のり(海苔)

あぶりたての香ばしさが、食欲をそそります。おにぎりやザルソバには欠かせません。 お寿司ではネタ、シャリ、と合わせて三重奏をかなでます。世界的に見るとめずらしい紙状の食材です。

原材料 通称アマノリ。ウシケノリ科アマノリ属のアサクサノリ、スサビノリなど。アオノリの原材料はアオサ科アオノリ族ですので、 ノリとアオノリは違う海藻という事になります。
作り方 海で採った生ノリを包丁などで細かく刻んで水に溶かし、ヨシを編んだ簀(す)の上に流して均一に広げ、 簀ごと乾かしてからノリを剥がします。紙抄き(かみすき)の方法と全く同じですね。  
海苔は湿気に弱く、保存が結構難しいので、”作りたて"が旬ということになります。 新海苔が出てくるのは1月から2月です。
歴 史 平安時代から自生のノリは広く食べられていたようで、これを押し広げて乾燥させた乾海苔も精進料理に古くから 取り入れられていました。江戸時代に入った1630年前後になると、葛西(現在の江戸川区南部)で採れたノリが浅草の市で売りに出され、 浅草海苔と言う名で呼ばれるようになってきます。
1716年頃になると、”ヒビ”という小枝の着いた竹を浅瀬に立てて、ノリの胞子を着生させて育てる養殖が始まりました。 (現在では小枝の代わりに網を使っています。しかしこの頃のノリはまだ手でノリを押し広げて乾かした分厚いタイプのものでした。

1735年頃に、浅草にあった古紙再生の為の紙抄き(かみすき)の技術が乾海苔の生産に取り入れられ、 現在の紙のような海苔が完成します。製紙と水産加工という異業種での技術移転ですね。
その後、この技術は全国に伝播し、定着していきます。 1949年にイギリス、マンチェスター大学のドリュー女史によってノリの生活史が解明されます。 (葉状体ー>果胞子ー>糸状体ー>胞子ー>葉状体)これにより、優良な親ノリの胞子を培養してヒビに定着させてから海に張るという 完全な栽培が可能になりました。
市 場 1000億円、100億枚ほどの生産量があります。  
成 分 旨み成分はアミノ酸。アラニンが多いので(昆布の10倍)甘く感じます。海藻の香りはジメチルサルファイドというイオウ化合物によります。  
ポイント ノリは値段と美味しさがあまり比例しません。がんばって安くておいしいノリを探しましょう。おいしいノリとは、香りが強く、歯切れの良い ノリです。  


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制作日:2001年7月20日
更新日:2002年5月6日
上田 泰久