車海老類

Shibaebi   日本人は大変なエビ好きで、世界の漁獲高の4分の1以上にあたる年間30万トン、 国民一人あたり年2.5kgのエビを食べています。美味しい、色が華やか、魚のように骨が無い、 冷凍品の買い置きができる、だんだん安くなってきている、などが主な理由でしょう。 和洋中の色々な料理に使われて、食生活になくてはならない食材になっています。 (写真は芝海老)

品 種 甲殻綱(こうかくこう)十脚目(じゅうきゃくもく)長尾亜目エビ類(ちょうびあもくえびるい)クルマエビ科。 クルマエビ科クルマエビ属の海老は、ブラウン、ピンク、ホワイトなど体色によって分類され、 代表的な産地名を付けてメキシコ・ブラウン、ギアナ・ピンク、インド・ホワイトなどの名で流通しています。
ブラウン系のうち、縞模様のあるものは特にタイガーと呼ばれます。 日本のクルマエビもタイガーの一種です。
養殖 車エビ類は成長が早く、稚エビから4ヶ月から6ヶ月間育てれば商品として出荷できます。 養殖でも天然物とほとんど変わらない味で、冷凍してもあまり味が落ちないという事もあって、 東南アジア各国で盛んに養殖が行われ冷凍エビとして輸出されています。  
養殖による自然破壊 Mangrove 海老の養殖は、海岸のマングローブの林(写真)などを開墾して養殖池を作りそこに海水を入れて行われるのですが、 「同じ養殖池を何年も使い続けられない」 という深刻な問題をかかえています。エビ類の養殖を始めて5〜6年すると、 エビの食べ残したエサや排泄物にバクテリアやウイルスが繁殖して海老の死亡率が急に高くなってしまうようです。 そこで次々に海岸線を開拓して新しい池を作り、古い池から移転していくことになるのですが、 一度養殖池にした土地は塩分を含んでいるので他の用途に転用するのが難しく、”土地の使い捨て” という状態になってしまいます。
最近は「養殖池を作る場合にはその倍以上の面積のマングローブの植林をしなければならない」 というような規制を作って自然保護への取り組みが活発化しています。 養殖池を長く使い続けるための研究も始まっていますが、まだ成果は現れていないようです。  
調理法 頭部の付いた海老を買った時は、アメリカンソースを作りましょう。
頭部とむいた殻をキッチンバサミで2cm程度にぶつ切りし、テフロン加工などの焦げ付きにくい鍋でから炒りします。 焦げた香りがただよってきたら、白ワインを加えてさらに炒めてから水を加えてスープ状にします。 適当な濃さに煮詰めてから濾してリゾットのダシに使ったり、魚介類のソテーに加えるソースに使います。 玉ねぎ、サフラン、香味野菜、トマトなどを適宜加えて、様々なソースのベースに使えます。頭部と殻8匹分で、 4人前のリゾットが十分にできます。海老の旨みは身に30%、頭部と殻に70%だと思います。 これを捨ててしまうなんて信じられない!  
市場 日本では1998年の天然エビの漁獲高は2万7千トン。国内の養殖が2千トン。輸入は年間28万トン。 これらの合計、31万トンが年間消費量です。エビの消費は昔からどんどん増え続けていましたが、 1991年の35万トンをピークに最近は減ってきています。(国内産の統計は有頭ですが、 輸入はほとんどが無頭なので有頭での重量に換算するには1.5倍する必要があります。)  
輸入 エビは1961年に水産品としては最も早く輸入が自由化されました。それ以後輸入量は急増し、 現在ではあらゆる食品の中でトップの輸入量(金額ベース)になっています。 主な輸入元は現在はインドやインドネシアですが、5〜6年単位での入れ替わりが激しくなっています。 かつては台湾や中国がトップの輸入元でした。天然物ではトロールによる採り過ぎと海底の破壊の問題、 養殖においては上記の養殖池による海岸線の使い捨ての問題などで、 永続的に安定供給できる状態ではなかったからです。  
海老の寿司 エビは脂分が少ない単純な肉質なので、ゆでて塩漬けにすると2〜3ヶ月は味が変わりません。 秋口のエビが安い時にたくさん買ってこの仕込みをしておくと、冷蔵・冷凍技術が発達していない昔でも 正月までもたせる事ができました。これが、寿司のゆでエビの始まりです。現在では主に ギアナ・ピンク、メキシコ・ブラウンなどが使われています。(もちろん車海老を使っている店もあります。)


