大根

Daikon 純白の野菜。食卓ではまず”白い”という事を楽しめます。食べれば生のサクサクした歯ごたえ、 おろした時の強烈な辛さ、他の素材と炊き合わせた時のたっぷりと旨みを含んだ状態、 と全く違う3つの顔が楽しめます。”すずしろ”という名で春の七草の一つにも入っているように、 古代から日本人に親しまれ各地に様々な地大根があります。 (写真は辛味大根の一種)


品種 アブラナ科です。日本の代表的な野菜で、作付面積、生産量ともに全野菜中一位です。 また古くから各地で改良されてきたので100以上の品種があります。 世界的にはヨーロッパ系(ラディッシュなど)や中国系の品種もありますが、このページでは日本の大根について書きます。
原産地 アブラナ科という点では原産地は地中海沿岸なのですが、 ヨーロッパではアブラナ科のうちキャベツ類とカブしか改良されませんでした。 大根は麦が西方から中国に渡来した時に麦畑の雑草として”進入”し、中国人によって栽培野菜化されました。 日本には弥生時代にはすでに伝えられていたようです。古くはオオネと呼ばれました。
種類 以下は代表的な品種です。(練馬、三浦は品種グループの名前です。)現在、 青首があまりにも普及してしまっているので、青首以外を地大根と呼びます。
  • Miura_Daikon 青首大根−”耐病総太り”という品種で、現在では生産量の95%を占めます。 大根の上部が地上に出て緑色になるという特徴を持つ、宮重(みやしげ)大根の改良型。 辛味が弱く、煮崩れしにくいので最近の消費者からは好まれています。また、 上部が地上に出るという特性のために「収穫時に引き抜くのが楽」(練馬大根は40kgの力でないと引き抜けないが、 青首は10kgで抜ける)、という生産者の利点、「上から下まで同じ太さなので扱いやすい」 という流通業者の利点もあり、生産者・流通業者・消費者の3者の利害関係が一致して市場独占に拍車をかけました。 また一年中採れ病気にも強いという特徴もあります。
  • 練馬大根−関東の白首大根の代表品種。主に東京都の練馬で作られていました。主にたくあんに使われます。
  • Miura_Daikon 三浦大根−練馬大根から改良されました。練馬よりも中央部がふくらんだ形になっています。 11月と12月に収穫。青首大根の普及とともに激減してしまいました。かつては三浦半島の特産でしたが、 三浦半島でも79年10月の台風によって三浦大根が壊滅的な被害を受けたのを切っ掛けに、 ほとんどの畑で青首に転換してしまいました。辛味が強いので大根おろしにむきます。また、 正月の大根ナマスは三浦に限ります。青首で作ると柔らかすぎてべちゃべちゃしてしまいます。 最近は少しづつ復活しています。
  • 守口大根−世界最長の大根で長いものでは2mに達します。(直径は2.5cm程度) 大阪の守口で栽培されていたものが起源と言われていますが、現在の特産地は岐阜県の長良川河畔です。 柔らかく均質な土壌が2m近く堆積していて(普通は砂地です)、 かつ地下水の低い場所でなければできません。固く辛味が強いので、粕漬け(守口漬け)にします。 というよりも全量が守口漬けになってしまいます。
  • Kameido_Daikon 亀戸大根−種を蒔いてから40日でできるという四十日大根の一種で3月に収穫されます。 ニンジンを少し大きくしたような形。浅漬けにするとおいしいと言われます。 1900年頃には東京の亀戸で盛んに作られていましたが、 現在は葛飾(東京)の農家3件で作られているのみです。復活運動があるので期待しましょう。
  • Shogoin_Daikon 聖護院大根−(写真右)京都の聖護院地区で丸い形に改良されました。直径15cm程度の丸型で、柔らかくて甘味が強い。 11月に収穫されます。最近では京都南部の淀で盛んに栽培され、淀大根と言われます。(写真は淀大根です。)
  • 桜島大根−世界最大の丸型大根で直径35cmに達します。聖護院大根と同様、甘くて柔らかい。
この他の地大根として、その地方固有の種類が栽培されています。多くは辛味の強い辛味大根です。 福井県・石川県の源助大根(おろし蕎麦に使う)、同じく福井県小浜市の勢浜大根、埼玉県川口市赤山の赤山大根、 長野県の信州地大根(鼠大根、中之条大根など)があります。
多くの品種で12月が旬です。アブラナ科としての故郷が地中海沿岸ですので、「夏は乾燥、冬は温暖多雨」 という地中海性気候に適合して晩秋から冬にかけて成長するからです。品種ごとの旬については上記をご覧ください。
調理方法 大根は葉に近い部分ほど辛味が弱く、下にいくほど辛味が強くなります。
コメント 古代から日本人に好まれた野菜で現在でも生産量では第一位にあります。 しかし最近生産額ではキュウリに抜かれてしまいました。大根は煮物、大根おろし、たくあん、刺し身のツマなど、 魚食を中心とする和食に合う野菜です。一方キュウリはサラダなどの洋風の食事に合う野菜です。 日本人の食生活の変換がこんな所にも現れているんですね。
青首大根以外の地大根がもっと復活して欲しいです。


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制作日:2001年9月15日
更新日:2006年4月23日
上田 泰久