さんま(秋刀魚)

Sannma

漢字のとおり秋を代表する魚。スマートで銀色に輝く魚体が刀を連想させます。今でこそ安くて美味しい魚の代表ですが、 一般的に食べられるようになったのは江戸後期になってから。 元禄時代(1688〜1704)に書かれた食材事典「本朝食鑑」にはその名前すら載っていません。 秋刀魚の回遊しているのは比較的沖合なので、昔は効率的な漁法が無かったのです。
1700年頃に紀州で開発されたサイラ大網による漁法がしばらくして房総に技術移転され、 脂ののった旬の秋刀魚が大量に江戸に送られるようになったことから、庶民の味覚として一気に広まりました。

品 種 ダツ目サンマ科。一年魚で40cm程度になります。夏にはオホーツク海を、冬には沖縄近辺を大群で回遊しています。 秋になると産卵のために本州の太平洋岸を南下してきます。8月頃から千島列島沖を南下し始め、 親潮に乗って9月から10月に三陸沖を通過、11月には銚子沖に達します。 この間に動物性のプランクトンを食べ続け、10月下旬には脂質含有量が20%に達し、いわゆる秋の味覚、 最高に脂ののったサンマになります。
産地 と旬 福島県から千葉県の銚子沖に達する10月下旬から11月が最も脂ののった旬なのですが、 実際の水揚高を見ると北海道で全国の半分以上が漁獲されています。 旬の時期よりも早めの値の高いうちに売り出そうということなのでしょうか。もったいない話です。
調理方法 旬の脂ののったものは丸ごと焼いて大根おろしで食べるのが一般的です。できたら 青首大根よりも辛味の強い地大根の大根おろしを 使いたいところです。この時期のものは余りにも脂が多いので、刺し身にするとちょっとしつこいと思います。 酢締めにしたほうがすっきりと食べられます。8月下旬から9月にはすでに「はしり」として魚屋の店頭を にぎわしますが、この時期のものは脂ののりが今ひとつなので、そのまま焼くと身がボソボソしておいしくありません。 刺し身で食べるか、煮物のほうがおいしく食べられます。  
目利き まず、脂ののったものが食べたかったら10月に買いましょう。「はしり」に惑わされないように。 大きいものの方が脂がのっています。脂ののったサンマは口先が黄色がかっています。 また、秋以外のサンマは冷凍品です。 その他の目利きのポイントはこちらをごらんください。
「目利き」というよりも食べた時のことですが、ごく新鮮なサンマの肝はトロッとしていて甘味があり、 実においしいものです。「サンマは肝を食べなければ意味が無い」と言われるゆえんです。 ただし、漁獲してから氷蔵で半日も経つと苦味が出はじめ、24時間で完全な苦い肝の味になってしまいます。 これは鮮度が落ちて苦味の強いアミンが生成されるためです。
もう一点、サンマを棒受け網漁で大漁に採る時に、ウロコはお互いの体でこすれてほとんど取れてしまうのですが、 これがどういうわけかサンマの口の中に入り消化管に溜まっています。肝を食べるときに一緒に食べてしまうと まずいので気をつけましょう。網ではなく一匹づつ釣り上げたサンマをすぐに食べるのが最高の贅沢です。  
市場 一年魚なので、年による漁獲高の変動が大きいのですが、15万トンから30万トンぐらいです。 ほとんどが棒受け網漁で漁獲されます。40%が生鮮むけ、30%が加工品、 残りが養殖魚のエサや飼肥料になります。  


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制作日:2001年9月17日
更新日:2003年10月26日
上田 泰久