じゃがいも−ばれいしょ(馬鈴薯)

Jyagaimo Mayqeen

世界中でおいしい郷土料理になっています。イギリスのシェーパーズ・パイ、スイスのラクレット、トルコのタラモ・サラダなど。日本代表は肉ジャガでしょう。 小麦、トウモロコシ、お米と共に4大デンプン作物と言われて、人類の栄養を支える重要な役目もしています。 市場では男爵薯とメークインという表示しか見当たりませんが、他にもおいしい品種が色々と開発されていて、 無名のままで(あるいは男爵薯やメークインと偽って)売られています。料理によって使い分けたいので、ぜひ正しく品種表示をして欲しいと思います。 (写真左は男爵薯、右はメイクイーン)

品種 ナス科ナス属 "Solanum tuberosum"。簡単に栽培できて生育が早く、貯蔵もできるので、世界の主要作物の一つになっています。 ジャカルタからもたらされたのでジャガタラ芋と言われたのが名前の由来です。
原産地 良く知られているように南アメリカのアンデス高原(標高3000mの高地)が原産で、アンデスでは紀元前から栽培されていました。 サツマイモと同様にスペイン人のアメリカ航海によってヨーロッパにもたらされたのですが、なぜかサツマイモよりも50年遅い1530年頃の伝播でした。 当初フランスでは「根に毒があって食べるとライ病になる」と言われて敬遠されましたが、ドイツでは積極的に栽培されて食用とされ、 やがては貯蔵のできるデンプン作物としてヨーロッパ全土に普及していきます。 日本には1600年頃にオランダ船かポルトガル船が持ち込みました。(サツマイモと同時期) やはり最初は根が有毒だという話で観賞用に栽培されたのですが、やがて芽の部分を除けば食用として優れている事がわかり、 また寒い地方でも十分に栽培できる事が分かると北海道、東北で作られるようになります。 本格的に普及したのは1874年に北海道開拓使がアメリカから優良品種を導入した後、 1884年の大凶作の時に政府が「再植馬鈴薯の記」というパンフレットを作って栽培の仕方や調理法を広めたのがきっかけです。 最初の伝来より実に300年近く後のことです。
種類 世界中に非常に多くの品種があります。肉質が粘質か粉質か、糖分が多く旨みがあるか反対に糖分が 少なく変色が少ないか、などの特性によって、煮物用、サラダ用、ポテトチップ用、でんぷん用などの 目的にあわせた品種が開発されています。
  • 男爵薯−現在でも日本の主要な品種で、北アメリカで改良されました。 1908年に川田竜吉男爵が導入しました。ごつごつしていて芽の窪みが深いのが特徴です。 熱を加えるとホクホクした感じで味が濃く、粉ふき薯には特にむきます。肉ジャガもおいしいのですが、 煮崩れしやすいので注意が必要です。マッシュポテトにもむきます。ポテトチップスにすると薄く切っているうちに 褐色に変わってしまうので、商品にはなりにくいのでしょうが、味はけっこうおいしいと思います。
  • メイクイーン−男爵に比べるとやや細長く、窪みが少なくなっています。1917年にイギリスから導入されました。 煮崩れしにくく、ホクホクしていないのでシチューにむいています。加熱すると甘味がでます。関西で好まれます。 コロッケやフライドポテトにすると褐色に変色してしまうので不向きです。
  • キタアカリ−北海道産でビタミンCが多い。火がとおるのが早く、電子レンジで加熱するだけで すぐに蒸かし薯になります。煮崩れしやすいのでベークドポテトやサラダにむいています。
  • デシマ−長崎県産です。丸っこく皮がきれいなので、見た目がいいです。味も濃いようです。
  • ニシユタカ−デシマと同様に長崎県で開発されました。新ジャガとして出回ります。小粒で肉質がやや固いので、 クシを刺すおでんにむいています。春にでまわります。
  • ムーンレッド−外皮がサツマイモのような紅色で中は黄色です。メイクイーンのようにやや細長い形です。
  • トヨシロ−日本で改良されて品種です。糖分が低く揚げても褐色になりにくいのでポテトチップスに使われます。
  • ワセシロ−伯爵、ネオ男爵とも呼ばれます。男爵に似ていますが短期間で大きな薯が収穫でき、 大きくなっても中心に空洞ができにくいのが利点です。ポテトチップスにも使われます。 男爵よりさらに粉質で煮崩れしやすいので、煮物にはむきません。
  • ホッカイコガネ−日本の品種です。きれいな黄金色で、調理後も変色しにくいのできれいなポテトチップスが できます。煮崩れしにくいので煮物にもむきます。
一年中ありますが、品種によっておいしい時期が異なります。男爵は晩秋に収穫されますが、 冬の間貯蔵しておいたものは水分が適度に抜けて味が濃くなっていておいしいです。
成分 ビタミンCが澱粉で包まれているので、熱で壊れにくくなっています。カロリーは米の約半分です。 普及のときの”毒”説は、ソラニンという有毒なアルカロイドの一種を含んでいる事からきています。ソラニンは発芽の時に増加するので、 芽の部分を多く食べると吐き気、腹痛、頭痛などの中毒症状を起こすと言います。
市場 年間約300万トンが日本で生産され、このうち北海道が76%を占めています。生産量はほぼ横ばい。 輸入は主にアメリカからで、80万トン。冷凍フライドポテトや乾燥マッシュポテトなどの形で消費され、 急増しています。 消費は36%がポテトチップなどの加工用、25%が青果用、29%がでんぷん原料、その他が10%です。
世界の生産量は約3億トンで、小麦、トウモロコシ、お米に次ぐ生産量です。


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制作日:2001年10月5日
更新日:2006年5月21日