あさり(浅蜊)

Asari 魚介類を”漁る(あさる)”が語源です。かつては全国どこの内湾にもザクザクといたということでしょう。日本産は激減してしまいましたが、 今でも一番なじみの深い貝。お味噌汁や酒蒸しでとてもいい味をだしてくれます。

品種 マルスダレ貝科の2枚貝。貝殻は布目で色々な模様があります。
本来は淡水の流れ込む内湾を好む貝ですが、内湾の岸に近い汚れた砂泥地に生息する貝よりも、 沖合いの水のきれいな場所に住む貝の方が海の香りがして身が柔らかく美味です。 岸に近いところに棲む貝は貝殻が丸っこく黒っぽい色をしていて、水管の先端の縁にヒゲがあります。 沖合いに住む貝は貝殻が扁平で横幅があり、はっきりした模様を持っています。
大アサリと呼ばれるのはウチムラサキ貝という別の種類で、こちらは水深10mから20mの砂礫に棲みます。 貝の大きさが10cmになり、貝殻の内側が濃い紫色になるのでこの名があります。アサリより身が固く旨みが薄いのですが、 浜焼きなどで結構おいしく食べられます。
天然物の旬は春と秋ですが地域によって異なります。冬は身が痩せておいしくありません。 関東では5月と10月が産卵期で、直前の3月から4月、及び9月が殻一杯に身がつまって旬だと言われています。
成 分 貝類の主な旨み成分であるコハク酸とタウリンが旨みの成分です。  
調理方法 砂抜きをしたと表示されているものでも再度塩水につけて砂抜きしたほうが味も良くなります。ただし、 あまり長時間かけると酸素不足で死ぬこともあるので、塩水につけるのは2時間程度にしましょう。
調理する前に手で揉んで殻をこすり合わせて汚れを取りましょう。 手間がかかりますが、お米をとぐ要領で10分ほど揉むと臭みがとれて味が良くなります。
味噌汁の具、酒蒸し、韓国料理のチヂミなど、色々な料理に使われます。 江戸の伝統的な料理である深川飯もアサリの旨みを最大限に引き出した料理です。  
砂抜きの方法 平らなバットや大きな鍋などにアサリが重ならないように一層にならべます。海水程度の塩水(3%)を入れますが、 貝が水に全部もぐらないように、殻の厚みの3分の2程度の量の塩水を入れます。 その上からアルミホイルに竹串で所々に穴を開けたものを被せます。こうすれば、かなり効率的に砂抜きができます。  
目利き スーパーなどで売られている状態では、貝殻を固く閉じているものが新鮮です。 貝殻の横幅が広いものの方が、すっきりした味で美味。  
市場 庶民的な貝ですが、日本産は激減しています。1990年は71,000トンでしたが、 2000年には36,000トンになってしまいました。輸入は毎年80,000トン前後ですので、流通しているアサリの3分の2は 輸入物と言えます。日本産のものの中では愛知県(30%)と千葉県で(22%)で全国の過半数を占めます。  


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制作日:2001年10月9日
更新日:2003年6月1日
上田 泰久