酒(日本酒)の造り方

原材料 お酒は、米、水、麹カビ(日本酒作りでは「糀」(コウジ)の字を使う)、酵母で作ります。 これに醸造アルコールを加える事もあります。
  • お米にはお酒用の特別な品種(酒米)が使われます。代表は兵庫県の「山田錦」(やまだにしき)、 北陸地方「五百万石」(ごひゃくまんごく)、岡山県「雄町」(おまち)、広島県「八反」(はったん)など。 これらの酒米は粒が大きく、外側を削った後でも中心のでんぷん部分が大きく残るので扱いやすい。 米粒の一部がスポンジ状になっていて空気が入っている「心白」(この部分で麹カビが繁殖しやすい) がある、という特色を持っています。一方、稲の時に背が高く、 米粒が大きいので穂が重く倒れやすいなどのという欠点があり、栽培しにくいので価格が高くなってしまいます。
  • 水は鉄分やマンガンなどが少ない軟水のほうが適していますが、麹カビが好むカリウムはある程度含んでいる ほうがいいと言われます。
  • 麹カビ−日本酒に使われるのは黄麹カビです。酵素を出して澱粉を糖分に変換します。 日本酒造りではアミノ酸が嫌われるので、澱粉を糖分に変える力が強く、 逆にタンパク質を分解してアミノ酸に変える力が弱い株が優良な麹カビです。種麹会社で培養されます。
  • 酵母は糖分を食べてアルコールを作り出す微生物で、イーストとも言います。 自然界に存在しますが優良種を培養して使います。日本酒造りでは蔵元が独自に培養している蔵付き酵母か、 日本醸造協会、工業試験場などが培養している酵母が使われる事が多いようです。
造り方 酒造りの原理を説明するために、現在行われている中では古典的なお酒の造り方を説明します。
  • 米粒の周りのタンパク質が多い部分を削ります。この工程を「磨く」と言います。磨いたお米を蒸します。
  • 糀を作ります。(麹カビを増殖させる事。)お米を蒸してから種麹をまぶし、 麹室(ムロ)と言われる高温(35度)多湿の部屋においてお米の上で十分に繁殖させます。
  • 酒母(モトともいう)を作ります。(酵母を増殖させる事。)蒸した米、麹、水を混ぜて6度ぐらいの低温の環境におきます。 この状態では乳酸菌が主に繁殖し、他の雑菌は死んでしまいます。20日程かけて温度を徐々に上げていき、 最後には20度にします。この過程で乳酸菌の生成する乳酸によって乳酸菌自身も死滅してしまい、 はじめから原料中に潜んでいた酵母が繁殖し出します。酵母は酸性でよく繁殖するからです。 このように乳酸菌の生成から始める方法を生モト(キモト)造りと言います。
  • もう一度、蒸した米、糀、水をできた酒母に加えます。(この原料を混ぜ合わされたものをモロミといいます。) このモロミを醗酵させます。この工程では、 麹菌による糖化醗酵と酵母によるアルコール醗酵が同時にバランスよく進行します。 酒母の量に比べて米が多すぎると酵母が繁殖する前に雑菌が繁殖してしまうので、 米、糀、水は3段階ぐらいに分けて加えます。 醗酵には20日から35日かかり、この間温度を9度から15度に保ちます。 最終的なアルコール濃度は20度に達します。
  • 醗酵が終わったモロミを圧搾機にかけて絞り、酒と酒粕に分けます。
  • 火入れ−醸造終了後、1〜2ヶ月たった酒を50〜60度加熱しで10分ほどおきます。これにより、 雑菌を死滅させ、酒の腐敗を防ぐとともに風味も熟成されます。また、濾過して不純物を取り除きます。
  • 水を加えてアルコール度数を調整し、瓶詰めします。
コメント 最近、純米酒ではない本醸造酒には醸造アルコールが添加されているのが批判されていますが、 アルコールを添加するのは、原価を安くするという目的のためだけではありません。 アルコールは醗酵中の米の中に浸透し、中心部分から香味を引き出してくれます。 またアルコールの添加によって醗酵を途中で止めて、コクを抑えてすっきりした味にまとめるためです。 さらにでき上がった酒の雑菌(火落ち菌など)の繁殖を抑えて安定させるという目的もあります。アルコールの添加は古くから 行われてきた伝統的な方法ですし、コンクールに出品するような品質本位の蔵元の大吟醸にもアルコールが 添加されている事からも、単に原価を安くするために使われているわけではないという事が推測されます。
ただし普通酒で糖類を添加しているものは、原価を下げる目的で醸造アルコールを添加し、 味を補正するために糖類を添加している可能性もあります。



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制作日:2001年9月25日
更新日:2001年9月28日
上田 泰久