さつま芋、じゃが芋などの芋類は世界中の人々に愛され、様々に調理されていますが、 芋が生のまま食べられる事はまずありません。 その中で山芋は唯一の生食される芋です。すり下ろしたり千切りにして食べれば大変おいしく、元気がわいてきます。 すり鉢でするのはとても手間がかかりますが、キレのある味わいは冬には貴重な冷たい美味しさです。 (写真は自然薯の先端部) |
品種 |
"山芋(ヤマイモ)"という呼び方は人によって使われ方が違い混乱していますが、次の2つが一般的です。 A.ヤマノイモ科ヤマノイモ属で日本で食用にされている長芋(ながいも)、自然薯(じねんじょ)、 大薯(だいしょ)の3つをまとめて"山芋"と言う場合 B.よく栽培されている長芋の仲間だけを"山芋"と呼び、山野に自生する自然薯は"山の芋"と呼んで区別する場合。 世界的には、ヤマノイモ属の植物の総称を"Yam"(ヤム)と言います。 Yamは東南アジアからアフリカにかけて幅広く分布して、人々の重要な食料になっています。 ヤマノイモ属の植物はもともと熱帯産で、日本原産の自然薯と中国原産の長芋は珍しい温帯性の種類です。 |
種類と原産地 |
●自然薯−(ページ上部の写真) 日本の山野に自生する天然の山芋。細長く1mに達します。生命力が強く、都会の公園などでも見かけたことがあります。 古来から自生していた株の末裔(まつえい)でしょうか?秋には細長いハート型の葉がきれいな黄色に色づき、 ムカゴを付けます。 自然の状態では芋が土の中の石などをよけてクネクネと曲がって伸び、掘り出すのが大変なので高価な貴重品となっています。 自然の産物でありながら、完ぺきな白さとキレのある旨みがあり、植物臭さの全く無い高貴な味わいです。 (表現が難しくてすみません!) 天然物は東京の市場ではほとんど売られていませんが、最近は畑で栽培されて売り出されるようになりました。 パイプの中でまっすぐに作られるという事です。 ●長芋の仲間 中国雲南省の原産。中国では紀元前から栽培されていたそうです。 日本にも奈良時代までには渡来して栽培されていたようで、色々な文献にも"ヤマノイモ"、"ヤマツイモ" などの名前が出てきますが、これらが長芋を指しているのか、自然薯を差しているのか不明確です。 以下のように種類によって全く形が違います。
九州などで少量栽培される熱帯産の山芋。Yamに近い種類で様々な形があります。名前のとおり大きなイモで、 種類によっては40kgに達するものもあります。 |
旬 | どの品種も晩秋から冬にかけて11月〜2月頃が旬です。秋に収穫されたものが数ヶ月貯蔵されると味が濃くなり、 逆にアクは少なくなってきます。 |
成分 | 主成分はデンプンですが、デンプン分解酵素のアミラーゼ(ジアスターゼ)を含んでいるので消化が良く、生で食べられます。 ネバネバの成分はムチンという糖タンパク質で、里芋、オクラ、モロヘイヤなどのネバネバと同種のものです。 |
調理法 |
切っていないものは、冷暗所で3〜4ヶ月は保存できます。自然薯や長芋を切ってしまった場合には、
切り口をラップで包んで保存しますが、切り口から変色し乾燥してしまうので早めに食べましょう。 すり下ろす時は、おろし金(できれば金属性でない物)ですった後ですり鉢とすりこぎでもう一度すると、なめらかで美味しくなります。 山芋を触っていると手がかゆくなるのは、皮付近に含まれているシュウ酸カルシウムの細かい結晶が手に刺さるためです。 この物質は酸に弱いので、皮をむいた後で薄い酢で洗うとかゆみを防げます。 |
むかご | ヤマノイモ属の植物は地下にできる芋でも増えますが、地上の茎に付くムカゴ が地面に落ちるとそこから芽が出て増えていきます。ムカゴは地下の芋と同じ成分で自然を感じさせる味わい深い食材です。 くわしくはこちら。 |
市場 | 長芋の仲間を中心に年間20万トン程度の生産量があります。 |
雑学 |
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