あわび(鮑)

Awabi 生ではコリコリした歯ごたえと圧倒的な磯の香り。火を通しては、繊細で奥の深い旨み。素材自体が至福の 時を約束してくれる宝物です。平安時代から魚介類の中で最も美味しいものとして珍重されてきました。

品 種 ミミガイ科の巻貝。雄は生殖腺が淡い黄土色、雌は深緑色です。日本近海では、以下の4種類が生息しています。
  • クロアワビ:漁獲量が多い。殻、身の部分とも青黒い。クロガイ、オガイと呼ばれます。 身がしまってコリコリしていて、刺し身にすると歯ごたえがいきます。
  • マダカアワビ:30cmまで成長する。足の部分が深緑色。アオガイと呼ばれます。
  • メガイアワビ:殻は赤褐色、足の部分は黄土色です。ビワガイとも呼ばれます。 身が柔らかく、酒蒸しなど火を通す料理にむいています。
  • エゾアワビ:北海道から東北地方に分布する10cm程度のアワビです。クロアワビと同種とも言われています。
水温により育つ速度が異なり、関東近辺では10cmに育つのに4年、北海道のエゾアワビでは7年から8年 かかると言われています。
産地 と旬 全国の岩礁に分布していますが、エサとなる褐藻類(または紅藻類)が多いところにいます。昔から房州の、 特に大原、岩和田あたりのメガイアワビが美味として有名ですが、 最近では絶滅しかかっていて大原では禁漁になってしまいました。旬は関東では8月から10月です。
成 分 主な旨み成分はグルタミン酸とアデニル酸で、タウリン、グリシン、ベタインなど、甘味を感じさせる成分も豊富です。 食べている褐藻類のグルタミン酸がアワビの身に移っていると言われます。コラーゲンが多いので、 生ではコリコリしていますが、火を通すとコラーゲンがゼラチンに変わってやわらかくなります。  
調理方法 最初に塩で足(身)をすり込んでタワシなどでぬめりを取ります。よく塩をすり込むと身が締まって固くなります。 殻から身を外すのは簡単です。口のある側からシャモジなどを殻に沿って入れて、ゆっくりと力を入れて剥がしていきます。 ただ、この時にキモを潰さないように気をつけましょう。身を外したら、口の部分、キモと周りのヒラヒラを取り除きます。 殻にくっついているホジという筋肉は酢の物で食べられます。

クロアワビとマダカアワビは磯の香りとそこはかとない旨みを楽しむ刺し身が美味。2mmか3mm の薄さに削ぎ切りにしてコリコリしとした歯ざわりを楽しみましょう。刺し身を氷塩水に入れた水貝も夏の暑さを吹き飛ばして くれます。水貝は刺し身と同じ薄い削ぎ切りでもいいですが、2cmぐらいの角切りもネッチリとした歯ごたえで美味しい です。キモもさっと湯がいて食べましょう。メガイアワビは酒蒸し、シャブシャブなど 火を通す料理にむいています。火を通すと柔らかくなり、旨みにコクがでてきます。磯の香りを飛ばさないように 調理するのが腕の見せ所です。
中華料理になりますが、乾アワビを戻して煮込んだものもほのかな香りと味わいがあって美味しいですね。 乾アワビをきちんと戻すには4日かかるそうです。
甲府の煮貝、三陸のアワビの塩辛も有名。

延喜式(平安時代の法典、納税の記録。927年成立) の主計上には鰒腸漬(あわびのわたづけ)が筑前、肥前、阿波などから納品された記録があります。

コメント 高価な貝ですが、旨み、香り、歯ごたえともその価値は十分にあります。以外に調理が簡単ですので、家で食べましょう。 最近では各地でアワビの稚貝の放流に取り組んでいて、漁獲量も安定してきています。また、養殖した貝を出荷する 試みも行われています。成長の遅い貝ですが、エサの褐藻類は毎日やらなくてもいいのでなんとか採算があうようです。  
市場 現在は2,100トン前後です。1985年から95年までの間に半減してしまいましたが、その後は稚貝の放流の成果が 現れて微増傾向です。輸入は700トン前後。養殖はまだわずかです。  


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制作日:2001年7月28日
更新日:2005年2月13日
上田 泰久