車海老 ジャポニカ種と呼ばれる日本の車海老についてはこちらをご覧ください。
メキシコ・ブラウン クルマエビ科クルマエビ属。単にメキシコエビとも言われます。南北アメリカ大陸の西海岸、 カリフォルニア南部からペルーまでの暖かい海で採れます。 昔から代表的な輸入冷凍エビの一つで大量に輸入されていました。 柔らかい肉質で味が良く発色もいいので寿司によく使われます。
ギアナ・ピンク クルマエビ科クルマエビ属。大西洋のアフリカ沿岸とカリブ海からブラジルまでのアメリカ大陸沿岸に分布しています。 ニューギニア・ピンクとも言われますが、呼称は混乱しています。メキシコ・ブラウンと並んで、寿司ネタに良く使われます。
大正海老 クルマエビ科クルマエビ属。ホワイト系で20cm前後、コウライエビとも言います。中国の渤海湾と黄海に生息し、 群れを作って泳ぐ性質があります。昔は大量に採れましたが最近は激減しているとの事です。 1960年頃からたくさん輸入されていた歴史のある輸入エビです。甘味のある柔らかい肉質で、 特にミソが多くて美味しいのですが、 最近は無頭の冷凍物しか見かけないのでなかなかミソを味わうチャンスがありません。
ブラック・タイガー BlackTiger クルマエビ科クルマエビ属。 ブラウン系ですが色が黒いのが特徴で、30cm以上になる大型のエビです。 世界のエビ養殖の半分以上がこのエビです。 以前は「クルマエビの鮮度が落ちたような色」という事であまり売れませんでしたが、1980年頃に 「ブラック・タイガー」という呼称にしてから売れ始めたようです。天然物では縞模様があるそうですが、 養殖物では一様に黒くなってしまいます。肉質はやや固いのが難点ですが、 加熱すると華やかな赤い縞模様が出て喜ばれます。  
クマエビ クルマエビ科クルマエビ属。クルマエビを太らせたような形で脚が赤と白の縞になっています。アシアカとも呼ばれます。 ブラックタイガーより柔らかく、たいへん美味しいエビです。 鹿児島では正月のお雑煮に焼いたクマエビを入れる習慣があります。 お椀から頭と尻尾が出ていなければならないそうです。  
芝海老 クルマエビ科ですがヨシエビ属です。日本南部から東シナ海にかけてのみに生息しする固有のエビで、 体長は10cm前後。体表がザラザラしています。旬は11月〜2月です。 昔は東京の芝付近でよく採れたので芝海老と呼ばれていますが、現在では漁獲高が激減し、 主な産地は九州各県です。よく「クルマエビに比べると味の落ちる中型の海老」などと書かれていますが、 ふわっとしてクセの無いあっさりした味で小海老のかき揚げや中華の炒め物などにすると、とっても美味しいと思います。 昔、芝海老が安かった頃には寿司屋の卵焼きに芝海老のすり身を入れたそうですが、 現在の高級寿司屋ではどうなんでしょうか? 芝海老のゆで汁(ゆでた後の汁)は美味で有名。  
ブルー・シュリンプ クルマエビ科クルマエビ属。アメリカのスーパーでよく見かける青い海老です。 紺色と灰色を混ぜたような色で、最初に見かけた時は衝撃を受けました。写真が無いのが残念です。 人間は食べ物の好みに関しては保守的だと言われますが、この青いエビが日本で普及する日が来るでしょうか?  

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制作日:2002年4月27日
更新日:2003年8月16日
上田 泰久