きゅうり(胡瓜)

Kyuuri

名脇役。鱧(ハモ)や海鞘(ホヤ)の付け合せの定番。 江戸時代には苦味が強かったようで、「これ瓜類の下品なり。味良からず、かつ小毒あり(貝原益軒。 「菜譜。1714年)」 「毒多くして能無し。植えるべからず。食べるべからず。(水戸光圀)」 とさんざんな言われ方をしていますが、今や苦味も無くなって最もなじみ深い食材の一つ。 食感と香りで涼を楽しむ夏野菜の代表です。(写真は白イボ系のブルームレス)

品種 ウリ科の一年草。通常は病気にかかり難くするため、カボチャの台木に接木をして栽培します。 江戸時代に嫌われたように、 もともとは苦味や渋みの多い野菜でしたが品種改良によって最近ではほとんど苦味を感じません。
中国で西方民族の事を”胡”と表したので、西方から来た瓜という意味で”胡瓜”という名前になりました。 胡麻(ごま)や胡桃(くるみ)などと同じです。 (ただし漢以前には”胡”は北方匈奴の事を表していました。)
日本では、 江戸時代以前には完熟して黄色くなってから食べていたので、黄瓜(きうり)と呼ばれましたが、 そのうち中国語の”胡瓜”という字があてられるようになりました。
原産地 野生のキュウリがあるネパールからインド西部にかけてが原産地と考えられています。 この野生のキュウリは苦くてとても食べられないそうです。3,000年以上前から西アジアで栽培され、 現在にいたるまで苦味が無くなるように品種改良が続けられているのです。 日本には6〜10世紀の間に中国からもたらされました。本格的に普及したのは江戸時代の後期からです。
種類 非常に種類が多く、世界中で500種もの品種が栽培されています。
白イボ系−現在栽培されているキュウリの90%以上が白イボ系です。 もともとは皮が薄くて歯切れの良い美味しいキュウリです。
黒イボ系−春収穫するタイプで以前は南西日本で多く栽培されていましたが、皮が厚く、 白イボ系の真夏の旬の味に劣るという事で現在では九州・四国でわずかに作られているだけです。
四葉(スーヨー)キュウリ−(写真下)本葉が4枚付いた頃から実がなるのでこの名があります。 美味で有名な白イボ系キュウリ。普通の白イボキュウリの1.5倍ぐらいの大きなキュウリです。 イボとシワが多く見た目が悪い上に鮮度落ちが早いのですが、歯切れが良く漬物にもむきます。
  Kyuuri
四川キュウリ−四葉キュウリの改良型。大きさは普通の白イボキュウリと同じぐらいですが、 四葉と同様にシワが多い。美味です。
加賀太キュウリ−加賀野菜。直径が8〜10cmもある太くて大きなキュウリ。皮をむいて肉詰めや煮物にしたり、 漬物にしたりします。
もろきゅう−品種ではありません。普通のキュウリを小さいうちに若採りしたもので、 寿司のカッパ巻きに使われたり、味噌をつけてそのまま食べられたりします。”もろきゅう”とは、 もともとキュウリにモロミを付けて食べる料理の名前だったのですが、 それに使うキュウリの若採りしたものの通称になりました。
ブルーム ブルームとは、キュウリなどの実から自然に出てくるロウで、白い粉のように見えます。 これが農薬だと思われて消費者から嫌われるので、 ブルームの出ないブルームレスのキュウリが開発されました。現在ではほとんどのキュウリがブルームレスです。 ブルームレスは品種ではなく、白い粉が出ないタイプという意味です。 台木に使うカボチャの種類によってブルームレスのキュウリができます。
キュウリの美味しさはしっかりとした固い身と薄くてパリパリした皮のバランスにあるのですが、 実はブルームレスのキュウリは皮が厚く、身が柔らかいのでおいしくありません。香りも劣ります。 「昔のキュウリの方がパリパリして美味しかった」、と思われる方はこれがこの違いが原因です。 不幸な時代ですね。ブルームについては説明すれば分かる事なのですが、 ブルームレスのキュウリは皮が厚い分、店頭で日もちが良いので販売店からも歓迎され、 あっという間に市場を制圧しました。
ハウス栽培で一年中出回っていますが、白イボキュウリの本来の旬は6月から9月まで。代表的な夏野菜です。 現在でも夏の路地物の方が味が良い。
調理法 野菜は切り方によって味わいが違ってきます。切り方とは、包丁使いの上手い下手の事ではなく、 切る方向と厚さの事です。みなさんも色々な切り方でキュウリを食べていると思いますが、 ここでは”雷切り”をご紹介しましょう。
市場 日本での収穫量は80万トン弱で減少傾向。年間生産の60%以上がハウス栽培です。
雑学 カッパはキュウリが大好きなので、キュウリの巻き寿司をカッパと呼ぶ話は有名ですね。
はキュウリの匂いを嫌うので、 「鮎を釣りにいく人は前日にキュウリを食べてはいけない」という言い伝えもあります。


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制作日:2002年6月3日
更新日:2002年7月7日
上田 泰久