みりん(味醂)

Mirin ミリンは、中国や韓国には無い日本独自の調味料です。料理に品のいい甘味と旨みを加えます。 また加熱するとツヤとこうばしい香りをかもし出してくれます。蒲焼(かばやき)や蕎麦(そば)つゆをはじめ、 焼き鳥、煮物、丼物など、江戸風の和食に欠かせません。ミリン干しもおいしいですね。
(写真は3年熟成の本ミリン)

歴 史 戦国時代に中国から渡来した甘い酒「密淋(ミイリン)」が起源という説と、 日本で甘いお酒の腐敗防止のためにアルコールを加えていたのが改良されてミリンになったという説の2つがあります。 最初は飲むためのお酒でしたが、江戸時代の後期になると料亭で甘味料や隠し味として使われるようになります。 特にウナギの蒲焼のタレとそばつゆには欠かせなくなりました。 それが全国的に流行して、調味料としての使われ方が定着したようです。 時代を追う毎に甘味や旨みの濃いものが作られるようになり、戦後に現在の様なミリンになりました。 一般家庭に普及したのは1950年ごろです。
原材料・造り方 原材料はもち米、米麹、と焼酎。麹には日本酒と同様に黄麹カビが使われます。 蒸したもち米と米麹を焼酎と混ぜて、約20度の温度で2〜3ヶ月ほど熟成させます。 この間に麹の作用でもち米のデンプンが糖分になり甘味が出ます。またタンパク質がアミノ酸になって、 香りと複雑な旨みが生まれます。圧搾・濾過します。製品によってはこれをさらに数ヶ月から数年熟成させてから 出荷されます。
種 類
  • 本味醂(ホンミリン)−上記の造り方で造った本物のミリンです。
    旧式ミリンは、本格焼酎(乙類)を使い、伝統的な製法で長期間熟成させて作ります。色は褐色が強くなります。 新式ミリンは、新式焼酎(甲類)を使い、比較的短期間の程度の熟成で作られます。もち米を液化して使うなどの 近代的な製法が用いられる事もあります。色は薄くなります。
  • 本直し(ホンナオシ)−本ミリンにさらに焼酎を加えたもので、主に飲用にされます。 (アルコールは約20%)
  • ミリン風調味料−ミリンに似せて作った旨み成分を含む調味料。 水飴やブドウ糖などを薄い液状にして、旨み調味料で味を調えたものです。
成 分 アルコール分は約14%。糖分は40%〜50%。各種アミノ酸、有機酸を豊富に含みます。
調理におけるミリンの効用
  • 糖分があるので甘味が加わります。上手に使うと砂糖よりもすっきりして、かつ深い甘味になります。 同じ重量なら、ミリンの甘さは砂糖の約3分の1です。
  • 各種アミノ酸やコハク酸が複雑な旨みを加えます。
  • 動物性食材が煮崩れしないように固めます。(細胞と細胞をつなぐ物質を溶けにくくする)
  • アルコールやコハク酸の作用で魚などの生臭さを抑えます。
  • ミリンを加熱すると、含まれている糖分とアミノ酸が結合してメラノイジンという物質ができます。 (これをアミノ・カルボニル反応と呼ぶ。)メラノイジンは褐色で、よい香りを持っています。 ミリンを使った料理が褐色になりよい香りを持つのはこのためです。
  • 糖分が素材の表面に膜をはるので、照り焼きにした時にツヤが出ます。
  • アルコールの浸透力によって、煮汁の味が素材にしみ込みやすくなります。
調理のポイント 甘味を伴った調味料ですので、入れ過ぎるとくどくなります。
ミリンに含まれるアルコールの香りやタンパク質凝固などの作用がじゃまになる時は、 ミリンを加熱しアルコール分を蒸発させてから使います。これを”煮きり”と言います。
照り焼きのタレは、素材をある程度焼いた後に仕上げの段階でぬります。最初からぬって焼くと、 素材に火がとおる前にタレが焦げてしまいます。
コメント 1997年11月の酒税法改定で、酒屋でなくても本ミリンが売れるようになりました。 (ただし届け出は必要。)しかし、本ミリンはみりん風調味料に比べて高いためか、 あまり売上が伸びていないようです。確かにミリンは値段の高い調味料ですが、 もう少し見直されてもいいと思います。



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制作日:2002年3月26日
更新日:2002年4月12日
上田 泰久