な辛味を発揮。加熱すればとろりとした甘味で全く別の表情を見せる食材です。 古代エジプトでニンニクと共にピラミッド建設の労働者の食料として配給されていた話は有名ですね。 今でももちろん、西洋料理の味のベースとして無くてはならない野菜です。 英語名のオニオン"Onion" は、一体を現す"Union"から来ています。 |
品種 | ユリ科ネギ属の多年草。亜熱帯から温帯にかけて広く栽培されていますが、冷涼な気候を好みます。 |
原産地 |
西アジアのイラン近辺が原産地と考えられていますが、野生種が見つかっていないので確かではありません。
人参、
ほうれん草など他の西アジア原産の野菜は、
栽培化されるとまもなくヨーロッパと中国に同時に伝わって、それぞれの地で別々に改良されていくのですが、
玉ねぎはなぜか中国では定着しませんでした。その代わりに長ねぎが普及したのです。
一方、西洋に伝えられたのは大変古く、エジプトでは紀元前3000年頃から、
ギリシアでは紀元前1000年頃から栽培されていたようです。 日本には1770年代に北海道開拓使が導入しました。最初は辛味もあってなかなか普及しませんでしたが、 1879年・86年(明治12年・19年)にコレラが大流行した時に、 「玉ねぎはコレラに効く」という噂が流れたので爆発的に売れるようになったという話です。 |
種類 | 含まれている硫化アリルの量によって甘玉ねぎと辛玉ねぎに分けられます。
甘玉ねぎは南ヨーロッパで生まれました。 辛玉ねぎは東ヨーロッパで生まれアメリカで改良されました。日本で売られているのはほとんどが辛玉ねぎで、 以下の種類も全部辛玉ねぎです。
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旬 | 一年中ありますが、本来の旬は春と秋です。品種によって旬の時期が異なります。 |
成分 | 辛味とにおいの成分はネギやニンニクと同じアリシンなどの硫化アリルです。 タマネギを切ると涙が出るのは、硫化アリルの仲間のアリルプロピオンという物質のためです。 玉ねぎを加熱した時の甘さは、硫化アリルが熱で変わったプロピルメルカプタンという物質で、低カロリーの割に砂糖の 50倍もの甘さを持つと言われています。(「プロピルメルカプタンは実は甘くない」という異論もあります。) |
調理法 |
サラダに使う時に辛味をおさえたい時には2〜3分ほど水にさらします。ただし栄養分も抜けてしまいます。
みじん切りを炒める時には電子レンジでもOKです。 冷蔵庫の野菜室は玉ねぎの保存には最悪の環境です。玉ねぎは気温が低いほど発芽しやすく、湿度が高いほど腐りやすいので、 温度が低くて湿度の高い野菜室は最悪なのです。 |
市場 | 日本では年間108万トン程度が生産され、アメリカに次いで世界第2位の生産量を誇ります。 生産量の内北海道産が48%を占めます。 |