魚の熟成について

魚は熟成によって旨み成分が増します。 これはアデノシン三リン酸が分解されてアデニル酸(アデノシン一リン酸、AMP)やイノシン酸などの旨み成分に 変化していくからです。締めてからどのくらい時間が最もおいしい食べ頃かを考えて管理することが大事です。 食べごろを決める要素には以下のものがあります。
  • 魚体の大きさ。大きいほど時間を要する。200kg以上のマグロ)は熟成に4日かかるのでシビマグロというそうです。
  • 水分が少ない魚ほど時間がかかる。
  • 身が固くて組織のしっかりしている魚ほど時間がかかる。 例えばイワシよりもヒラメの方が時間を要します。
  • 歯ごたえを楽しむ魚の場合には、熟成によって旨み成分が増えるのと同時に歯ごたえが失われて柔らかく なってきますので、早めに熟成をきりあげます。タイよりヒラメのほうが歯ごたえを楽しみますので、熟成も短めに しておきます。
  • 活け締めで血抜きもしっかりされたものは時間をかけて熟成させますが、野締めされた魚は早く食べてしまいます。
  • 養殖物は熟成が進むと不自然な匂いが出てきますので、早めに食べてしまいます。
せっかくの貴重な魚ですので、うまくタイミングを見計らって最も美味しい状態で食べたいところです。 魚屋の店頭に並んだ状態ではいつ締めたかがわかりませんので、なかなか難しいと思いますが、がんばりましょう。 なお、家庭で熟成させる場合、冷蔵庫のチルドやパーシャルでは温度が低すぎて熟成がすすみません。

専門的な話ですが、アデノシン三リン酸は死後、酸素が組織体に供給されなくなる事により、分解されます。 その過程は、アデノシン三リン酸(ATP)>アデノシン二リン酸(ADP)>アデノシン一リン酸(AMP)> イノシン酸(IMP)>イノシン(HxR)>ヒポキサンチン(Hx)という順序です。 そこで新鮮さを客観的に計る指標として、K値というものが発案されました。

K値=(HxR + Hx) / (ATPとその分解物総て)

つまり、アデノシン三リン酸の最終分解物であるイノシン(HxR)とヒポキサンチン(Hx)の割合で、%で表されます。


食材事典のホームへもどる



制作日:2001年7月24日
更新日:2001年9月25日
上田 泰久